レーヌ デ プレ (Reine des pres)/神宮丸太町(京都)

神宮丸太町駅から歩いて3-5分ほどの住宅街にある「レーヌ デ プレ (Reine des pres)」。ミシュラン1ツ星で、食べログでは百名店に選出されています。
店内は白を基調としたシンプルなインテリア。満席でも8席ほどであり、シェフひとりサービスひとりと程よい人員構成です。

中原文隆シェフは京都ブライトンホテルやパリ「L'arpege(アルページュ)」などで腕を磨き、2012年に当店を開業しました。
ワインはフランスワインが殆どで、↑が1.2万円と良心的。つい先日丸太町「Bini (ビーニ) 」でルイナールのブランドブランのハーフボトルが17,380円という地獄を見て来たばかりなので心温まります。ソムリエールの接客もプロである。
まずはスープから。うすい豆を用いた冷製であり、抹茶のように青い風味を愉しみます。それでいてしっかりとコクもあり旨味もあって、トリッキーな幕開けです。
「師へのオマージュ」と銘打つひと品。「師」とはきっと「L'arpege(アルページュ)」のアラン・パッサールのことであり、卵黄に種々のスパイスやビネガー、そしてメープルシロップと多彩な味覚を重ねます。はっきり言って「L'arpege(アルページュ)」で食べるそれよりも美味しかった。
キャビアがたっぷり、と見せかけてその下にはハマグリやパッションフルーツが敷かれており、それらの旨味や甘味、酸味と風味が組み合わさり、キャビア単体で食べるよりも全く美味しい。これが、料理だ。
パンにも手が込んでいて、まずは密度の高いクルミパン。ハコの下部には温かい板が敷かれており、いつまでもホッカホカで楽しめます。続いてバゲットも供され素朴ながら確かに旨いパンでした。
フォアグラについても品の良いポーションであり、先のクルミパンと合わせて初々しい味わいです。
おや、パスタだ。ウニがたっぷりのって贅沢だなあと感心していると、ソースの部分がラタトゥイユ味であり、見た目はどうしたってウニのパスタなのにラタトゥイユの風味が強いという面白いひと皿です。
北海道のサクラマス。実に清澄な味わいでバブみが強く、もはや産みたい。先日、別のお店で似たような料理を食べたのですが、恐ろしく生臭かったので、作り手が違うとこうも味わいが変わるのかと感服しました。
モネの睡蓮に見立てた冷製のひと皿。オマールエビにホワイトアスパラガス、スープはトマトです。オマールは生に近いレアレアな火入れであり、ほどよく甘味が増しています。オクラのシャーベット(?)もオシャレな味わいであり、シグネチャーディッシュと呼ぶに相応しい逸品でしょう。
お魚はスジアラ。フランス料理店としては珍しく10日間も熟成させており、なるほど身はしっとりとし旨味も増しているような気がします。トッピングされた薄い茶色のパリパリはホタテで組成されており、貝ヒモを食べているようで面白かった。
メインは宮崎産黒毛和牛の低温ロースト。これまでの料理と同様に火入れに神経を使っており、なるほど肉の旨さが最大級に増すポイントを押さえています。数カ月熟成させた百合根のホクホク感とシャラっと削った冷製のフォアグラも含めハイカラな味わいでした。
メインのデザートに入る前に助走します。生地にはキウイの氷菓が挟まれており、サクっと噛みしめヒヤっと美味しい、ありそうでない試みでした。
たっぷりのパイナップルにクレームダンジュ。フレッシュチーズを用いた爽やかなチーズケーキです。間違いなく美味しいのですが、これまでの料理が凝りに凝っている分、デザートについても派手派手にややこしいものが欲しかったかもしれません。
他方、お茶菓子は中々にヘヴィてあり、ある意味では先のデザートよりも記憶に残ったので、甘味は総力戦で臨むという戦略だったのでしょう。
食後のお茶は6種のフレーバーから選択することができした。

以上のコースが2.4万円で、それなりに飲んでお会計はひとりあたり3.4万円。フランス料理の王道の味覚を押さえつつも随所でコンテンポラリーな試みも感じられ、とても楽しいディナーでした。

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