釜元たん米衛(かまもとたんべえ)/恵比寿

都内で「熟成和牛焼肉 エイジングビーフ」を手掛ける株式会社新和の新業態「釜元たん米衛(かまもとたんべえ)」が恵比寿銀座通りにオープン。コロナ禍の夏にも関わらず、ランチタイムに1時間を超える待ち行列を作ったとして恵比寿界隈が騒然となりました。
私は平日16時台とヘンな時間帯に訪れたので待たずに着席できました。アイドルタイム無しの通し営業なのが便利。

ちなみにコンセプトは「定食以上・割烹未満」だそうですが、これはちょっと盛りすぎですね。店内は普通の牛丼屋的なコの字型カウンターの装いであり、あまり友達と連れだって訪れるという雰囲気ではありません。みなソロ活動で黙々と牛タン定食に向き合っています。
ゲストの入店と同時に米を釜で炊き始めるので、着席から着丼まで10分近くを要します。最高値は「上タン定食 肉大盛り」で3,900円なのですが、初心者の私は奥ゆかしく「MIXタン定食」1,700円を注文。最安値は「タン塩定食」1,500円です。
メインの牛タンが到着。こちらも注文後に焼き始めるので表面が実に香ばしく、またカウンターそのものがホットプレートとなっているため、のんびり食べたとしてもホカホカなままです。

「MIXタン定食」なのでお肉はタン元・タン先・タン下の3種類。もちろん超高級店におけるタンに比べるとゴリゴリゴリゴリ硬えなあ、という印象ではありますが、それでもあの米と副菜(後述)が付随して1,700円という価格設定であれば大満足の肉質です。
こちらは付け合わせのひとつである「黒毛和牛 牛すじの煮込み」。居酒屋で出て来そうなサッパリ目の煮込みであり普通に美味しいのですが、信じがたいことに、食べ放題なのです。信じがたいことに、食べ放題なのです。大事な事なので2度言いました。
お米は京都の有名(私は知らんかった)な 「八代目儀兵衛」 というお米屋さんのブレンド米。冒頭に記した通り炊き立てであり、ピカピカのツヤツヤで上白糖のような外観です。香りも良く甘味もたっぷりであり血糖値スパイク間違いなしの美味しさ。千円台の定食屋でこのクオリティは天晴れである。
「ご飯のおとも」として、10種から2種を選ぶことができます。1種類追加すると+100円。しかしながらお供しますと言われても、牛タンと食べ放題の牛すじの煮込みで手元の白米は不足気味であり、加えて卓上にある「タンラー油(タンを細かく刻み込んだ食べるラー油)」もかなりの味の濃さなのでライスは完全に枯渇。いっそのこと副菜はだし巻き卵などの味の薄いものにしてしまうか、腹をくくってゴハンをもうひと釜追加(+350円)してしまうのも作戦としてはありよりのありでしょう。
お味噌汁は急遽普通ですね。一般的な定食屋の味わいです。別料金で豚汁(タン汁?)とかあっても良いかもしれません。
以上を食べ、お会計は1,700円ポッキリ。牛タン定食として、いや定食として世界屈指の満足度と言えるでしょう。ヘンな焼肉屋に行くよりも全然いい。恵比寿は「味の牛たん喜助(きすけ)」「たんドコロ なゆた」「焼肉KINTAN(キンタン)」と、ちょっとした牛タンランチの激戦区なのですが、その中でも当店は頭ひとつ抜けているように感じました。
一方で、1時間も行列して食べる程のものかと問われるとそれは違うと思うので(現在はLINEを駆使した整理券方式へと移行し店頭に並ぶ必要は無くなった)、ピークタイムを避け、時間に余裕を持って訪れると良いでしょう。まずは「MIXタン定食」や「タン塩定食」あたりからどうぞ。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。