東山 和今(ひがしやま わこん)/ひがし茶屋街(金沢)

ひがし茶屋街の高級ホテル「薪の音 金澤(MAKI NO OTO)」に併設されたダイニング「東山 和今(ひがしやま わこん)」。のれんをくぐり両手を広げることができないほどの細い道を抜け、くぐり戸を通って入店という雰囲気のあるアプローチです(宿泊客は館内から直接アクセス可)。食べログでは無名ですが、ゴエミヨでは15.5と高得点。
店内は厨房を取り囲む大きなL字カウンターとお庭に面したテーブル席。照明がグっと抑えられており、シックなデート向きでしょう。今井友和シェフは主計町「嗜季」の元料理長であり、2018年に当店を開業しました。
まずは枝豆のお豆腐。ワサビもきいて、爽やかな出だしです。
カマスとマイタケを炭火でバリっと焼きました。香ばしく食欲をそそる味わい。付け合わせの昆布のせんべい(?)も旨味が強く美味。
イチヂクに熱を入れ、サツマイモソースをとろり。悪くないのですがデザートのようにも感じてしまい、序盤に食べるにはどうにも甘ったるく感じました。
アカイカ特集。土台はシャリを詰めてイカめしに。トップにはモロヘイヤと少し炙った刺身。ようやくボリューム感のあるひと皿が登場し、空腹が落ち着いた瞬間です。
お椀は甘鯛に松茸。おおー、こちらは見事な美味しさですねえ。ザクザクとした鯛の皮目にプンプン香る松茸の風味。本日一番のお皿です。
お造り(?)はアジ。美味しいですが量が少ない。
太刀魚も表面はパリっと炙り、身は半生で美味しいのですが、なんせ量が少ない。
蒸したアワビはへた紫なすを付け合わせに肝のソースで。王道中の王道の味わいでグッド。ソースが極上で、スパチュラが欲しくなりました。
子持ち鮎はカラっと揚げて栗と一緒に。思いきりペコリーノ・ロマーノを振りかけるのですが、果たして合うとは言い難く、意図がわかりかねる工夫でした。
メインは能登牛。え!これで終わり!?しかも肉の量が少なく焼肉1~2切れといった程度であり、食後にワンチャンラーメンあるかもしれんと連れと頷き合った瞬間です。
〆のお食事はそこそこ量があって胸を撫でおろす。しかしながら腹が満たされていないことには変わりなく、おかわり分を持ち帰ることなくその場で全て食べきりました。
甘味はナシに酒粕をどないかしたやつに、、、
黒豆羊羹と抹茶で〆。

マンボウでお酒は飲めず食事だけでしたが、それでもひとりあたり1.5万円強であり、ちょっと色々と割高だなあというお気持ちです。お料理はそれぞれ美味しくはありますが、少量多皿かつ色々と手の込んだ料理なので、結果として何を食べたのか印象に残りづらい。メモリが64MBしかない私の頭では、結局〆の鰻とゴボウご飯しかきちんと記憶できませんでした。

お酒があって飲みながらであればまた印象が違うのかな。サンセバスチャンあたりの気鋭の和食店を訪れるつもりでどうぞ。

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