おにまる/麻布十番

女優様より連絡。たまたま妹が東京に遊びに来ているとのことですが、その貴重な旅程を私に割いて良いものかと思いつつも、「19歳・女子大生」と響きに誘われてノコノコと家を出ることに。
店内奥から私に手を振る女優様。挨拶もそこそこに、その帽子とマスクは余計に目立つから店内ではやめろ、自分から芸能人だと宣伝しているようなもんだ、ぶってんじゃねえ、と先制パンチ。私だって言う時は言うのだ。

「は、初めまして…」と、隣で取って付けたような笑顔を浮かべるティーンエイジャー。手元の飲み物はコーラであり、酒の代わりに白ゴハンが置かれています。
「どうしたの?緊張しているの?」と優しい姉がウブな妹を気遣う。「〇〇さん(私の名)はマスコットキャラクターみたいなものだから、緊張しなくていいんだよ」とは彼女の評である。
「あ、あたし、大人の男の人と話すの、慣れていなくって。これまで誰とも付き合ったことがないんです」と、手に汗をかくティーンエイジャー。「わ!これ、美味しい!何ですか?コレ」見た目の通り白子ポン酢なのですが、純真無垢な彼女を前にして精巣だというのは言い出しづらく、聞こえないフリをする気の弱い私。
「こんなに若くて可愛い女の子とお話できる機会、なかなか無いでしょう?」と胸を張る姉。ガッカリさせて申し訳ないけれど、よくあるよ。決して調子乗ってるわけじゃないけれど、インディーズ系の僕にはニッチなファンがそれなりにいて、その年齢層はエベレストよりも高くマリアナ海溝よりも深いんだ。決して調子乗ってるわけじゃないけどね。「ふうん、そうですか。つまり、調子乗ってるってことですか?」と、意味の取りにくい表情をする妹。
「あたしも高校時代、生徒内であたしのファンクラブあったなあ。あたしの写真がポスターになって校内に貼られているの」いち生徒についてファンクラブが存在することはもとより、そのポスターが校内に無許可で貼られているにも関わらず教師たちも黙認しているあたり、彼女の突き抜けた美貌が窺えます。
「ねえ、そろそろ緊張するのやめたら?〇〇さんはあたしにとって特別な人で、必ず役に立つから、気負うことはないのよ」と、未だコチコチに固まる妹をフォローする姉。彼女の発言に皮肉が込められているような気がするのは気のせいだろう。

「だ、だって…、お、お父さんに似てるから…」なるほど父に似る男性を好きになるというのは都市伝説ではなかったのか。アマチュアの心理学者である私は分析する。せっかくなのでお義父さんの写真を見せてもらうと、確かに私のニュアンスが感じられ、妙な親近感を覚えました。
「気になる人がいて、バイト先の先輩なんですけど、どうやったらデートできますか?」勇気を振り絞って私に恋愛相談を持ち掛けるティーンエイジャー。
え、LINEで「こんどゴハン行きませんか?」って送ればいいじゃん。善は急げだ今送ろう。何なら僕が送ろうか?と追い立てる。彼女は私の適当なコメントが気に入らないようだ。顔を見ればわかる。
「LINEで未だ友だちじゃないんです!バイトのLINEグループは一緒だから、連絡先を知っていると言えば知ってるんですけど…」LINEの『友だち』と『グループが一緒』の本質的な価値の違いがよくわからない私。手段はどうあれ、連絡先を知っているのであれば連絡すればいいじゃないか。僕だってそんなこと、しょっちゅうやってるよ。「え!それ、超キモイじゃないですか!キモ!」17歳年下の女子大生にシラフでキモイと詰られた秋の夜。
キモイ、か。このあたりの感覚は理解できないなあ。個別にメッセージを送ってくれるだなんて、好意を持ってくれていることの証明なんだから、僕は素直に嬉しいけどね。デール・カーネギーも『犬に学べ』って言ってるじゃないか。
『こちらが近づくと尾を振りはじめる。立ち止まって、なでてやると、夢中になって好意を示す。…(中略)…何の働きもせずに生きて行ける動物は、犬だけだ。鶏は卵を産み、牛は乳を出し、カナリヤは歌をうたわねばならないが、犬はただ愛情を人に捧げるだけで生きていける。──友を得るには、相手の関心を引こうとするよりも、相手に純粋な関心を寄せることだ』
LINEするかどうかはさておき、そのバイト先の先輩とどうなりたいんだい?具体的なゴールは何だ?と、本質的な問いを向けると途端に黙り込む彼女。「だ、だって、同級生の女の子はみんな男の子と毎日LINEしてるし、デートしたり付き合ったり、あんなことこんなことドラえもんみたいにやってるみたいだし…」あたしだけが何もない、と、彼女の瞳は苦痛に溢れている。
つまり、結婚みたいに具体的な目標は特になくて、本音を言うとその先輩のことは大して好きでもなくて、恋に恋しているだけだよね?それなら無理に焦る必要はないよ。チョロい女だって遊ばれるのが関の山だ。現在のために未来を犠牲にする必要は決してない。現在を否定するつもりはないけれど、未来はもっと大切だよ。
「あたしが誘ったんだから」と、手早く会計を済ませる姉。肉体的にも精神的にも満たされた姉妹は「いっぱい食べたし、今夜は歩いて帰るかあ」と大きく背伸びをする。「今夜は〇〇さんにお会いできて良かったです」帰り際、改まって礼を述べるティーンエイジャー。
「お姉ちゃんが紹介してくれるお友達ってパリピっぽい人ばっかりで少し心配していたんです。でも、〇〇さんみたいに知的で優しいお友達もきちんといるんだって、すごく安心しました。あたしも焦らないで、良い恋愛ができるよう頑張ります」緊張も解れ、瞳に光が宿る彼女。そうだ、きっと君は、今日から始まる。


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