軽井沢 川上庵/軽井沢

川上庵。十番在住の酒好きで知らない人はいないでしょう。十番は意外に夜が早いため、明け方まで営業しているお店は少なく、川上庵はその貴重な深夜営業店のひとつなのです。
当店はその本店。蕎麦屋ながら136席を擁し、しかもその殆どを予約で埋めるという軽井沢屈指の人気店。蕎麦屋という響きからは考えられないほどのカッコイイ内外装(以上、写真は公式ウェブサイトより)。
楽しかったオッサン4人旅行もこれにて終幕。軽井沢のビールで乾杯し今回の思い出をラップアップ。

そうそう、川上庵の十番店は、店員が妙に居丈高で調子乗ってる系が多く、客も勘違いしたダサいサラリーマンが多くて良くも悪くも十番的なお店なのですが、軽井沢店は店員も客層もかなりきちんとしていました。
お通しは板わさ。味は中くらいですが見栄なのか矜持なのか蕎麦屋としてのメッセージ性を感じます。
信州前菜三点盛り。くらかけ豆、一人娘、野沢菜です。野沢菜が抜群に美味しい。「この野沢菜は美味しいですねえ」と長野在住者が認める品質です。
朝どれ地野菜のサラダ。地野菜を塩のみでシンプルに。葉物野菜が殊に瑞々しく、野菜本来の味を楽しむことができます。
春野菜の揚げだし。素揚げした旬の野菜を温かいだし汁に浸してさっぱりと仕上げた逸品。野菜はもちろんのこと、蕎麦屋だからかだし汁まで美味。大根おろしも質・量ともに文句なしであり、本日一番のお皿でした。
だし巻き玉子。あんかけが特徴的で薬味の盛り付けが気前良し。しかしながら味自体はそれほど印象に残りませんでした。
鶏もも肉の炭火粗塩焼。ディナータイムでしか提供していない「当店自慢の一品」とのことでしたが、1,500円という値段の割には感動が薄い。皮をガリっと焼いてクリスピーにいきたいのか、優しく火を通してジューシーにいきたいのか、温度を高く持たせたいのか、控えめな熱さをねらっているのか色々と取り組み姿勢が生半でありイマイチでした。
鴨もつ煮込み。鴨のモツとやらを食すのは初めて。鉄分が濃く野趣に溢れ、期待に応える味わいです。もうすこしポーションがあれば完璧。
〆の食事はもちろん蕎麦。4人中3人が特大の有頭海老の天ぷらが2尾ついた「天せいろ上」を注文。やはり何度食べてもこのビジュアルと費用対効果には圧倒される。蕎麦は1,000円で、もう1,000円追加するとこれだけの天ぷら盛り合わせが付いてくるのです。もちろん「みかわ是山」や「たきや」のような妙技を期待できるわけではありませんが、ボリュームは正義です。
蕎麦もそれなりに美味しいですが絶品というわけではありません。あくまでも天ぷらと日本酒を愉しみながら〆の炭水化物という位置づけとするのが良いでしょう。
一方で、当店を特徴付ける蕎麦の食べ方は「くるみだれ」ではないでしょうか。クリーミーに伸ばされた香り高い胡桃の風味。少し甘くコクがあり、やみつきになる味わいです。香り勝負の蕎麦にこれだけコッテリしたタレをぶっこむのは勇気が要りますが、珍しい食べ方であることは確かなのでお試しあれ。
もう少し飲もうということで、ツマミに牛すじ肉と下仁田こんにゃくの味噌煮込み。八丁味噌と信州味噌を混ぜ合わせて煮込んだ体温まる味覚です。牛と言えば長野くん、胃袋が4つあるって知ってる?「知らないってわかってて聞くのはやめてください」

時間は19時半。店内は完全に満員御礼であり待ち順列まで生じています。当然に店員は犯罪多発都市の警察官のように忙しく、お会計やタクシーなどの時間がかかる処理をお願いする場合は少し早めにお願いしたほうが良さそうです。

お会計は4人で30,000円。成人男性が観光地の人気店で好き放題飲み食いしてこの価格であれば悪く無いほうではないでしょうか。ランチで「くるみだれせいろ1,260円」みたいな食べ方をすると全く違う印象のお店かもしれないのでご注意を。また、「十番店よりも段違いに良い」が全会一致の意見だったので、やはりこちらも十番店とは全く異なるものと捉えたほうが良いでしょう。


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