レザンファン ギャテ (Les enfants gates)/代官山

「東京でテリーヌと言えば?」とグルマンに問うと、必ず当店の名前が挙がるでしょう。テリーヌの代名詞、レザンファン ギャテ。「わがままに育った子供たち」という意味です。
並木橋から徒歩5分。東京女子医科大学で有名なRINGRAZIARE KOJI MORITAのすぐ近くにあります。
10年連続ミシュラン1ッ星。それにしても、ポピュラーなフランス料理1本でここまで名を馳せたのは凄いですね。何事も偏執的なまでに拘ると楽園が見えてくる(以上、写真は公式ウェブサイトより)。
ランチに伺いました。テーブルコーディネートは結構可愛く、ナプキンのリボンやお手拭にまで刺繍が入っており信念を感じます。
ランチなので泡は軽く1杯のみ。
とうもろこし、という名の前菜。確かにとうもろこしではあり美味しいのですが、それ以上でもそれ以下でもなく、料理というよりも材料でした。
パンは熱く、しっかりと旨い。
バターには黒オリーブ(?)のパウダーがかかっており、ちょっとしたひと手間が嬉しいですね。ちなみに当店はサービス陣の目が休みなく動いており、出るタイミングと下がるタイミングを心得ています。ゲストに対する心配りは完璧。
活〆鱧と水菜・長芋のテリーヌ。なるほど近代の画期をひらいたテリーヌ屋だけあり、恐ろしく手が込んでいます。鱧そのものはそれほど好きな食材ではないのですが、ここまで構築感のある料理であれば話は別。つまり、美味しいのである。水菜ではなく香りの強いハーブ、例えばコリアンダーなどで作っても面白いかもしれません。
じゃがいもとアサリのチャウダー。アサリの深い凝縮感が堪らない。ジャガイモはあくまでベースであり、とにかくアサリの味わいが前面に出ています。パセリ?バジル?の泡で工夫してくれているのですが、アサリの味しかしませんでした。
スペシャリテの田舎風テリーヌ。一見なんてことのないパテドカンパーニュですが、2週間の熟成をかけているということ。なるほど熟成を象徴するようなまったり感。熟成によってスパイスや脂がまとまりをみせ、ひとつの存在として確立しています。しかしながらミシュラン1ツ星店のスペシャリテでありメインディッシュがパテドカンパーニュ。少し寂しくもある。
ワインは南仏の1本を選択。やや重たくスパイシーな味わいが先の熟成肉にマッチング。
デザートまでテリーヌです。かわうぃ~ね~。私は白鳳とフランボワーズのテリーヌを選択。白鳳とは桃の種類であり、肉質は緻密で繊維が少なく果汁がとても多い。

皿全体としては桃の甘みが極めて強く、フランボワーズの酸味はあまり感じられませんでした。もう少しフランボワーズの存在感が強調されバランスが取ったほうが私は好きかもしれません。
お茶菓子はメレンゲ。バナナ&ココナッツ味にマンゴー&パッションフルーツ。いずれも美味しく、ミニャルディーズで手が込んでいるのは嬉しい限り。わがままを言えばもう少し量を。
コーヒーやエスプレッソも注文できるのですが、イチオシはハーブティー。12種のサンプルの中から選ぶことができます。私のチョイスはヴェルヴェーヌ。奥深い緑の香りと若干のレモン。胃袋が休まります。
なるほどテリーヌ1本だけでここまで上り詰めただけあり、テリーヌの美味しさは間違いないものであり、独創性も感じることができました。

ただ、フランス料理を食べに行くという目的では中途半端かもしれません。もっとカジュアルなお店だったら通いつめたいのだけれど、テーブルクロスの敷いたミシュラン1ツ星店でそれなりの値段を払ってテリーヌばっかし食べるのは違和感。使い勝手がやや難しい。これはシェフの力量やサービス陣に問題があるわけではなく、コンセプトの問題です。

次回は夜に、テリーヌを抑えたフランス料理をオーダーしてみたいと思います。


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