スイス vol2~ルツェルンとベルンで眠りながらあくび~

3月初旬のチューリヒは思ったほど寒くないです。東京と数℃しか変わらず、東京の冬の服装で充分に耐えうることができます。スイス人は基本的に薄着。Tシャツの上に簡単な羽織物をして、その上にしっかりとしたコートを着るといったところ。ただ、帽子を被っている人は東京に比べて多いかもしれません。
チューリヒ中央駅でホストと待ち合わせ、一路ルツェルンへ。
車内で日本酒と大量のお菓子を持ち出すと、目を輝かせて飛びついてきました。スイス人が必死に成城石井のショッピングバッグを漁るだなんて胸熱。あと、彼らも普通にLINEを使ってて変な感じ。韓国と日本だけだと思ってたあのアプリ。
1時間ほどでルツェルンに到着。スイス第4の都市なのですが、都会でありながら人が非常に少なく居心地の良い街でした。

この街に限らず、スイスは全般的に日本に極めて似た国だと思います。勤勉で、親切で、電車は時間を守り、マナーも良い。フランスのことは好きだけど住みたいとはあまり思わない一方で、スイスは住めるかも。
カペル橋を抜け、マーケットを散策。結局のところ、どの国を旅してもやることは同じ。
ライオン記念碑。ルツェルンいちの観光名所です。これはフランス革命時にルイ16世とマリー・アントワネットを最後まで守ろうとし息絶えたスイス人傭兵を表現しているらしいです。

スイスは国土が狭い割に生産性が高い人種だったため、古くから人口過剰に頭を悩ませており、その解決策として血の輸出、すなわち傭兵を欧州各国に派遣することで外貨を手に入れてきたとのこと。表情ひとつ変えずに恐るべき武勇を発揮するスイス人傭兵隊はヨーロッパを恐怖のどん底に陥れたらしいです。

ヴァチカン市国の衛兵がスイス人であるのもその名残。1527年のローマ略奪の際には、2万の軍勢に対しスイス人傭兵は189人のみで立ち向かい、見事クレメンス7世を守り抜きました。不謹慎ですがこういう物語ってワクワクしますよね。もちろん傭兵なので、雇い主の命に従いスイス人同士が殺し合うという悲しい出来事もあったそうな。

スイスは永世中立国であり平和なイメージがありますが、その実は欧州の交通の要所を抑えた少数精鋭の武装国。第二次世界大戦時には四面楚歌になりながらも孤軍奮闘を貫いたむっちゃ強い国なんやで。
ライオン記念碑すぐそばのコーヒーショップで暖を取る。アテンドしてくれた方が事前に調べておいてくれた地元の人気店で、なるほど確かに美味しかったです。
 ルツェルンを外敵から守ってきたムーゼック城壁を横目に見つつ、
ランチタイム。こちらも地元で評判のお店であり、ホストが事前に予約を入れておいて下さいました。ありがたや。詳細は別記事にて。
ホーフ教会を見学しつつ湖畔を散歩。
雪混じりの雨なのが心から残念。スイス人たちは「そろそろお茶にしましょうか」と、やたらとカフェに入りたがります。私は東京において、待ち合わせや読書など余程の目的が無い限りはカフェに入ったりしないので慣れません。そんなにコーヒーばっか飲めねーよ。大体たけーよ1杯700円とかムリムリ。
コインロッカーから荷物を取り出す。9フラン(約1,000円)もするから、やっぱ物価が高いです。
鉄道で移動し、首都ベルンに到着。原則的にクマの街です。至るところにクマの人形があったり、クマそのものが飼われていたりします。ベルンの街を造った人が、「狩りで最初に捕まえた動物を、街の名前にしようぜ」という大学生のようなノリで、ベルンという街の名前が決定し、さらには街のマスコットキャラクターとなったそうです。
800年近く時を刻み続ける時計塔。スイスは長く中立を保っているため、大戦における爆撃の被害が無く、古い町並みが美しく残っているのです。街全体が世界遺産なんだからね。
 街のシンボルである大聖堂を見学した後、
 ニーデック橋を渡り、
バラ公園からベルン全域を望む。写真では上手くお伝えできませんが、息を呑むほどの美しさでした。湾曲した川の内側にびっしりと埋まる麗しい屋根の波。コンセプトは異なりますが、ドブロブニクのようなエレガンスを感じます。世界中を旅して来ましたが、ここまで美しい首都は初めてかも。
連邦議事堂という、日本で言うところの国会議事堂。「政治家がおしゃべりしてるだけの建物です」と皮肉に富んだ解説。そう、スイスの人々は知的レベルが全体的に高いように思えます。頭の悪そうなガキやボーっとした大人があまりいない。
広場では大のオトナが真剣にチェスを。観衆が今の手はどーのこーのと議論しているのが面白い。銀座の歩行者天国で巨大将棋とかやってみたい。
伝統的なお菓子です、ということで屋台で買ってくれました。不思議な甘さで好みではない。それにしてもよく買い食いする奴らだ。常に何かお菓子を買い、みんなでシェアしたがる。
レストランの予約時間まで時間を潰しましょうということで、軽く1杯。そう、日中は「お茶しましょう」ですが、日が暮れると「1杯飲みましょう」に変わるのです。街中のカフェやバーは常に満席。
夕食は老舗のスイス料理屋へ。詳細は別記事にて。

ここで19時から3時間、のんびり会食だったのですが、これが眠くて眠くて辛かった。ロンドンでのインド料理屋を思い出させる睡眠欲。そう、彼らが最高のおもてなしをと完璧なプランを提供してくれるのは心からありがたいのですが、東京から13時間のフライトの後、時差ボケMAXのまま2都市を巡り、夜はしっかりと食事を摂るのは、眠りながらあくびをするほど疲れている旅行者に堪える。

案内してくれる彼らはスイス在住の元気が有り余る若者であり、手負いのアラサーが対等に渡り合えるはずもなく、さすがに放っておいて欲しい気持ちも大きくなってしまいました。もちろんこの感情は私のヘタレっぷりに由来するものであるため、彼らに一切の非はありません。

日本に外国の方を迎え入れる際は、完璧なプランニングを!と気負う必要は無いのかもしれません。ある程度のゆとりを持たせ、場合によっては放っておくのも形を変えたホスピタリティかもしれないな、というのが今回の旅で得た教訓です。

また、旅行者の皆が交流好きというのは大間違いで、誰にも邪魔されずにひっそりと旅を楽しみたい人もいる。そのような機微をアドリブで感じ取り、その時々に応じて最適なプランを提供できるような柔軟性を育むことが、真の国際人への第一歩だと体感しました。

「スイス」シリーズ目次

スイス関連の本は手当たり次第に読みましたが、やはり地球の歩き方が最も上手くまとまっていました。Kindleに入れて持ち歩けば旅行でも荷物になりません。この情報量で1,700円は安い!


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旅行が好きです。油断するとすぐに旅に出ます。楽しかった大型旅行の先頭記事をまとめました。リンクに飛んでから、順々に次のページをめくって頂ければ幸いです。