SES(セス)/恵比寿

恵比寿「ALTRO!(アルトロ)」のメンバーが渋谷氷川神社ほど近くに新店をオープン。店名の「SES(セス)」はシステムエンジニアリングサービスの略称、ではなくセッションの冒頭3文字のことだそうです。ガレージをリノベした物件であり、日本離れした店構えです。
店内はオープンキッチンで、カウンター席が10席ほどにテーブル席。奥には個室もあるようです(写真は公式ウェブサイトより)。

セッションと言えばテレンス・フレッチャーが統べるパワハラ学校を思い起こすのですが、当店のスタッフは皆ほんわかと柔らかい雰囲気であり、その空気感に釣られてか客筋もオラつくことはなく、「ALTRO!(アルトロ)」時代と同様に善男全女が集う店という印象です。
グラスワインが豊富で、20種類近く開いているのではなかろうか。加えてイタリア産に拘ることなく新世界のものも積極的に取り入れており、結果としてお値段控えめに繋がります。せっかくのラインナップなので、ワインはお料理に合わせてもらうのが良いでしょう。
コースもあるのですが、我々はアラカルトで注文。まずは「氷見産ブリと文旦のサラダ 聖護院かぶのピューレ。コッテリとしたブリにカブの優しい甘味が心地よい。
パンはトップに散りばめられた粒々(何かの穀物?)含め、素朴ながら深みのある味覚です。
「金目鯛と冬キャベツのヴァポーレ アイオリソース」が絶品。お魚の美味しさは当然として、アラから取ったスープが丸ごと旨く、キャベツの甘味と相俟って奥ゆかしい味覚です。風邪ひいた時に食べたい。
「香住蟹と百合根のリゾット」は香住蟹(ベニズワイガニ)にお肉がたっぷり。チーズと共にハッキリした旨味を感じるのですが、百合根のこれまたハッキリとした甘味と上手くバランスが取れています。
「米沢牛のボロネーゼと京春菊の手打ちタリアテッレ」は想像以上に肉と春菊が多く、ハンバーグに春菊とパスタの付け合わせ的な楽しみ方があります。ソースには赤ワインとマルサラを用いており、合わせる飲み物として赤ワインが良く合います。このあたりの味覚の方向性はシェフとソムリエの入念な打ち合わせがあってこそでしょう。
メインは「蝦夷鹿のサルシッチャ カルダモン香るレンズ豆のピューレ」。猛々しい味わいの肉がギュっと詰まったサルシッチャ(ソーセージ)であり、見た目以上の存在感があります。レンズ豆やブロッコリー風の野菜との組み合わせも良く、カリニャンとのコンビネーションも見事です。
デザートは「ブリアサヴァランのクレープシュゼット」をチョイス。チーズの強い乳脂肪とせとか(みかん)の爽やかな味覚のバランスが心地よい。ソース(スープ?)は温かく柑橘の余韻を余すところなく楽しみます。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり2万円弱。料理のポーションは小さくお店の推奨よりもひと皿多く注文したのですが、それでももう1皿イケたかなという腹具合。我々のような大食漢が訪れると思いのほか高くつきますが、小食でそんなにお酒を飲まない女子たちにはバチバチにハマることでしょう。つまりは最初のデートに最適だ。

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