アンティキサポーリ(Antichi Sapori)/広尾

振り返るレベルの美女と1年ぶりにデート。美女と言うべきか、美しさと可愛さが同居する、小嶋陽菜と有村架純の中間点に位置する女の子。つまり私はウキウキです。「1年ぶりかあ、あたしはタケマシュラン読んでるからぜんぜん久しぶりな気がしないけど」
電車でのアクセスは広尾駅から徒歩5分。我々は十番から歩いて行きました。南イタリアはプーリア州の有名店「アンティキサポーリ」の日本支店(?)。本店の雰囲気を再現するため、家具はもちろんのこと、床材や壁材、クロスや釘に至るまでイタリアから輸入したとこと。女子率高めで皆さん大変お上品。客層良し。
飲みたかった泡の在庫が無く、仕方なしにこちらをチョイス。やはりこういうテンションで選んだワインは大体ノリが悪いですね。「インポータ―が書いてない。直輸入してるのかなあ」とは彼女の発言。目の付け所が酒飲みである。
プーリア料理は前菜がテーブルに乗り切らないほど次々と出てくるのが特徴。まずはビーツに野菜のケーキ的なもの(?)。甘味が決してわざとらしくなく和やかな一皿で開幕。
ストラッチャテッラ(イタリア風かき玉スープ)。モッツァレッラ的なチーズが湯葉のようにトロトロと溶け、乳そのものの味が濃い。

「お肌、とんでもなくキレイだよね。何かやってるの?」バチンと音を立てて目が合いどぎまぎする。特に何もしてないよ。洗顔後の極潤ぐらいかなあ。適度な運動に充分な睡眠、上質な食事。畢竟、肌の美しさはライフスタイルである。

ちなみに洋の東西を問わず男女問わず肌がキレイな方がモテるのは、「肌がブツブツなヤツは疫病の可能性が高いから避けろ」という情報が、数億年にわたってヒトの遺伝子に組み込まれてきたかららしいです。
パンは3種。奥底に転がっている一口プレッツェルみたいなものが、ポリポリサクサクと良いツマミ。

「人相って大事よね。ある程度の大人の場合、第一印象でコイツ無理って思ってから挽回した試しがない。若い子たちはまだまだこれから変化していくんだろうけど、30過ぎたあたりから性格は確実に顔に出る。だから顔が無理な人とは距離を置くようにしてる」圧倒的な美人がこう発言すると凄みがあります。
ラザニア。チーズの量が控えめで、他方、野菜はたっぷり。右側はファラフェル(豆のコロッケ)のような食感ならびに味わいで、凝縮感があって結構好き。
パスタは複数種からのチョイス。私はトロッコリという、プーリア州の手打ちロングパスタを選びました。クリーム状のソースに乳製品は用いられておらず、茄子を主軸とした野菜のペースト。ザクモチっとした食感に食べ応えがあり、ソースの円みのある甘さにノックアウト。本日一番のお皿でした。
メインは馬のヒレ肉に豚のサルシッチャ(ソーセージ)。赤身が強く筋肉質。見た目ほどヘヴィな味わいでは決してなく、もっと食べたい欲が出てしまうほど軽やかな食べ口でした。サルシッチャは旨味たっぷりの脂質がグッド。
またリストに載せてるワインの在庫がない。せっかく時間をかけて選んでいるのに在庫ナシだと物凄くガックリくるので、このあたりもう少しちゃんとして欲しいところです。代わりに提案された1本は結果的に良かったものの。
デザートはオレンジ風味のケーキならびにアイスに、チョコレートケーキ(?)。派手さはありませんが、素朴で優しい味わいでした。
食後酒3種が飲み放題。男女でのデートの場合、男が女に飲ませて酔わせてワンチャンあるかというのが話の本筋ではありますが、彼女は自ら、こっちが心配になるぐらいクイクイと飲んでいくので、その潔さには爽快感すら覚えます。
小菓子としてオレンジピールにナッツ、メレンゲ。オレンジピールをモグモグ、リモンチェッロをクイっ、ナッツをポリポリ、再びクイっ。これは楽しい無限ループ。
リモンチェッロと生クリームを混ぜてガンガンに冷やしたものがたいそう旨く、1本空けてしまいました。「わはは、われわれのテーブルに置いたのが間違いだったな」彼女はとても楽しそうに笑う。

今夜はありがとう。やっぱりキミと飲むと楽しいよ。圧倒的に楽しい。去年はあんまり遊びに行けなかったけど、今年はもっと会いたいな。「ふーん、他の女の子にも同じこと言ってるんでしょ?」まあね。だって本心なんだもん。僕は真実しか言わないけれど、すべてを言うとは限らないよ。
 「でも、あなたがあたしと一緒にいて、すごく楽しんでるってこと、あたしにはわかってたよ」物凄い自信だねえ、と私はからかう。「そうじゃなくて、あたしも楽しかったってこと。人相の話じゃないけど、最高に楽しいって、あなたの顔に書いてあった。それはあたしも同じ。最高に楽しかったよ」
「今度はインターコンチ、1回挟もうっか」挑戦的な笑みを湛えながら彼女は言う。ここだけを切り取ると非常識極まりない不倫全開の発言ですが、我々の間で「インターコンチ」とは「溜池山王のインターコンチ内にあるシャンパンバーの飲み放題で記憶を失うまで泡を飲もう」の意。泥酔必至。こうご期待。


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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
十年近く愛読している本です。ホームパーティがあれば常にこの本に立ち返る。前菜からドルチェまで最大公約数的な技術が網羅されており、これをなぞれば体面は保てます。

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