ビストロ ルボングー/栄町(沖縄)

「番組終わったらすぐに行きます!」と、ある芸能人の来沖仕事と私のダイビング期間が偶然に重なるという奇跡。部屋でテレビを観ながら待機していると、本当に彼女が画面の中に現れて不思議な気分。
指定されたお店はBistro Le Bon Gout。山羊料理を中心とした地産地消をモットーとするビストロです。
「お待たせしました!」と元気良く店内に飛び込む彼女。ついさっきまで画面の中にいた人と食事をするというのは珍しい体験です。
暑い一日だったのでオリオンで乾杯。

○○さん(私の名)に撮ってもらった写真を使うようになってからオーディションが連戦連勝で!お世辞じゃなくてほんとに人生変わりました!」のっけから私に対する感謝の雨あられ。相手の姿勢は自分の姿勢次第です。これまで何事にも誠実に生きてきて良かった。
お通しはマグロのピンチョス。まさか沖縄の場末の飲み屋街でここまで手の込んだお通しが出てくるとは!東京のとりあえずお通し代で500円取っとけ的な店は反省するように。
前菜盛り合わせ。なんと美しい。無限の広がりを持つ味覚のパレットに那覇で巡り合えるとは。中央は島野菜のバーニャカウダ。その他、ラタトゥイユにやんばるキノコのサラダ、石垣産モッツァレラとトマトのカプレーゼなど、自然とファーム・トゥ・テーブルに通暁しているシェフ。只者ではありません。
ハウスワインをカラフェで。4杯取りなのでちょうど良いですね。トレッビアーノだったっけなあ、サッパリと気軽に飲めて沖縄の夜にピッタリです。

「事務所から全部SNSやめさせられちゃって。本当はインスタとかで情報収集したいんですけどね」彼女はつまらなそうに口をすぼめながらワインを一息で飲み干す。まあ、それは有名税として光栄に捉えましょう。
ヤギパッチョ。山羊のカルパッチョです。「表面を強火でリソレした後に真空調理。中心温度は58℃を超えないように1℃単位で管理」と、くどいようですが沖縄の場末の飲み屋街でこんなにレベルの高い料理に出遭えるとは。
赤ワインもカラフェでGO。

「少し前にカレシができたんですけど、、、付き合い始めてからすっごくヤキモチ焼きってことが発覚して。あたしがこういう仕事だってわかって付き合ってるくせに」あるあるですねぇ。付き合うまでは何としてでも気を引きたいから、自らの欠点(ヤキモチ焼き)をひた隠すものである。
山羊肉のチーズ焼き。煮込んで柔らかくした山羊肉を自家製ガーリックトーストに載せ、チーズを載せてオーブンで焼き上げる。予想通りの味に満足。山羊料理が苦手な方でも気軽に受け入れられることでしょう。チーズはシェーブル(山羊のチーズ)にするなど、その道を追求するのも面白いかもしれません。

ところで気軽に恋人とか作っていいの?と問う。「別に恋愛NGってわけじゃないんですよ。でも、そんなことに時間をかけてるぐらいならもっと仕事しろよ、って雰囲気はありますね。まあ、今のカレシは暇つぶしみたいなもんだし、そろそろ考えようかな」
山羊のシチュー。山羊肉と皮、ホルモンを沖縄産の香味野菜と赤ワインで煮込んでいます。フォン(出汁)は山羊の骨から引いているとのこと。なんと手間のかかる料理なのでしょう。山羊の野趣溢れる味わいが響いて美味。やや酸味が強く感じたのですが、そこはまあ好みといったところでしょうか。
山羊のパスタ。山羊肉がたっぷりのアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノに山羊のスープをひたひたに注ぐ。スープがとにかく優しい味であり、雑炊もかくやと思わせるほどスルスルと胃袋に落ちていきます。素晴らしい〆料理でした。

深い叡知と洞察力を感じた店でした。ここまで凝った山羊料理を出すお店は東京でも見当たらないのではないでしょうか。それでいて飲んで食べてひとり7,000円を切ります。ここまで費用対効果の高いフランス料理屋は世界を見渡しても稀。オススメです。

「また写真撮ってくださいね!」と大きく手を振りタクシーに乗り込む彼女。太陽のような笑顔に接しているとこちらも元気が漲ります。明日のトレーニングも頑張れそうな気がしてきました。


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