ビストロ食堂 Chez Nori/中城(沖縄)

今夜もテレビの中の人。沖縄は街の規模の割に芸能関係の受け入れが先進的な気がします。「那覇じゃちょっとアレだから、車まわすね」と、わざわざ私の滞在先にまで車で迎えに来てくれました。
那覇から北上し、中城村(なかぐすくそん)へと向かう。ザっと一雨通り過ぎた後に、見事な虹が空に架かる。
普通の観光客であれば決して通らないような道を、彼女は軽快にステアリングを捌きながら駆け抜けて行きます。「いい店でしょ。普通の観光客って、国際通りで飲んで終わりじゃん?あのあたりは全部東京の人がやってるだけ。こういうお店はダレも知らないの」
メニュー表からメインを選択した後は、スープやサラダは食べ放題。ライスがあるのは良いとして、その脇にカレーがあるのが面白い。量で不満をこぼすことはまず無いでしょう。
オリオン生で乾杯し、東京からのお土産を手渡す。もちろん彼女のホームは東京であり、東京のものをお土産としてお持ちしてもゼロ意味なのですが、こういうのは気持ちが大事なのです。
メインが到着するまではスープとレタスで間をつなぐ。スープは単なる液体ではなく、きとんと具も含まれており嬉しくなる、

「ねえ、あたしのこと記事にしたでしょ。ちゃんと読んでるんだから」さて問題です。彼女はどの記事のことを言ってるのでしょうか?当サイトにある記事につき「あれは全て妄想でありフィクションではないか?」と疑義の念を抱く方がたまにいらっしゃいますが、人物を特定されないよう手心は加えているものの、エピソードや発言内容は全て事実なんだからね。
メインが出来上がるまでの間、店主がサービスでピザトースト(?)をお出しして下さいました。ハート型に成型されており可愛らしいです。

「ハートねえ。今のカレシがさ、ほんと頼りなくって。マザコンなのかなあ。あたしはずっとひとりでやって来たってのに、煮え切らなくって。こんど誰か紹介してよ。一般の男性も悪くないかも」一般の男性の紹介なら任せろ。なんせ私は仲人2.0なのだから。
メインディッシュが到着しました。あぐー豚のハンバーグにフォアグラ、ローストチキンです。フォアグラが絶品。特にソースが美味しいです。フランスのビストロで食べるそれと同等です。ハンバーグも旨い。肉そのものが旨く、「肉と言えば牛肉を思い浮かべるのは大きな間違いだぞ」と語りかけてくるかのようです。
赤ワインをカラフェで。気前の良いサイズであり、運転のある彼女を差し置いて恐縮。「ちゃんと送るから、気にしないで好きなだけ飲んで」言われた通りにガブガブ飲む遠慮の無い私。
肉食な彼女は大盛りのチキンに牛ステーキ。後者は真っ赤っ赤な部位であり野生動物を思わせる豪快な逸品。

キミは精神年齢がとても高いから、いっそのこと、うんと年上と付き合うのもいいんじゃないの?と提案「うーん、年上ねえ。あたし、上から目線な人とか絶対に無理なんだよね。『お前はそんなことも知らねーのかよ』なんか言われようものなら、生きていることを後悔させてやりたくなる」
〆はカレー。これは非常に良く出来たシステムですね。腹八分目から100%まで自分のペースできっちりと埋めることができます。味も申し分なし。すっかりおなかいっぱいになりました。

『年上』と『上から目線』は全く別物だと思うけど。少なくとも僕はキミに対してそんな態度で接したことは一度もない。「あなたは特別。いや、特殊っていうのかも」だまし絵の階段を登っているような感覚がしないでもないですが、褒め言葉として受け取っておきましょう。
デザートにクレマカタラナ。スペイン・カタルーニャ地方の郷土料理です。フランスの『クレーム・ブリュレ』は全体に火を通して固めますが、『クレマ・カタラナ』は、カスタードクリームを冷やして固めます。

ひんやり冷えたクリームのサクサクとした食感にキャラメリゼされた苦味がベストマッチ。パッションフルーツのソースも心憎い。本日一番の皿です。テイクアウトがあると聞き思わずまとめ買いしそうになりましたが、そうだここは旅行先だった。

お会計で驚愕。ひとりあたり3,000円を切っています。これは都会のフランス料理屋のアンチテーゼに成り得る。観光客は普通訪れることのない地域ではありますが、機会があれば是非どうぞ。

「この日とこの日のあの番組に出るから、ちゃんと観てね」ブレーカーが落ちたような静けさの車内に彼女の声が響き渡る。行きは渋滞で1時間近くかかった道のりが、帰りは30分もかかなそうだ。雨上がりの夜風が心地よい。こんなドライブがいつまでも続けばいいのにな。


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