県庁近く、国道8号線沿いにある「魚匠庵(ぎょしょうあん)」。回転寿司でお馴染みの「金沢まいもん寿司」がプロデュースする海鮮居酒屋であり、石川じゅうの港から旬の地魚を直送でお届けします。ちなみにお隣には「金沢まいもん寿司」の本店があり、100台を超える駐車場を誇ります。
店内はバリ広く、カウンター席からテーブル席、個室に宴会場と何でもござれ。慶事に利用する方も多いそう。ランチであってもネット予約できるのが便利です。従業員のオッチャンオバチャンの仲が非常に良く、飲食店として理想的な職場に見えました。私は期間限定の「ごちそう香箱蟹2杯丼」を注文。4,500円です。1日に20食の限定品であるため、予約の時点で取り置きしておいて頂きました。香箱蟹とはズワイガニの雌のことであり、主に北陸地方でそう呼ばれています。資源保護のため漁期が11月~12月と短く、この時期しか味わえない貴重な味覚です。
雄のズワイガニに比べて小ぶりですが、ダブルで盛り付けて欠点を補うという直線的な解決策です。
脚の身は雄に比べると細くはあるものの、繊細な甘みとを楽しむことができます。お店の方がほぐしてキレイに盛り付けてくれているので、何より食べ易いのがいいですね。
ちなみに内子とはカニの卵巣のことであり、甲羅の中にあって、茹でると 鮮やかなオレンジ色に変化します。ねっとりとした舌触りが特長的で、カニ味噌と混ぜて食べると更に風味がアップします。外子はカニの卵のことであり、赤い粒状でプチプチとした食感が楽しい。
シャリはドーンと丼サイズ。地味に玉子焼きもたっぷりと盛り付けられているでの、すっかりお腹が膨れました。
お椀は海苔のお味噌汁。外観はグロいですが、磯の香りと出汁の旨味の調和が心地よい。素朴な味わいではあるものの、香箱ガニというスター選手の控えとしては充分な活躍を見せてくれました。以上の丼が4,500円。立派な日本料理店や鮨屋で同じものを食べることを考えれば実にお値打ち。「川㐂(かわき)」のように雄も含めて山ほど食べるのはイベントとしては楽しいですが、なんせ高い。文春は鳥取の「かに吉」による高級ブランドガニ偽装疑惑も報じているし、なにかと難しい業界なのかもしれません。
普通の消費者であれば、当店ぐらい(と言ってもトップティアには属しています)の香箱ガニで充分でしょう。漁期は12月末までなのでお早めに。
関連記事
北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
- 一本杉 川嶋(いっぽんすぎ かわしま)/七尾 ←能登半島にゴールデンルーキー現る
- レ・トネル(Les Tonnelles)/金沢 ←世界一炎上に耐性のないお店。
- ベルナール(BERNARD)/金沢 ←デジタルNG。大切な方と素敵な時間を過ごすためにどうぞ。
- ロスタル(L’OSTAL)/金沢 ←2度目3度目の金沢であれば是非当店でフランス料理を。
- Installation Table ENSO L'asymetrie du calme(インスタレーションテーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルム)/金沢 ←ただ単にお値打ちというだけでなく、料理のひとつひとつが大変凝っており、しっかりと美味しいのが素晴らしい。
- A_RESTAURANT(ア レストラン)/金沢 ←イノベーティブ・フュージョン系では頭ひとつ抜けている。
- 味処 大工町 よし村/金沢 ←どこかの石油王の予約と取り違えているのではないかと心配したレベルの満足度。
- 銭屋(ぜにや)/金沢 ←金沢でしっかりとした日本料理を食べたいのであれば、いの一番に検討すべきお店。
- 鮨処あいじ/金沢 ←ガタッ!と、思わず立ち上がりたくなるような価格設定。
- 乙女寿司(おとめずし)/金沢 ←我が心の北陸ナンバーワン鮨屋。
- 壽司 なを㐂(すし なおき)/金沢 「金沢で良い鮨屋ない?」と東京の人間に聞かれれば、いの一番に推したい鮨屋。
- 蕎味 櫂(キョウミ カイ)/金沢 ←〆の食事に蕎麦が出る王道の日本料理店。
- ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE)/七尾 ←気が遠くなるほどの費用対効果の良さ。