瑠璃紺(るりこん)/船場町(熊本)

熊本県でミシュラン2ツ星を獲得した3店舗のうちのひとつ「瑠璃紺(るりこん)」。街のど真ん中から10分ほど歩いた船場町に位置します。開業は2013年。
店内はテーブル席がいくつかに、アイスホッケーのペナルティボックスのようなカウンターが2~3席。(恐らく)ご夫婦+アプレンティスといった陣営であり、「ミシュラン2ツ星の日本料理店」という語感からは考えられぬほど家庭的です。アルコールも安く、ビールや日本酒は千円を切り、ワインの値付けも悪くありません。
紅玉の白和え。調味は控えめであり、クルミとゴマの風味をしっとりと楽しむひと品。
まるっとセコガニが出て来ました。1.3万円ほどのコースにこのカニ量は気前が良い。加えてやっぱりきちんと盛り付けられているのは良いですね。「川㐂(かわき)」のようなプレゼンテーションは楽しいのですが面倒でもあるというお気持ちです。
お造りは伊勢海老にハイウオ。ハイウオ(羽魚)とは熊本の方言でカジキマグロのこと。AWが旬の熊本ではメジャーな食材であり、さっぱりとした口当たりで美味しかった。
お椀はフグ。ヒレの部分をバリっと炙っており、正月のお雑煮のような焦げたニュアンスが楽しい。
焼き物はサワラ。でっぷりとした厚さのものをしっかりと味噌に漬け込み、アジコイメに仕上げます。付け合わせのセロリとショウガの爽やかな酸味が名脇役。
炊き合わせは海老芋にアワビ、金時ニンジンにデカいゼンマイ。ホックリねっとりした食感の海老芋とアワビのスタイリッシュな旨味が良く合います。
さあここから揚げ物が来て、肉が来て、、、と期待していたのですが、スパっと締めの白ごはんでフィニッシュです。「そんな風に過食させる日本料理なんて東京だけの流行。このくらいの量が適正」とは連れの談である。
甘味でフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上を食べ、ワインをふたりで1本飲んでお会計はひとりあたり1.8万円ほど。もう少しガッツリ食べたかったなあ、というのが正直なところですが、価格を考えれば寧ろ割安とも言える質および量でしょう。食べ終わった後でもまだ食べたい料理が一流の料理なのだ。

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