Le Michelet/パリ15区

今夜はホテルの近くで軽くすまそうとスマホを手繰ると、徒歩10分ほどのところに「Big Fernand」 があることを発見。パリにおける大人気のハンバーガーチェーンであり、私の大好物でもあります。
が、その斜向かいに何やら生活に根ざしたビストロがあることに気づく。ううむ、「Big Fernand」 は既に行ったことがあるし、何よりチェーン店だ。せっかくフランスに来ているのだから、ここにしかない料理を目指すべきでしょう(「Big Fernand」もフランスにしかないけど )。
まだ18時台であったため店内はガラ空き。近所のオッチャンたちが立ち飲みでワイワイやってる程度です。しかし何かがおかしいことに気づく。そう、店員がアジア系ばかりなのです。人種差別するつもりはありませんが、やはりフランスに来ているのだからフランス人によるフランス料理を食べたかったのが本心。
メニューを見ると、伝統的なビストロ料理の他に、春巻きやパッタイ、カレーなど世界各国の料理が狂喜乱舞。これは完全にアウト。人種差別するつもりはありませんが、こういうことを異国の地で平然とやってのけるのがアジア人である。
乾杯は「Affligem(アフリゲム)」。ベルギーの由緒正しき修道院ビールであり、1074年から変わらない製法で作られているそうな。由来と見た目からは考えられないほどフレッシュでスッキリした味わいでした。
前菜はウフマヨ。ウッフすなわち卵にマヨネーズの略であり、ビストロ料理の定番メニューです。しかしながらこれがマックス不味い。不味いというかマジでただのゆで卵に既製のマヨネーズをのせただけであり、こんなもん幼稚園児でも作れるでしょう。やはり冒頭の嫌な予感は自信から確信へと変わった。
メインはお国柄の影響を受けづらい(?)牛肉のタルタルを注文。コレはアタリでした。ネギトロかと見まごうほど細く惹かれた牛肉に、ピクルスやケッパー、ハーブ・スパイスなどが入念に練り込まれています。旨いじゃないか。今度自宅でもやってみようかな。ひとりでユッケつくってひとりでお腹痛くなってるだけじゃあ日本の法律に触れないですよね?
お会計は料理だけだと1,500円程度でした。ううむ、前菜のウフマヨは冗談として、あのレベルのタルタルを含めて1,500円ディナーであれば、ナシよりのアリかもしれません。少なくとも家の近所にあれば、悔しいが何度か通ってしまいそうである。地元のオッチャンたちの溜まり場となっているのにも納得。

食後はアジア人店主が「どこから来たんだ?何人だ?」と声をかけてきてくれました。アジア人ふたりが互いに怪しいフランス語で会話し謎のシンパシーが発生。「今夜は遠くからやって来てくれてありがとうな。まあ、お互いアジア人同士、頑張っていこうや」的な笑みを残して彼は厨房に消えていく。これぞ海外旅行の醍醐味。心温まる瞬間でした。
ホテルに戻るとカクテルタイムが始まっていたので少しつまむことに。前夜の部屋でのトラブルの相手方であるニイチャンが「こんばんは!今夜はコレとコレが美味しいですよ!」と、まるで何事もなかったかのように爽やかな笑顔で声をかけてきます。メモリが小さいのかそもそも最初から何も考えていなかったのか、日本人同士であれば考えられないカラっとした距離感。やはりフランスは面白い国である。


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