ビストロシンバ(bistrosimba)/新富町

銀座一丁目のフランス料理店「ビストロシンバ(bistrosimba)」。このあたり徒歩十分圏内に駅が10個ぐらいあってアクセスは最強。それなのに目の前は公園が開けていて、中央区のエアポケットのような気持ちの良いエリアです。
店内はカウンター4席にテーブル席が20ほどあり、まさにビストロといった内装(写真はぐるなび公式ページより)。ちょっとギュウギュウ詰め感は否めませんが、そのあたりも含めて愛くるしい雰囲気です。

菊地佑自シェフはフランスで長く過ごしたのち、帰国後は麻布十番「Bistaurant RNSQ (エレネスク)」の厨房を預かったのち、2015年に独立しました。
ワインリストはなく、何本か持ってきてもらって解説を受けながら選んでいくスタイルです。見慣れないものも多く面白いセレクションですが、もう少し下限を加減してくれると嬉しい。
お通しに馬肉のタルタル。私はソウルから帰ってきたばかりなので生肉にはうるさいモードに入っていましたが、単なる肉というよりは様々なスパイスにハーブ、フキノトウなどのアレンジが組み込まれておりオシャレな味わい。アミューズと言わず丼いっぱい食べたいところです。
春キャベツと貝。具体的には赤貝・ミル貝・ツブ貝で、いずれも歯ごたえと風味が異なり色んな味がします。ここはひとつ日本酒をという気分になるのですが、柑橘(文旦?)の風味が味わいをハイカラにまとめ上げます。
パテ・ド・ジビエ。家畜の軟弱な味覚よりも深みがあり猛々しい味わい。脂の密度も濃いような印象を受け、ネットリとした大人の味わいです。
タケノコと豚肉。このタケノコは美味しいですねえ。実山椒をスパっと香らせており和の趣きさえ感じさせます。フランス料理でタケノコを美味しく食べることができるのかと感心しました。豚は北海道の食肉集団エレゾのものを用いているそうで、凝縮感があってうまうまくんヒヒーンです。
対馬の穴子の炙り焼き。そう聞いて「あなご亭」クラスのものを期待したのですが、思いのほか飾り気のないものでした。もちろん充分に美味しいので、「あなご亭」のそれが異常だっただけかもしれません。
メインは京都の七谷鴨。シンプルにガガガとローストしたものですがバリ旨い。脂身が多くビジュはギョっとしますが、その脂が旨い。付け合わせの根菜類も見事な出来栄えです。
デザートはパリ・ブレストを頂きました。リング型のシュー生地の間にプラリネ(焙煎したナッツ類に加熱した砂糖を和えてカラメル化したもの)のクリームがサンドしてあるフランスの伝統菓子で、当店のそれには中心にバニラアイスも潜んでいます。ヘーゼルナッツの風味がどんとこいで、デザートながらアドレナる旨さです。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。銀座でこのクオリティのフランス料理を食べてこの支払金額は驚異的。中央区の奇跡と言えるでしょう。お店の雰囲気はカジュアルですが料理は高級レストラン路線であり、これぞビストロノミーと唸ってしまう構成です。

場面で皿出しのテンポは悪くなりますが、公式ウェブサイトにデカデカと「一皿一皿丁寧に仕上げておりますので、混雑時にはお待たせする事もございます。何卒ご了承ください」と記してあるので文句を言ってはいけません。

気の置けない仲間たちとガッツリ旨いものを食べに行くぜ!みたいなノリにピッタリなお店。ブイヤベースもスペシャリテのようなので、次回はそちらを注文してみたいと思います。

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