夕(セキ)/三軒茶屋

床島にて至高の焼鳥を堪能した後、「少し歩くけど、とっておきのお店があるんです!」と連行される。彼女は某ホテルチェーンの広報。宿泊施設だけに留まらず当然に飲食店にも詳しい。
夕。夕方のユウと書いてセキ、と読みます(写真は公式ウェブサイトより)。○で囲えばタケマシュランのアイコンにもなるため入店前から親近感。
メニューを開いて恵比須顔。酒が安いのです。例えばこの而今は180mlで900円。その半分の量で1,000円近く請求するお店が多い中、当店の価格設定には心躍る。

「この前マネージャーに『え?タケマシュランの知り合いなの!?是非ウチについて書いてもらってよ、お金は出すから!』って言われちゃって。『彼は無理ですよ。絶対にお金で動いたりしない厄介な人だから』って答えておいたんですが、、、ダメ、ですよね?」
お通しは青菜(?)の温かいおひたしにたっぷりのシラスと手が込んでいます。お通しが温かいと嬉しいですよね。それだけで作り置き感が排除される。

うーん、ありがたいオファーだけど、お断りさせてもらうよ。別に僕はお金のために記事を書いているわけじゃない。殿馬がフォークボールを投げるために指の間を切ったわけじゃないのと同じかな。それに『厄介な』は余計だ。
「爆弾サラダ」を注文すると、想定外に焼き海苔とネバネバ系がやってきました。納豆に温泉玉子、たくわん、オクラ、白身魚の刺身(タイ?)、たっぷりのネギ。なるほどこれはおにまるで言うところの五色納豆ですね。
「これはこうして海苔で包んでね」と彼女が指南。もちろん私も良く知った食べ方なのですが、奸知に長けた私はまるで理解できないというフリをし、「あーんして。ハイ、あーん」と、流れるようにフィニッシュまで持っていきました。これは好意を誘導する一種の催眠術である。
「じゃあ今度、ウチのホテル、一緒に泊まりませんか?」これは完全に枕営業である。枕営業というか、枕そのものである。

意馬心猿。姿勢を正し、それはファイナルアンサーか?と真面目に問う。「フフ、冗談ですよ。あたしは案内だけして夜には帰ります。記事にしてくれるなら無料でご招待するんで、いつでも言って下さいね!」大人をからかうものじゃない。貴様はカーテンの刑じゃ。
ワカサギの南蛮漬け。自宅で作るのが面倒な料理を気軽に注文できるのが外食の醍醐味。ワカサギのホロ苦い風味の良さはもちろんのこと、上品な出汁をたっぷり吸った茄子まできちんと美味しい。しかもボリュームたっぷり。これは来るたびに注文したい料理です。
「でも、○○さん(私の名)って不思議な方ですよね。好きな女の子のタイプってどんなですか?」うーん、『明るい』『嫉妬しない』『自立している』かなあ。『嫉妬しない』ってのは男女のヤキモチだけじゃなくて、成功者を羨んだり世の不公平を嘆いたりしないことを含めてだけど。
「じゃあ、あたしのこと、どう思います?」ドキリというような色気を感じて慌てて目をそらす。大人をからかうものじゃない。貴様はカーテンの刑じゃ。


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三茶は店主の思い入れの強い哲学のあるお店があっていいですね。ちなみに三軒茶屋は「さんげんちゃや」ではなく「さんげんぢゃや」と読むのが正解です。これ豆な。

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