中目黒いぐち 上ル 麻布十番店/麻布十番


「近々またお会いしたいです~。空いてる日、教えて下さいね!」と、蒼井そら似の女の子から連絡。候補日をいくつか返信すると即決。ウダウダといつまでも日程調整が終わらない人とは関わらないようにし始めてから、私の周りにはシリコンバレーのようなスピード感の人しかいなくなりました。
鳥ビアーのビルの3F、中華料理屋の上にある、なんてことのない雑居ビルのドア。「え?ここのドアで本当に大丈夫!?」と女子を不安にさせるのが当グループの手口です。
先日は焼鳥のほうにお邪魔してすっかり不満足だったのですが「天ぷら&串揚げの店もある」とのことであり、業態が異なれば方向性も変わるのではないか、人気店であることには間違いのだから、と一縷の望みを託して入店。
「ひさしぶり~!もう、半年ぐらい会ってなかったよね。初めて会ってからちょうど1年だから。記念日だね!カンパイ!」彼女はとても愛くるしい顔である一方、ヒールを履くと175cmを超えてくる巨人。そのギャップが堪らない。
フォアグラのコロッケ。焼鳥と仕入が同じなのか、やはり低品質のフォアです。臭みとエグ味が目立ちグッタリとする一口目。
茶碗蒸しはショウガがきいていて悪く無い。しかしながらこのポーションの小ささは謎。大して直接材料費が高くない食べ物なのでから、もっとドーンと構えて欲しいところです。
ひとくちカツサンド。こちらも意図がわからず頭を抱える。この時点でやっぱり今夜もダメなのか、と肩を落としてしまいます。
8時間かけて取った贅沢鶏スープ。これは素直に美味しいですね。鶏よりも鶏の味が濃く、マジ卍な味覚です。
日本酒に移行。3種しか置いておらず、しかもそのうちのひとつがド甘口なものであったため、私的には2種。それなりには捌けると思うので、もう少し種類を増やして欲しいところです。
野菜の和サラダ。家で食べるサラダと大差ありません。
「大地のほっぺ」というモッツァレッラチーズの天ぷら。これはグッド。トロトロと解かり易いチーズ味が口腔内を支配します。
エビの頭。凝縮感に溢れておりツマミに最適。あと2ダースは食べれます。スポイトの中はレモン汁。
車海老なのですが、私の小指ほどの大きさしかなく心が満たされない。天ぷらという料理においてエビとは照魔鏡のようなものなのだから、もう少し矜持をもって取り組んで欲しいところです。
秋刀魚。天ぷらとして食べるのは初めてですが、なかなかイケます。
イカ。こちらはどNな味わいで記憶に残らず。
アナゴなのですが、ぴえーん、美味しくないよう。やはり個体が小さく低体温症な味わいに力を落とす。タレ的なものをスポイトに入れるのもどうなんでしょう。ケミカルな物体に見えて食欲が削がれます。
左はレンコン、右は鶏天。これらは悪く無い味覚。特に鶏天は好物ということもあり気持ちが満たされました。
串カツに移行。ハムカツに子持ち昆布。ハムカツは普通のハムを揚げただけ。子持ち昆布はザクっプチプチっな食感が楽しく、面白いアイデアです。
豚ロースと牛ヒレ。これらは素材が良くありませんね。1本80円の串カツ屋と大差ない味わいです。
茄子。こちらも秋の深みが無いというか、非常にプレーンでコンパクトな味わいでした。
ニンジンのかき揚げ。煩瑣な調理を要する割には量が少な食べ辛い。
〆に野菜が4種。アスパラに、
マッシュルーム、サツマイモ、ぎんなん。いずれもどNな味わいで特に印象はありません。
追加でクレマカタラナを注文。濃い卵の風味にキャラメルのビターな風味が突き刺さる。別料金だけあって中々の味わいです。

ふたりで合計23,000円でした。高杉晋作です。この費用対効果の悪さは不輸不入権のように納得がいかない。大阪のミシュラン星付き串揚げ屋よりも高く、味は足元にも及びません。天ぷらについても九州に行けば1,000円かそこらでそれなりのものが食べることができることを考えると、生気を失ってしまいます。大阪では、九州では、と出羽守になるのは申し訳ないのですが、やっぱり見掛け倒しに感じてしまうなあ。もちろん従業員の皆さんに責は無く、そもそものコンセプトの問題だと思います。
「ああ~、よし!決めた!」唐突に決意を固める彼女。決めたって、何を?「明日は朝早いから、ここで食事したらそのまま帰ろうって思ってたの。でも、ダメだ。やっぱ楽しい。だからもう1軒いく!でもイッパイだけだからね!」1杯なのか、いっぱいなのか、それが問題だ。


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