Terra Restaurant/Saint Helena(Napa Valley)


サンフランシスコのAme、ナパのTerraと両方のお店でミシュラン1ツ星を維持しつづける宮城県出身の曽根さんの店。地元とアジアの食材をアレンジしたカリフォルニア料理のお店です。
19世紀の建築であり、非常に赴き深いです。お店に入った途端、「あー!来た来た!」と店員同士で盛り上がるので、すわ「お代は結構ですから悪く書かないで下さい」とシェフに懇願された話の再来かと身構えます。

事情を聞くと、opentableから確かに予約は入っていたのですが、日本のアカウントから予約していたため、予約名がカタカナ表記となっており、画面を見ても全く読めなくて困っていたそうな。このような事態は開店以来初めてとのこと。意外とみんなopentable使ってないのね。間違いは無く証拠も残るのですごく便利なんだけどな。
雰囲気のあるダイニング。照明は極力抑えられ、大きな窓からの自然光が主体。5月初旬の19時ぐらいでこの明るさです。服装は思ったよりもカジュアル、私や隣のテーブルの方はジャケット着用でしたが、スラックスにポロシャツのようなラフな服装のゲストも見受けられました。
壁面にズラリと並ぶお宝ワイン。食事中、たまに肘がガタって当たってドキっとします。
4皿、5皿、6皿のコースがあるのですが、お店側が出す料理を固定するのではなく、20種ほどのメニューから自分たちで組み立てるスタイルです。惜しくも閉店した麻布十番のオルタシアと同じ仕組みですね。デザートを抜きにして全部食事、何なら全部肉料理にしてしまっても良いとのこと。
バケットは普通。バターも味が緩く印象に乏しかったです。
妻と私が思い思いに注文するのでワインのペアリングは至難の業。結果として魚介類が多くなったので、万能選手のシャルドネ先輩で1本通すことに。適度な樽とブドウの旨味で好き。しかも48ドルとかなり安い。下は30ドル代からあったので、ミシュラン星付きレストランにしては良心的です。ただしそのすぐ隣に数百~数千ドルもするカルトワインがあったりもします。
鶏レバーをお団子状にして、アーモンドやココアパウダーをまぶしたアミューズ。間違いなく美味しいですが、ビストロレベル。形を変えるだけで印象的な逸品に見えるという意味で勉強になりました。
本日のオススメ的な料理はサーモン。サーモン自体は予想通りの味で問題なし。海草がたっぷり添えられているのですが、磯臭さは全くなくコリコリとした歯ごたえを湛えて美味しかったです。イクラの皮が妙に厚いのは違和感。総括すると、アメリカ人が作る和食やハワイ料理のような食後感です。
ロブスターのトルテリーニ。ラビオリみたいな食べ物です。アメリケーヌソースが濃厚で文句なし。シメジはアメリカ人にはウケるのかもしれませんが、個人的には不要もしくはもっと野性的なキノコのほうが合うのではないかと思いました。
連れはSpring Pea Salad。グリーンピースっぽい感じの豆のサラダ。「これは私でも作ることができる」と不満そう。
アミガサダケのリゾット。とんでもない量のパルミジャーノがぶちまけられており、チーズの味が濃く、リゾットの芯も適度に残り、どう考えたって美味しいです。これを「重い」「飽きる」と評する人がいたとしても、「不味い」と言う人はいないのではないか。それほどわかり易く安定感に満ちた味わいです。
エゾアワビにホタテ、エスカルゴバター、トサカノリ、トランペット茸。アワビは悪くないのですがもう少し大きい個体で食感を楽しみたいところ。ホタテは凡庸。全般的にバターを使いすぎるきらいがあり、若干飽きが来ます。トサカノリ(サラダに入っている赤い海藻)はアメリカ人にとっては物珍しいかもしれませんが、日本人の私にとってはコンビニサラダのオマケ程度にしか映りません。もちろん当店はアメリカ人向けのレストランなのでこれで良いですが。
タコにアサリのブロードを。タコの磯の香りがたまらない。とてつもない凝縮感。アメリカ人ってタコを食べない人が割と多いのに、この思い切りの良い料理には拍手。スローフードの代表格であるファッロ(スペルト小麦)も上手に取り入れており、本日一番のお皿です。
メインは骨付きカルビの醤油煮込み。バクテーのような香りが漂い、アジア料理に近いかも。焼いたニョッキのカリっとした食感と、内部のムチっとした舌触りが楽しかった。

どれもわかりやすい味わいでハズレがないレストランです。うまくアジアの食材や日本のエスプリをきかせた調理が多く、アメリカ人にとっては素晴らしい料理の数々でしょう。奥ゆかしい和ではなく、ハリウッド映画的な和。

海外で奮闘する日本人シェフという意味でチューリッヒのSeinは私の口には合いませんでしたが、ああいうのがスイス人にはウケるのかなあ。他方、当店の味わいは嫌いじゃないので、日本人、というか私とアメリカ人の評価基準が割と近しいのかなあ。
トイレが落ち着かないぐらい広い。10畳ぐらいある。思わず写真を撮ってしまいました。



「北米西海岸」シリーズ目次
今回の旅行ではこの本が心から役立ちました。食やワインに特化したサンフランシスコの紙媒体って意外と少ないんですよね。同じく西海岸を旅する友人に勧めると、5秒の立ち読みで買いました。オススメ!


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