グリーチネ (GLICINE)/藤沢

シェフはアロマフレスカグループ(品川アロマクラシコ、丸ビルエッセンツァ、品川カフェクラシカ)出身。片瀬海岸のクラリタダマリッティマアロマフレスカ名古屋を経て2013年に当店をオープンしました。
店名のグリーチネはイタリア語で「藤の花」を意味するらしいです。したがって、中央にある大きな花瓶は藤の花でしょうか。採光が良く席間にもゆとりがあり居心地の良い店内。

「藤沢ってセレブタウンって言われてるじゃん?」彼女は身を乗り出して言う。「だけど意外にファミリー層が多くって、みんなサイフの紐が硬いの。だからこういうお店がほんと少なくって」セレブタウン、と思わず私はひとりごちる。藤沢ってセレブタウンなんだ初めて聞いたよ、というコメントが真っ先に浮かびましたが、彼女の気分を害するのは本意ではないので口をつぐむ。
名刺代わりに差し出された安納芋のスープ。味そのものは良いのですが、栗きんとんが液状化現象をおこしたような甘さであり、最初の一口としては強烈すぎます。

平日の昼間からワインを楽しむ彼女。「ほら、あたし、カフェで働いてたからさ、飲食店って食べ物だけ注文されると原価ギリギリで全然儲からないんだよね。だから『水でいいです』って飲み物を頼まない奴は死刑」ううむ、わたしはこのあと予定があるため水である。死刑はつらたん。
パンにはジャガイモが練りこまれているとのこと。しかしながら私のヘボい味蕾ではその風味を感じることができず。

酒を頼まない客に対しておこなお店は『当店はワンドリンク制です』『2人で1本以上のワインを飲め』って最初からハッキリ言えば良いだけじゃないか。客に自由を与えておいて、その自由を謳歌すると文句言うのはお門違いだと思うのだけれど。他人にはあまり多くを期待すべきじゃない。と思わず反駁しそうになったのですが、彼女の気分を害するのは本意ではないので口をつぐむ。
前菜盛り合わせ。ワオ!たっぷり!2,300円のランチコースでここまで豪華な前菜が出てくるとは驚きです。

アランチーニ(ライスコロッケ)は秋刀魚が練りこまれており旨味と苦味が一致団結。他方、カボチャのムースは先のスープとベクトルが同じであり飽きが来ます。注目すべきは山盛りの湘南野菜。野菜ひとつひとつが大地を感じる味わいであり、ディップするマジョラム風味の自家製マヨネーズも実に美味。紫大根のマリネも量がたっぷり。
ちなみに野菜の下にはマッシュポテトが敷き詰められています。この一皿とパンだけで並のOLは腹パンであろう。

「あたし、テーブルマナー、ちゃんとしてるかなあ。色んな良い店連れてってもらってるんだけど、自分がきちんとしてるか不安になっちゃって。この前はクリスマスパーティの試食会があってリッツ・カールトンに行ったんだけど、スタッフに囲まれながら食べるから緊張しちゃって」まずパンは自分の左手にあるものを食べろ。話はそれからだ。しかし彼女の気分を害するのは本意ではないので口をつぐむ。
アジとタマネギのスパゲッティ。アッチアチのスープの中に、たっぷりのアジとタマネギが泳ぎます。山盛りのネギが特長的であり、トータルでは和食のような味覚。全体にふりかけられたライムが面白い彩りを与えており、実に美味しいパスタでした。
デザートにはプラリネのセミフレッドにエスプレッソのグラニテ。ゲンコツほどの大きさがあり大迫力。滑らかな口当たりのセミフレッド(半解凍状態のデザート)にナッツの香りが優しく響きます。エスプレッソのグラニテ(シャーベット)が徐々に溶けていくのも味わいに変化が生まれてグッドです。
カフェもたっぷりで大満足。2,300円のランチコースでこの充実度は素晴らしい。「旨いものを腹いっぱい」という裏コンセプトがあるのではないかと勘ぐるほどにボリュームが感じられるお店でした。地元の食材を多用するのも好ましい。次回は是非夜にお邪魔して、一通りのコースにワインを楽しみたいと思います。

ところで今日はどうしてこんなに口をつぐみっぱなしなのかというと、私はおひとりさまでの来店であり、この会話は全て隣の客のものだからです。


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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
十年近く愛読している本です。ホームパーティがあれば常にこの本に立ち返る。前菜からドルチェまで最大公約数的な技術が網羅されており、これをなぞれば体面は保てます。

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