和酒バル KIRAZ(わしゅばる きらず)

目黒の住宅街にある知る人ぞ知るスペイン料理店「和酒バル KIRAZ(わしゅばる きらず)」。どの駅からも徒歩15分以上を要し、また、隠れ家にも程があるだろうと言うほど闇に隠れたお店です。とは言え会員制のような排他的なお店というわけでは決してなく、誰でもネットから予約できます。
エクステリアの暗さを引き継ぎ店内も暗いです。店内はカウンター席が4-5席にテーブルがひとつと小さな小さなお店。実家が蔵元の馬宮加奈シェフがワンオペで孤軍奮闘します。
お酒は全て日本酒のペアリングでお願いしました。全体を通してアルコール低め糖度高めな酒質が多く、女子ウケしそうなラインナップです。よく飲む客だと見做されれば気前よく注ぎ足しして下さいます。
まずはマダイのセビーチェ。目と鼻の先のロブションよろしくドット柄が可愛らしい。お魚の質はベリー高く前菜として最適なひと皿です。
トモサンカクのカルパッチョ。柿・パプリカ・クレソンと共にひと口で頬張り口中調味を
愉しみます。
アワビをじっくりと煮込み、キノコと共に頂きます。どっしりと濃密なソース(スープ?)にはピスタチオのアクセントがきいてるのだ。
白子のフリット(?)に濃厚なリゾット。トドメを刺すとばかりにサフランの風味のきいたチーズを粗削りし、実に旨味の強いひと皿です。
パプリカの中には熟したイチヂクが詰まっており、どっしりと青カビをきかせたペーストと共に味わいます。味覚の密度が高くアジコイメで酒が進む進む。
メインは徳島でサツマイモを食べた育った「徳島金時豚」。ほどよく脂身を湛えつつも肉そのものの味がしっかりと伝わります。様々なスパイスをブレンドした秘密の粉がいい味出してる。
以上の料理を食べ、ペアリングのお酒をさんざん飲んでお会計はひとりあたり1.3万円。飲んだお酒の量を考えれば非常に良心的な支払金額です。加えて、日本酒に対する愛情がひしひしと伝わってくるのが実に好印象で、近くの「ミズノトリ」とはまた芸風が異なるのが面白い。日本酒界隈は女子の活躍が目覚ましいなあと、しみじみ感じた夜でした。

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