レストラン ローブ(Restaurant L’aube)/六本木一丁目

大好きなフレンチレストラン「レストラン ローブ(Restaurant L’aube)」が東麻布からアークヒルズ仙石山森タワーへと移転。これ以上は無いというほどのオフィスビルのロビーに入居しており、セキュリティゲートがバカバカ開閉する脇に高級レストランの入口というのは興味深いアプローチです。
お店は以前に比べて随分と拡張しており、ダイニングに個室を含めて30席はあるでしょうか(写真はPR Timesのプレスリリースより)。厨房も広々としており仕事がし易そう。サービス陣も随分と増員しているように見えました。

今橋英明シェフは日本とフランスにおける数々の名店で腕を磨き当店を開業。2017年からミシュラン1ツ星を堅持しています。平瀬祥子パティシエールも凄腕で2020年にゴ・エ・ミヨのベストパティシエ賞を受賞。現代日本における最強のフランス料理夫妻でしょう。
ウェルカムドリンクとしてカカオニブからエキスを抽出したもの。第一印象はお酢っぽいニュアンスがあるのですが、口に含むとしっかりカカオです。
ワインペアリングは高名な石田博ソムリエが監修したものであり、味や組み合わせは悪くないものの、妙に新世界が多く割高に感じました。このワインなんて酒屋で買って2千円前後だもんなあ。普通のワインラヴァーはワインリストから自分で選んだほうが納得感があるかもしれません。
アミューズ凝りに凝っていて、一口のタルト風のものから、、、
塩気のきいたフィナンシェに、、、
ひんやりとした一口に肉の詰まったコロッケと、当店の調理技術の高さを象徴する品々が続きます。
夏牡蠣に鎌倉野菜。シェフは農業にも従事していたことがあるそうで野菜については一家言あり。細かく刻んだ夏野菜がギュギュギュと詰まっており、牡蠣の主張を喰ってしまうほどの存在感がありました。
自家製のブリオッシュはパティシエール自ら取り分けて下さいます。バターがたっぷりと詰まっており、リッチな香りに淫します。
フォアグラに鰻。この料理は素晴らしいですねえ。どちらも主張の強い食材なのですが、ワサビやアサリなどの風味を聞かせながら上手に味覚を溶け合わせ、新たな輝かしい生命体ともいえるハーモニーを感じさせてくれます。
甘鯛のウロコ焼き。皮目を思い切りよく焼いてパリパリと香ばしい。ソースには海老の風味が感じられ、また、たっぷりの薬味(?)を途中で混ぜ合わせながら、贅沢な味変を楽しみます。
黒アワビにキノコ。アワビ由来の濃厚なソースに夏茸のふくよかな香りが加わりラブい味わいです。アワビのクニクニした食感って、どうしてこう美味しいのだろう。
メインは仔鳩。ポーションこそ小さいですが旨味はギュギュギュと詰まっており存在感のある味覚。底に敷かれた有機黒豆もコクがあって良いですね。
デザートで第二幕が開けます。和梨を可愛らしく並べ、また全体に柑橘のニュアンスをきかせたひと皿で、見目麗しいプレゼンテーションであるものの口当たりは軽く、気を持たせる味わいです。
メインのデザートは恐らく冒頭のカカオと繋がりがあるのですが、何と言っても茄子のアイスクリームが絶品ですね。秋を予兆するプレゼンテーションに偶然を装った必然とも言える組み合わせの妙です。
隠れたスペシャリテのボンボンショコラ。ひと粒ごとにフレーバーは異なり、それぞれに悲喜こもごものドラマが詰まっています。提供される際にはキンキンに冷えたお皿でと、スイーツに強い拘りが感じられるフィナーレでした。
水出しのアイスコーヒーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。相変わらず素晴らしい食体験ではあるのですが、以上を飲み食いして3.5万円というのはインフレを加味しても、随分と高くなってしまったなあという印象です。

インテリアコードは引き継いでいるものの、以前の住宅街の中の知る人ぞ知るフランス料理店という印象からはかけ離れ、良くも悪くも立派なグランメゾンへと変貌を遂げました。今後はミシュランの星の数が増え、港区女子とそのおじさんが出入りするようになり、外国人がブルゴーニュを根こそぎ開けまくるお店となるのかもしれません。人生は選択の連続だ。

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