中華香彩JASMINE(ジャスミン)/広尾

恵比寿と広尾のちょうど中間。明治通り沿いにあるガラス張りの印象的な外観。ランチ時には行列が生じ、ディナーにおいては予約必須の人気店。ミシュランにおいてはビブグルマン(安ウマ店)として認定されています。
カウンター席がいくつかにテーブルがいくつか。トータルでは30~40席はありそうです。従業員数も多く皆慌ただしそうに働いているのですが、料理提供のテンポはあまりよくありません。中華料理のメリットはそのスピード感にあるのになあ。たった2人で20席近くを回している六本木「52 (ゴニ)」 の実力を再認識しました。
生ビールがこのサイズで800円と、カジュアルな雰囲気からは割高です。悔しいので続きは700円の瓶ビールに切り替えたのですが、途中で「瓶ビールは売り切れました」と、トヨタであればぶっ飛ばされかねない需要予測です。
お通しは大根の漬物(?)にフレーバーを纏ったカシューナッツ。このカシューナッツが後を引く美味しさであり、おうちで真似してみようと心に決めました。
前菜盛り合わせは税込みで4,000円オーバーと迫力のある価格設定である。左上のテリーヌ的な何かは臭味が残りイマイチ。左下の春雨(?)にタレがかかったものは淡白で、4,000円の一画を占めるには力不足。右のクラゲは黒酢の風味が強く美味しかった。
前菜盛り合わせに含まれるチャーシュー。ハチミツの風味が響き悪くないのですが、量が少ない。前菜盛り合わせ4皿で4,000円すなわち1皿1,000円。香港であれば同等かそれ以上のクオリティで倍の量で半額で食べることができるでしょう。
スペシャリテの 「よだれ鶏」。蒸しあげた鶏肉に香辛料の風味を投影し、黒酢を主体とした甘味とラー油の辛味が交錯する。間違いなく美味しいのですが、やはり量が少ない。
焼き餃子は「よだれ鶏」のタレと一緒に頂きます。肉の存在が大きく小籠包のように肉汁に溢れ、外皮のカリっと感と共に美味しかった。
黒酢の酢豚。肉は国産肩ロースを用いており、肉そのものの味わいが美味。根菜のシャキっと感も料理にリズムを生み出し、濃密なタレも後を引く美味しさ。
麻婆豆腐は挽肉の量が多く、豆腐料理というよりは肉料理に近い。覚悟していたほど辛味は強くなく、瞬で食べ切ってしまいました。
「四川式!和牛ロースの激辛ヒーヒー煮込み」と随分と煽るメニューなのですが、これも全然辛くないですねえ。しかし味は抜群。肉は珍しく薄切りでスパイシーなすき焼きといった風情であり、たっぷりのパクチーと共に油の1滴最後まで旨かった。横浜中華街「景徳鎮」とまでは言いませんが、もう少し辛味を。
食事に「濃厚胡麻みそ担担麺」。私は山椒バリバリ系の担々麺を好むのですが、当店はマイルドな白味噌テイストでした。干しエビやザーサイの旨味は悪くないのですが、どうにもパンチに乏しく、記憶に残りづらい1杯です。
「黒チャーハン」は地味に旨い。中国のたまり醤油と牛ミンチを香り高く炒めたものであり、パリっとカラっと、それでいてムシャムシャと、食感が素晴らしいものでした。

飲んで食べてひとりあたり8千円ほど。うーん、これなら幡ケ谷の「チャイナハウス龍口酒家(ロンコウチュウチャ)」まで行っちゃうなあ。いずれの料理も一定以上のレベルを保持しているのですが、皿によっては驚くほど量が少なく、また皿出しもサービスも適当であり、平たく言うと旨くて高いバーミヤンです。ランチであれば1,000円強で定食を食べることができるようなので、それはたいそうお得ですね。神楽坂「エンジン(ENGINE)」同様、昼と夜で印象が大きく異なるお店に感じました。


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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
1,300円としてはものすごい情報量のムック。中国料理を系統ごとに分類し、たっぷりの写真をベースに詳しく解説。家庭向けのレシピも豊富で、理論と実戦がリーズナブルに得られる良本です。

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