清水(東京プリンスホテル)/御成門

東京プリンスホテル1Fの和食レストラン。85席とかなりの大箱であり、一面の大きな窓からは、東京タワーと豊かなグリーン。
「酒楽活菜」という、毎月第3木曜日に開催される、蔵元を招いてのイベントに参加。予約制であり、一通りの料理と日本酒が飲み放題で1万円。今回のテーマは「毛蟹」とのこと。
席に着くと、イベント責任者がBダッシュで駆け寄り、まずは1杯とビールを注いで下さいました。おお、日本酒しかないと思っていただけにこれは嬉しい。名刺を差し出し当イベントに対する意気込みを語る責任者。大人の文化祭のような雰囲気があります。
花山葵お浸し。悪く無いのですが、盛り付けがちょっと雑。大勢参加するイベントだから仕方ないのかもしれませんが、1万円の食事の外観としてはちょっとアレです。
蔵元は八鹿酒造(大分)と藤井酒造(広島)。社長自らが各テーブルを周り、お酌をし、意見を交換する。ついでに料理長も厨房からひっぱり出され皆と和やかに談笑するなど、雰囲気の良いイベントです。八鹿酒造の「八鹿 大吟醸あらばしり」が特に好み。
前菜は右上から時計回りに豆腐、ホタルイカ酢味噌掛け、ヤリイカのカラスミあんかけ、毛蟹の錦紙巻き、サーモンの博多揚げ、ソラマメの蜜煮です。

サーモンの博多揚げがお気に入り。サーモンのわかりやすい塩気にチーズの単刀直入なコク。万人受けする味覚です。ちなみに「博多揚げ」というのは、色が異なる材料を重ねた揚げ物のことで、はさみ揚げと同じような料理を指します。博多帯の織り柄のように2種類以上の色が違う材料を重ねて、切り口がしま目になるように細工するからそう呼ぶそうな。
お造り代わりの毛蟹酢。ふぎょぎょ!とんでもないボリュームです。脚の裏側には味噌がたっぷりの甲羅の部分もあり、たっぷりの日本酒と共に最高か。余すところなく楽しむべく、ひたすらにカニをほじほじ無言のひととき。
焼き物はサワラ。コッテリとした味付けであり、物凄く足し算な料理です。旨くはあるのですが品位に欠ける。

そうそう、サービスについて。イベントで忙しいのはわかるのですが、料理をボンと置いて何の説明もなく立ち去っていく対応は何とかならんか。ひらまつの株主フェアも似たようなコンセプトですが、もっと心が篭っており、おもてなしされてる感を楽しむことができるのに。
煮物は毛蟹の黄味寄せにジャガイモ、桜麩、菜花など。これはなんというか、デパ地下の惣菜レベルです。テーマである毛蟹の良さが伝わって来なかった。
ここで何故かサラダ。ところどころ刺身は乗っていますが、居酒屋の海鮮サラダと大差なし。なぜここでこのような料理を出すのか意図がわかりかねる。
食事は蟹雑炊。これは見た目通りの味わいであり、カニのエキスが盛り沢山で実に旨い。欲を言えば量が少なくおかわりしたかったっす。
甘味は果実ゼリー寄せ桜クリーム掛け。ゼラチンが多くで固く、また、砂糖の投入量も膨大であり、コンビニスイーツレベルです。

東京のホテルの和食店でひと通り食べ、日本酒は飲み放題で1万円というのはリーズナブルかのように見えますが、やはり宴会料理感は否めずサービスも雑。オッサン6人でワイワイと飲みに来るには良いかもしれませんが、グルメなカップルがしっぽりと日本料理を楽しむという感じではないでしょう。大勢でどうぞ。


このエントリーをはてなブックマークに追加 食べログ グルメブログランキング

関連記事
和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。