HI-CACAO CHOCOLATE STAND(ハイカカオ チョコレートスタンド)/代官山


「代官山にダンデライオンを使ったスイーツ屋ができた」と、チョコレート仲間より通報があり、早速お店に向かいます。
2018年2月8日オープンと新しいお店です。代官山らしいというかなんというか、シャレオッティなエクステリア。店名の「HI-CACAO」とは、カカオ含有量70%以上のチョコレートを指す「HIGH CACAO」と「Hi!( ハーイ!)」の 2つの意味が込められているそうな。
土曜日のオヤツどきに入店したのですが、店内は大混雑。席数が少なく、ゆっくりと滞在する雰囲気ではありません。ところどころ行列ができ、立地の良いスタバのような混み具合でした。
ディスプレイやメニューを見て連れと顔を見合わせる。妙に安い。 はて、当店は「ダンデライオン・チョコレート」のシングルオリジンBean to Barを使用しているのではなかったか。
例えばJPHでホットチョコレートを飲めば1杯1,433円(税込)という腰を抜かす金額を請求されますが、当店のそれであればたったの350円(画像は公式ウェブサイトより)。また、まともなチョコレートを用いたスイーツなんてのは1つ1,000円近くするのが相場であるのに、当店は180円から。この値付けの安さは異例どころか異常である。
ホットチョコレートを一口。ああ、なるほど、全然ダメですね。砂糖の味覚が支配的であり、カカオの風味に乏しい。イースト香や豊かな酸味など、Bean to Bar的な特徴を感じなくはないですが、ミルクの量も極めて多く、どちらかというとハイミルク・ハイシュガー・ローカカオです。連れは「本当にごめんなさい。誘ってしまって本当にごめんなさい」と平謝り。そうだお前が悪いんだもっと謝れ。
フォンダンショコラ。注文を受けてから焼き上げるのですが、提供する食器が紙皿とプラスチックスプーンという時点で食べ物に対する愛情が感じられません。どろどろに溶けた液体を口に含むとザラりとした砂糖の味覚。ハーシーズのチョコシロップのようにひたすらに甘く、頭がクラクラとしてきました。 ベルアメールの食後感にすごく似ています。

「技術力だよね。確かにカカオ含有量を増やすと焼きづらくなる。砂糖と小麦粉を増やしたくなる気持ちはわからないでもない」わからないでもないが、当店のテーマは『ハイカカオ』ではなかったか。
セットのソフトクリームも紙コップにこねくり回しプラスチックスプーンを突き刺すというテーマパークのような対応。パピコのようにザラザラとした舌触りであり滑らかさに欠け、ミルクのコクにも乏しい。パーキングエリアのご当地ソフトクリームのほうが余程レベルが高いでしょう。
極めて商業主義的なお店でした。「ダンデライオン」「ビーン・トゥ・バー」「シングルオリジン」「ハイカカオ」などの流行りのキーワードは張り子の虎であり、やはり耳触りのいい話は疑ってかかるべきだと再認識。

もちろん何でもないスイーツ屋であれば私もあれこれ言いませんが、チョコレートに一家言あると匂わすのであれば、それ相応の品質を期待するものです。しかし匂わすことと匂うことは根本的に違う。カカオに対する愛情や執念は微塵も感じられず、紙皿や紙コップ、プラスチックでの提供は理屈抜きで不愉快になる。味覚ではなくファッションとして楽しむお店なのでしょう。


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男、かつ、左党の割にスイーツも大好きです。特にチョコレートが好きですね。JPHが基準なので、スイーツの評価は厳し目かもしれません。

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