ラス/表参道


実業家の連れとちょっとしたパーティに顔を出す約束をしていて、その前に軽く腹ごしらえをしていこうか、ということで当店へ。偶然にも当日予約で入れましたラッキー!

L'AS。女性に人気のお店です。私の友人も「インスタで見ない日は無い」と言っていました。シェフはフランス修行後、麻布十番カラペティバトゥバのシェフを務めた後、L'ASとお隣のCORK(ワイン主体のレストラン)をオープン。場所は表参道のルメルシマンオカモトの近くです。
L'ASを予約したのですが、通された席はCORKでした(写真は公式ウェブサイトより)。この融通の利く方式は経営者にとって非常に優れた手法ですね。勉強になります。
食べ物5,000円のコースにワイン5,000円のペアリングをお願いしました。まずはシャンパーニュ。厚みこそ小さいものの、酸味が豊かで食欲が刺激されます。
ミモレットのひとくちコロッケ。歯型を刻むとチーズのコクと旨味が大爆発。良いアミューズです。
スペシャリテのフォアグラのクリスピーサンド。きちんとパックされており手が込んでいます。
遊び心だけでなく、これはかなり美味しい(写真は公式ウェブサイトより)。バランスのとれたフォアグラがイチゴジャム(?)のフレーバーと共に楽しく味わうことができます。ポーションも結構大きく食べ応えがありました。ただし一点、「ハーゲンダッツをイメージして」というキャッチフレーズはいかがなものか。
あわせるワインはアンリ・ジローのラタフィア。これが見事にピッタリ。本日のベストカップルズ賞を贈呈。

クルーズどうだった?ちょっと痩せたよね?」と私のおなかを掴む連れ。食事の量が少なくて味もイマイチだったので、確かに少々ほっそりしたかもしれません。
生のカブにレモンと白ワインジュレのソース。カブを生でこのようにして食べるのは初めて。面白い試みです。フレンチレストランだけでなく、和食店でも活用できるかもしれません。

そっちはどこそこに行ったんだよね?と話を続けると「そう、なんだか最近人気で値上がっちゃって。ちょっと広めの部屋を借りたら2泊で100万円近くかかっちゃった」
酸味が豊かで先に白ワインジュレに合うのですが、ペトロールがはっきりしておりクリアなカブを邪魔したかもしれません。

そうそう、高級リゾートと言えば、年末にカジノ法案が無事可決されたよね。僕もIR(統合リゾート)に一枚噛みたいから、近々シンガポールに行ってマリーナ・ベイ・サンズで勉強してくるよ、とやっとの思いで返すと「あ、あそこのオーナー知り合いだ。紹介しようか?」
うずら豆とビーツのスープにラディッキオ・ロッソ・ディ・トレヴィーゾ・タルティーボ。イタリアの高級野菜です。当店は生産者から直で仕入れているとのこと。

独特の苦味と仄かな甘味。うずら豆も優しい。ただし個人的にはもっと動物性のコクを加えてワイルドな味わいにしたほうが好きです。
見た目とは裏腹にしっかりと辛口でとてもタイプ。先のスープとぴったりです。
パンは程良くザクザクした食感で好き。
白子にホタテのムースをまとわせキャベツでくるみ、パイて包んで焼いたもの。たっぷりのソースはケッパー主体で結構な酸味。カリフォルニア料理のような装いとその味です。パイのサクっ、キャベツのザクっ、ホタテのしっとり、白子のトロっ、が折り重なり見事なハーモニー。
久しぶりに飲む南アフリカのシャルドネ。これが驚くほどレベルが高く、ブルゴーニュの傑出した作り手のそれだと言われても信じてしまうと思います。品の良い樽の香りとバターのようなふくよかさ。宝石を溶かしたような味わい。
メインはエゾジカのローストに先のスープでも出たタルティーボ。益々の赤色はエゾジカのラグー(煮込み)のソースです。非常に筋肉質でヘルシーな味わい。食べるほどに元気が出る、野性味溢れる一皿でした。
赤ワインもドンピシャ。当店はワインペアリングが本当に素晴らしいですね。ワインを飲み慣れていない方からすると、料理5,000円にワイン5,000円って勇気がいるかもしれませんが、当店は料理に勝るとも劣らずリーズナブル。ワインと食べ物の妙を知る際の入門編にちょうど良いです。
こちらは追加料金でチーズ料理。モンドールに生クリームにマッシュルーム、ヘーゼルナッツ。これは特に印象に残らず。これまでの料理に比べると影が薄いです。
こちらも追加料金のヴァンジョーヌなのですが、チーズと同様に失速気味。
気を取り直してデザート。まずはトマトのコンポートにバジルのジュレ。ひとくち目はそのままで、続いてオリーブオイルを加えて頂きます。

まずはトマトの酸味で口腔内が浄化され、新鮮なオイルと共に太陽を感じる味わいに。変化もあり美味しかった。
安納芋のモンブラン。こちらは大迫力。やはり先ほどのモンドールは遠慮しておけば良かったと後悔。栗に比べるとソフトな口当たりで郷愁溢れる一皿。アマレットの香りも心地よく、メレンゲの香ばしさは最終的に胃袋のゴールに押し込んでくれる名FWでした。
オリジナルブレンドのハーブティ。込み入った配合のハーブのようですが、私はコーヒーが良かったです。ただしこれは私がそもそもハーブティをそれほど好まないからであり、ハーブティに罪はありません。

費用対効果に優れた見事なお店でした。5,000円でこれだけの料理を出せるのは入信するレベル。こうなってくると価格を3倍ぐらいにして、シェフのフルパワーを堪能したくなっちゃう。

高価格帯だとエロカッコワルイおっさんとプロ然としたオネーチャンが多く、私も同じように見られているんだろうなあと身の置き場がなかったりするのですが、当店の客層は女の子同士であったり、若いカップルであったりと、健全な空気が立ち込めています。人気があって当然。初デートに最適なお店でしょう。

さてこの後、冒頭の予定通りにパーティに参加したのですが、彼女のお顔があまりにもエレガントであり、ボディラインも健康的かつそれを気前良くアピールするドレスであったため、男性陣からの声のかかり方が並大抵ではありませんでした。

もちろん彼女はモテ・ネイティブなのでこのような場は慣れっこなのでしょうが、私は売れっ子アイドルへの接触を捌くマネージャーよろしく気忙しい。



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