TERRA/麻布十番

ビストロエルミタージュという非常に使い勝手の良いお店があって愛用していたのですが、私の知らぬ間に閉店していました。思い出の店がまたひとつ消えていく。

居抜きでオープンする店の名はTERRA。オーストラリア料理のソルト系のお店のようです。ご近所さんはランチに行ったことがあり、「ハンバーガーが中々良かったよ」と高評価だったので、安心しての入店です。
内装はビストロエルミタージュから殆ど変わっておらず、初めて訪れるお店なのに親近感。それにしても週末の夜だというのに何故かガラガラ。ビストロエルミタージュはもとより、当店もメニューを見る限りはリーズナブルなのにどうしてでしょうか。もはや風水とか形而上的な問題にすら思えてきます。
泡好き女子と一緒だったので当然にオーストラリアの泡。ピノとシャルドネの混醸でヴィンテージは2006。もう10年も前に摘まれた葡萄なのですね。色が濃く、旨味も強く値段の割に驚くほど美味しい。ううむ、新世界のワインの費用対効果には唸ってしまう。

「この色の濃さはロゼっぽい造り方をしてるのね。ええと、ホラ、なんだっけ?」ソムリエ教本の最初から3ページ目ぐらいに載っている知識なので、まさかと思いながら『セニエ』のことかい?と答えると、「ああ、それそれ!」と素人か。
ブリのカルパッチョ。チーズとハーブも軽やかなアクセントとなっており、真っ直ぐに美味しい。これで600円とは十番の家賃を考えるととんでもない企業努力だと思います。
パンはがっしりとした布袋におさめられており楽しいプレゼンテーション。沖縄ながらも世界トップクラスに高価なイタリアンを思い出しました。ホッカホカ。焼き目も健康的で、元気一杯に美味しかった。

ちなみに連れはちょうど半年ほど前に十番に引っ越してきたばかり。「ほんと十番って素敵な街。日に日に好きになるわ」と合い口がよい。そうだよね、もし仮に世界が終わって十番だけしか残らなかったとしても僕は充分満足だよ、と純粋な十番愛を伝えると、「それはない。勝手に世界を終わらせないで」とライジングでツンデレです。
オリーブオイルとハーブやスパイスならびに塩のパウダー(?)的なものもクセになる味わいで、これらをパンにたっぷりつけるだけで立派なオツマミ。
テラサラダ。ものすごいボリューム。店名のテラとテラ盛りのテラをかけているかどうかはさておき、食べ応え抜群です。瑞々しいレタスにサーモン、温泉卵、カラマリ、ベーコン、グリルチキン、ビーツ、アボカド、クルトン、トマトと豊かな食材のオンパレード。これは必ず注文すべし!超オススメです。家でも再現したいのですが、これだけの食材を取り揃えるのはさすがに面倒。レストランならではのサラダです。
ふたりとも今夜は食より酒モードだったので、泡をもう1本。ただし変化球でプティ・ヴェルドの泡。赤の泡ってランブルスコぐらいしか飲んだことなかったけど、オーストラリアにもあるのですね。ランブルスコほど甘味は強くなく、貧弱な表現で恐縮ですが本当にプティ・ヴェルドを泡にしたような味わいで面白かったです。

お手洗いにはモーニングおよびランチ営業の案内の張り紙が。なんと朝8時から営業しているとな。マフィンは300円でスムージーは500円。これはお買い得。近々早起きしてスムージーを手に入れ、有栖川公園あたりまでお散歩に行こうかしらん。

と、お手洗いから席に戻り朝メニューの魅力を連れに報告すると、「あたしはスムージーよりビールがいいわ。あら、今気づいたけど、あなた、なんかハワイの原住民みたいな格好してるわね」。とのコメント。人は見た目が9割。ワインを飲む際に半ズボンは自粛することにします。


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東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。