ラ・フェット ひらまつ/肥後橋(大阪)


ランチの途中、夕食までの間はどこに行こうかと問うと、「特にすることないし、買い物にでも行こうっかあ」と、自主自尊の気概に欠けるプランを展開する妻。であれば別行動に、と合意を得、『突然だけど今からお茶できない?』と大阪在住の友人にメッセージを送る。数分後、「ちょうど最近○○さん(私の名)にお会いしたいと思ってたところだったので嬉しいです!!」と2つ返事でOK。これが人徳というものである。
バレンタイン遅くなってスミマセン!」連絡してから数時間も経っていないのに、何とかチョコレートを用意する姿勢。これは何にも勝る調味料。

ここまでは自慢。本題に入りましょう。
今夜は親戚が一堂に会しての食事会です。個室で、子供OKで、そこそこ美味しくて、サービスもそつが無い当店。圧倒的なオリジナリティを感じる料理はありませんが、外すことも無いひらまつグループはこういう時に重宝します。大阪を一望できる眺望も魅力的。
酒の値付けは全般的に高く、泡はシャンパーニュしか置いていません。例えばコチラのドゥラモットは11,000円。しかしながら私はひらまつの株主であり、総額から20%オフとなるので、最終的にはそう悪く無い金額に落ち着くのです。
ワインのお供にグジェール。3種のチーズが用いられているそうで、塩気とコクのバランスがバッチリ。ニンジンとクミンのケーキは想像以上にクミンの風味が強く面白い一口でした。
アミューズは燻製したナスをサーモンで包む。このナスが実に香ばしく良い薫りを放っており、地味な見た目ながら愛すべき一皿でした。シャンパーニュにもピッタリじゃ。
コンソメのロワイヤル。いわゆる洋風の茶碗蒸しであり、ひらまつのお家芸とも言える料理です。キノコの香りに存在感があり、卵と出汁が主体の味覚は万人ウケする味わい。
パンは標準的なもの。私はひとつに留めましたが、2個目以降はバゲットが出ていました。ひらまつグループはパンの魅力に乏しいですね。もう少しロブションみたいに凝ってくれると嬉しいのだけれど。
マグロをカダイフで巻いてフリットにしたもの。これは直線的に美味しいですねえ。極太のマグロの赤身をエアリーなフライのように仕立てる。サクサクとした食感が口蓋に響き渡ります。木の芽の印象のあるベアルネーズソース(澄ましバターとエストラゴン、エシャロット、卵黄、セルフィーユと酢をとろ火で煮詰めて作られるソース)も解かり易い味わいで私好み。
魚料理はアンコウ。淡白になりがちなアンコウの身をベーコンで巻いて鉄板焼きにしてしまいました。なんと自由な発想。ラーメン屋のWスープのカリカチュアとも捉えられる試みです。ただしちょっとベーコンの旨味と塩気が強すぎた。

負けじとジュヌボワーズソース(魚のアラと香味野菜を炒め赤ワインを加えて煮出したソース)の味覚が強烈。ここまで味が濃いとアンコウなのか何なのか、魚そのものの味が伝わって来ませんでした。
魚料理のソースが赤だったので、肉まで同じものでで通しました。シルキーな口当たりと豊かな果実味。レストランで飲んで1万円は中々にリーズナブル。
メインは鴨肉。正統的な味わいにカカオソースで変化をもたらす。右下は腿肉のシヴェを皮で包んで揚げたもの。シヴェとはラグー(煮込み)の一種であり、先の赤ワインにベストマッチ。根セロリとリンゴのピューレや焼きリンゴなど付け合せも外さない。派手さはありませんが、安定感のある一皿でした。
デザートはイチゴ主体。イチゴ、ショートケーキを解体したような皿であり、ややパンチ力に乏しいか。右のココナッツのアイスが濃厚で美味しかった。
小菓子はショコラ。これが結構美味しくって、連日のチョコレートパーティにより、チョコにはうるさくなりつつある私も納得の味覚でした。
ちなみにコチラはお子様向けプレート。2,500円です。大人の料理に勝るとも劣らず旨そうなのですが、前回お邪魔した時のようにコース仕立てで出してくれたほうが、子供たちにとっては嬉しいでしょう。これだとあからさまにガキ扱いだもんなあ。
他方、デザートについては大人よりも子供たちのほうが豪華です。彼らの「もうおなかいっぱい」との発言に心の奥底でガッツポーズし、残りをすっかり平らげさせていただきました。はっきり言って、大人用のデザートよりも美味しい。デパチカのよくできたスイーツと遜色ありません。
きちんとしたレストランであり総額はそれなりに高くつくのですが、既に述べた通り20%オフの破壊力が頼もしい。現在であれば30万円弱で500株すなわち20%オフの権利を手に入れることができます。今後もひらまつグループに出入りする機会があるのであれば、買っておいて損はないでしょう。ひらまつグループでレストランウェディングを考えている人とかはメチャメチャお得ですよ。
食後に母からチョコレートを頂戴する。図らずもバレンタイン数日後に2つもチョコレートを入手し、帰路の新幹線で『2018年バレンタイン総括』という記事に追記を施すマメな私。


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ひらまつ関連のお店にはかなり行きました。全般的に「外さないレストラン」で安心できるのですが、たまにハズレもあります。
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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