Roland Restaurant/シンガポール


大先輩がシンガポールに移住して7年。ようやく彼のもとを訪れることができました。

「悪いな遅れて。雨降ると渋滞する国だから」種々の税金でプリウスを取得するだけで2,000万円ほどかかる国。車でお迎えに来て下さるだけで恐縮です。
ちなみに彼が移住する際に私が贈ったプレゼントはコチラ。第二次世界大戦末期「絶対に安全を保証するから捕虜へ食料を」と赤十字社からオファーを受けた民間船が、とんでもないものを内緒で積み込んでアメリカの潜水艦に沈められたセミ実話。舞台はシンガポール。海と船を愛する漢であれば涙なしでは読みきれない傑作です。
大先輩が予約しておいて下さったお店はRoland Restaurant。チリクラブ発祥のお店とのこと。体育館ほどの広さの店全てを私との会食のために貸切にする権力に恐れ入る。

「使用人?うちは使ってねえなあ。メイド部屋は一応あるけど」なんでも、コンドミニアムのキッチンの奥の奥に、住み込みのメイド用の部屋があるのはコチラでは普通のことらしいです。住み込みと言っても毎週日曜日は休暇であることが多いらしく、その日はメイドや他国からの出稼ぎ労働者用のドンチャン騒ぎする場で羽を伸ばすらしいです。

また、旅行などで家を空ける際、メイドを友人の家に預けることが多いとのこと。放っておくと、自宅で友達を呼んで乱痴気騒ぎされて近所から総スカンを喰らうリスクがあるから。また、その乱交パーティの結果妊娠でもしようものなら、なぜか家主が派遣元のエージェントに賠償金を払ったりしないといけないとのこと。すごい国だ。
タイガービールで乾杯。暑い国にはこのぐらいの味の薄さがちょうど良い。

「いやマジで規制社会だわ。明るい北朝鮮だなシンガポールは。街中に監視カメラがあって、何かあるとすぐに警官が飛んでくる。とにかく規制が多くて、何をするにもビクビクしてしまうんだよ」
空芯菜の炒め物。「シンガポールでは空芯菜、良く食うんだよな。これはマレー系の味付けだな」いいなあシンガポールで暮らすことができて。できることならバトンタッチしたいところです。

人種差別?確かにあるかもな。港湾労働者とかはバングラディッシュからの出稼ぎが多いんだけど、シンガポール人からはバカにされてる。自分たちはそういう仕事全然できねえくせに」なるほどシンガポール社会の両極端は外国人によって成り立っているのか。
酸辣湯(スーラータン)。日本でもメジャーになりつつありますが、この地では酸味と辛味がハッキリとしていて斬新な味付けでした。
エビにフルーツグラノーラ的なシリアルをまぶして揚げたもの。これがクセになる味わいでバクバクと食べてしまう。ココナツというかハチミツというか絶妙な甘さが甲殻の旨味を補佐する味わい。「こっちはエビ、安いんだよ。気がつくとエビばっか食べてる」
当店が発祥のチリクラブ。先日に比べると卵の量が多くマイルドな味わい。はやりチリクラブの本分はソースですね。カニが旨いのは当然のこととして、ソースの中毒性といったらない。

「シンガポール人の優秀な奴らはみんな政府系に行く。何にも無いハリボテみたいな国を、如何に仕組みだけでうまくやるかを考えるんだよ」。是非はともかくそのようなマインドセットは重要だ。日本人である我々も学ぶべきところはあるでしょう。
チリクラブ専用の揚げパン。こちらもソースに負けずに甘味が強く、訴求力のある味わいでした。ちなみに今夜のディナーはふたりきり。中年男性ふたりで食べるには尋常でない量である。

「徴兵制もあるんだよ。あと、それとは別に40歳までに2週間の兵役を10回ぐらいこなさなきゃいけなくて。部下が2週間不在とかしょっちゅうだから、ビジネスする上ではツラくってさ」なるほど我々が日本人が知らないシンガポールのリアルがここにある。
〆の炭水化物にはチャーハン。おじゃこがパラリパラリとまぶされており、ザクザクとした食感が堪らない。

飛行機の時間が近く慌しい食事でしたが、濃密なものでもありました。ご馳走になったお礼を丁寧に述べると「いいんだよ、それより俺が日本に帰ったとき、おにまる連れてけよ。こっちでもちゃんと読んでるんだからな、タケマシュラン」。



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シンガポール目次

シンガポールはどのようにして国力を高め、国際的なステイタスを上げているのかが整理されています。防衛・外交・労働・経済・教育・環境・農業・情報・交通について網羅的に知ることができる名著。

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