町家懐石 六花(ろっか)/金沢

金沢駅近く六枚の交差点に面する「町家懐石 六花(ろっか)」。築100年を超える酒蔵をリノベした日本料理店で、軒先に下がっている杉玉が目印です。
なるほど元々は酒蔵なだけあって天井が高く開放的な空間です。カウンター席にテーブル席、小上がりなど様々な客層に対応できそう。

宮田和則シェフは京都や北海道で経験を積んだのち、2011年秋に当店を開業。ミシュラン2ツ星。
先付はハモに加賀太きゅうり。筋肉質なハモの食感に控えめな青い味覚のキュウリが良く合う。
お椀がかなりしっかりとした出汁で私好み。タネはクロムツと卵豆腐であり、いずれも食べ応えがあって、お椀のタネというポジションを超える存在感を放っています。
お造りはカジキにアラ。塩すだちで食べるのがベースなのですが、右下の2枚には自家製のカラスミがたっぷりと振りかけられており、これが実に美味しい。マンボウでお酒に合わせられないのが悔やまれます。
炊き合わせは加賀野菜のへた紫なすに金時草とズッキーニ。ナスがポカポカと温かくジューシーな味わいです。
揚げ物はスズキ。玄米揚げで淡白になりがちなスズキの身に香ばしさが付与されます。すりおろした玉ねぎのソースに奥行きがあり、揚げ衣にフィットします。
お食事のトウモロコシごはんが絶品。単にトウモロコシを混ぜ込んで炊いたというわけではなく、炒めたり蒸したりと様々な調理を施しつつ、お出汁の風味も効かせるという技巧に満ちたトウモロコシごはんです。東京のアホな日本料理屋はすぐにウニだのトリュフだのに頼り勝ちですが、つまり料理ってこういうことじゃないのかい?
デザートも凝っていて、あんこをゼリー寄せにして桃のソースを流し込みます。何これ美味しい。日本料理と西洋との邂逅です。赤紫蘇のシャーベットもビビッドな爽やかさが印象的。

以上を食べ、ランチは7千円ポッキリ。しっかりとした空間ならびに料理を食べてこの支払金額はお買い得。隠しきれない達人のセンスを感じたので、次回は是非とも夜に訪れ、たっぷりのお酒と共に楽しみたいと思います。

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黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。