柊家/京都市役所前 vol.2

さて夕食。柊家はレストランとしても一ツ星を獲得しているので期待大。場所は部屋でも大広間でもどちらでもOKだったのですが、せっかくなので、部屋食に。
食前酒は「古都しぼりたて」。そんなに良い日本酒でもないのに、どうして最初に飲ませる必要があるのか。キリっとした白ワインのほうが良かったな。
先付は松葉蟹に
海老芋あんかけ、ウニ。松葉蟹の量がたっぷりあってすごく良かった。テンション爆アゲですよのっけからこんなことされちゃうと。
お椀は牡蠣真丈。前日の吉兆に比べると非常に上品な仕上がり。つまり、個人的には吉兆のほうが全然好き。牡蠣の味わいが直線的に伝わってこないんですよね。
向付はタイ、ブリ、マグロ。ブリが特に良かった。
八寸はアワビの竜田揚げがgood。やわらかく仕上げた上にアワビ自体の味がきちんと残ってある。ばちこ(くちこ。ナマコの卵巣)があるのも嬉しかったけれど、ほんの一口しかなかったため、ストレスがたまってしまう。
マナガツオの西京漬けに堀川ゴボウ。マナガツオ、あんまり好きじゃないんですよね。嫌いじゃないけど好きでもない。美味しいと思ったことが一度もなく、今日も同じく美味しくない。他方、堀川ゴボウはとても良かった。レンコン級の食べ応え。ああ、今、私は大地を食べている!と実感させてくれる、滋味豊かで深い味わい。
タラの白子。これは全然美味しくない。スシローのネタと全く変わらない。というかスシローってネタに拠って、超高級和食クラスのネタを平然と100円で提供してくるから恐ろしい。最近のお子さんは回転寿司に行きまくって舌が肥えているので、日本の和食レベルは今後どんどん上がっていくことでしょう。外人なんか、1世紀かかっても日本の和食に追いつけないと思います。
炊き合わせはカブに鴨の団子。これもぜーんぜん美味しくない。カブはしょせんカブなのだよ。鴨はそこらへんのスーパーの肉団子のほうが旨味が強く(MSGだと思うけど)、話になりません。
赤だしは辛うじてミシュラン一ツ星を感じさせてくれる気高さ。湯葉と椎茸がよかった。
かにごはんは蟹の身の量がケチケチしており、前日の吉兆の圧勝。おかわりも不可ですし良いところ無し。
香の物も印象なし。
水物はラフランスが瑞々しくて素晴らしかった。イチゴミルクは甘みが薄く、かといってイチゴが美味しいわけでもないためアウト。

というわけで、当館をレストランとして見た場合、八寸まで良くて、あとはデクレッシェンドです。ミシュラン一ツ星はちょっと嘘でしょう。ミシュランは和食に対して評価が甘すぎです。そもそも和食は調理技術にあまり差がつかず、味の差の原因は素材がほとんど。食べる前からなんとなく勝負がついているんですよね。スポーツで言うと陸上競技。

そういう意味で、和食を食べるのであれば、数万円の支払いは覚悟しなければ、本当に美味しいお皿にはたどり着くことができないことを再確認した夜でした。


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