おにまる/麻布十番


山田が17:30頃から「飲みたい」とアイドリングメッセージをLINEグループに流す。何か事件でもあったのか、と問うても「何も無いですよ」の一点張り。

ピーンと来たのですが、もう家でごはん食べちゃったしなあと逡巡していたところ、別の女の子から「今から飲みませんか?」とのお誘い。宿命めいたものを感じ、着替えて家を飛び出します。
乾杯もそこそこに山田より状況報告。慣れない出来事が立て続けに押し寄せ少し参っているとのこと。ほらやっぱり。人間の直感って当たりますよね。

ここで言う直感とは当てずっぽうとはちょっと違くて、うまく言語化できないけれど「何か変だ」と察することを指します。レストラン予約時の電話口で「この店は何となく好きになれなさそうだ」と感じるアレと同じです。
そんな心労は普通の大人は誰もが経験していることなので、大した問題じゃないよと慰めながら、綿毛のように軽い自家製のさつま揚げを口に運ぶ。

まあ、悩みというものは人に解決してもらうものではなく、自分で納得するか否かが肝要であるため、私にできることは傍で酒を酌み交わすことぐらいです。
鯨の刺身。当店では初めて食べましたがその味わいに驚きました。馬肉のような肉質で、鉄分は濃いものの臭みなどは一切ありません。

鯨って、味は大したことないのに希少価値のみで存在価値が認められ、さらには老人から「昔は給食でも食べたもんだよ」とドヤリングされかねない厄介な食材という印象しかなかったのですが、考えを改めることとなりました。
シイタケ嫌いも合流。彼の好物であるカニ豆腐を携えながら、人生における様々な悩みに思いを馳せる。
日本酒に切り替えます。さすがに自宅で飯を食いワインを飲んだ後だと中々ビールが進まない。
生シシャモ。干したり冷凍したりすることはない、正真正銘の生のシシャモです。干したシシャモの独特のイガイガ感はなく、スッと舌先で溶けていくような純粋さ。まだまだ知らない食材がたくさんあるなあ。
深夜0時のハラミステーキ。シイタケ嫌いの好物でありその重さは180グラム。うっかりビールに回帰したくなるほどの猛き味わいです。
予約必須の水炊きが今夜に限り売れ残ったとのことだったので迷わず注文。博多の鍋と言えば水炊きですが、そういえば当店でコレを食べるのは初めてです。ああ、さっき晩ごはんを食べたばかりだというのに私は何をやっているんだ。
今後の展開に備えて日本酒を追加発注。
さて水炊き。鶏が炊き上がるまでの間はスープのみを頂きます。塩を少しだけ散らし、ネギは多めに。何だかんだ言って水炊きのクライマックスはこのスープではあるまいか。出オチ選手権優勝候補な鍋である。
モモと手羽先。こちらも塩のみで頂きます。鶏肉の美点は骨にありますね。骨から抽出されるスープの価値は何事にも替え難い。
お好みでポン酢でも。つくねは焼鳥のために作られたものを転用。柔らかいながらも歯ごたえがあるという矛盾。つくね大好き。
野菜は肉を食べ終わった後から投入します。食べ順ダイエットに真っ向から対立する変わった食文化。もうこの時点で完全に満腹でほとんど口にすることはできませんでした。
雑炊もほんの味見にふた口のみ。明日は昼飯抜きである。これは昨日も今日も明日も平日の出来事であり、深夜1時にこの倦怠感は退廃的すぎるということでおとなしく解散。

帰り道は凍えるほどの寒さ。秋も深まりすっかり鍋が旨くなった季節だなあとしみじみ。「今夜は急に付き合ってくれてありがと!こんな時間から出て来てくれるの、○○さん(私の名)しかあたしにはいないから…」彼女とは知り合ってまだ3ヶ月も経っていないのに、心のセーフティネットとして捉えてくれて何より。大人になると、「誘えばすぐに来る」というフットワークの軽さも重要な価値のひとつになるのです。

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