南麻布クラブハウス/広尾


フリーランスのマーケターでありカメラマンという何をやっているのか良くわからない一方で物事を適当に解決する能力に秀でた友人に、「日本中からすんごい食材を集めてバーベキューやりましょうよ!」とお誘い頂きました。彼は常に美女と美食に囲まれて日々を過ごすいうけしからん生活スタイルなので、間違いの無い一夜となりそうです。
天現寺交差点と光林寺の中間、首都高速高架下が今回の会場。テラス席に焼き台があって、雨でも濡れないし、夜でも照明で明るいのがいいですね。
お店側に食材を用意してもらうことも可能なのですが、今回は持ち込みプラン。場所代と飲み放題料金のみの支払いです。バーベキューで生ビールをグラスで飲めるって嬉しい。
ナスとジャガイモは「予定外に後輩が送ってきた」とのこと。うーん、いったいどういう後輩なのか。主催者の人間関係が良くわからない。
さらに今回はプロの焼き手に調理を全てお願いしています。我々の仕事は食べて飲むだけ。最高か。
目玉はA5飛騨牛。仕入れで100グラム1,500円!!近所の肉推しスーパー、ナニワヤでもここまでの高級品はあまり見かけません。
強めに塩コショウを振り、タスマニア産の大粒マスタードと共に喰らいつく。バカみたいにサシが入っているわけではなく、適度な脂の旨味と赤身の野性味。モグモグゴクゴク旨いっ!
自家製の山椒の塩漬け。個人的には今日一番のヒットです。立派な生産者から山椒を仕入れ、プチプチプチプチと根気強く皮を剥き塩に漬ける。青い香りと品の良い痺れ。これはヨーロッパあたりで爆発的に売れるのではなかろうか。
 沖縄からは甘熟島豚。驚くほど雑味がなく研ぎ澄まされたピンク。豚ってこんなに柔らかいんだ。
間髪入れずひっきりなしに肉が焼かれていく。やっぱ炭火っていいなあ。格子状に入る焼き目も食欲をそそります。
鹿児島からは桜姫鶏。ううむ、これまでの肉と比べてもいずれ菖蒲か杜若。肉そのものに味が濃いです。塩と胡椒のみのシンプルな味付けでここまで食べ手を唸らせる生産者には舌を巻く。
湘南のみやじ豚はごま油でしっかりコンフィ済みのものを。官能的なごま油の香りにクラクラする。こんなにも芳しい香りを振りまいてしまってご近所さんより嫉妬の眼差し。
ぐわーなんだよこれトミージョン手術かよ。すぐに一枚スライスしてもらい一口で頬張ると噛み締める度にごま油の香りと脂のコクが波のように押し寄せます。これはビールで流し込むにはもったいない。一口あたり1分以上は噛み締めないと、グラデーションのような味わいを楽しむことができません。
石巻からは国産のサーモン。国産モノってあまりお目にかかれないのに、まさか会費制のバーベキューで出会えるとは。遠い温度で長時間かけて火を通し、フワッフワに仕上がっています。神々しい海の香りと香ばしさ。ちなみに生でもOKな食材のようで、今度はミキュイだったり、なんならワサビ醤油の刺身でも食べてみたい。
オーガニックのタマネギはアルミホイルに包んで蒸し焼きにしただけ。何もかも健全で、甘い。「放っておくと蟻が寄ってくるほど糖度が高いです」。
飛騨牛再登板。今回は青トウガラシでビリっと頂きます。深みのある脂と青トウガラシの爽快感がベストマッチ。
〆は極太のソーセージ。そのまま食べても最高レベルの豚肉をソーセージにしちゃうだなんて勿体無い!と思いきや、そのまま食べるよりも滑らかさが増し、また旨味の方向性も少し変わるような気がして、これはこれで見事でした。

最高のバーベキューでした。やはり日本は食材の幅が広く多様性に富んでいますね。フレンチのようなややこしいソース料理ではなく、和食のような引き算の調理が発達した過程が良く理解できました。

また、ナリサワレフェルヴェソンスフロリレージュカンテサンスなど、神の領域に踏み入れた気鋭の料理人たちが皆一様に素材へと向かっていく理由もなんとなくわかった気がします。自身の調理レベルが発達するにつれ、逆説的にどんどんと謙虚になり、食材そのものへの尊敬へと転化していく。

2016年下半期はボンヤリと有名店を巡るのではなく、国内の優良生産者をターゲットに食べていこうかな。そんな企画がぼんやりと心に浮かびながら、夜は次第に更けていく。

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