ひとつぶ/美栄橋(沖縄)


沖縄に移住した元グラドルが時間をつくって下さいました。肉よりも魚ということだったので、キレイ目な海鮮ダイニングバーをチョイス。予約で全テーブルを埋めており、フリーの客が何組も入店を断られるほどの人気店。
早めに着いてしまったため、お先にひとりで始めることに。今夜もやはりビールから。

ガラ、と引き戸が開くと店内の視線が入口に釘付け。彼女のご来店です。美脚を惜しげもなく披露するショーパンにデコルテを強烈にアピールしたキャミソール。鼻血が出そうなほど可愛い。
お通しが豪華。水菜のおひたしにイクラおろし。沖縄はお通しに手を抜かない店が多いですね。東京の、お通しに手抜きする店の意図がよくわからない。ヘンテコな一口を出すぐらいなら何も出さずに「テーブルチャージ」「入場料」と言えばいいのに。
お通しがもう一皿。大根のとゴーヤのおでん。ゴーヤがいいですねえ。苦味が程よく抑えられ、出汁とのバランスがちょうど良いです。

「あたし、ゴーヤ大好き。ゴーヤが好きすぎて沖縄に移住したと言っても過言じゃないわ」いやそれはさすがに過言だろ。
島ダコの酢味噌和え。これは美味しいですが普通です。数口分しかなくフラストレーションがたまった一皿でした。
お刺身はアラカルトでヤリイカとツブガイを注文。イカがいいですね。コリコリとした食感にネットリとした甘味。臭みが強くツブガイはあと一歩。

連れの酒と箸がなかなか進まずどうしたの?と問うと「ちょっと本格的に病気になっちゃって。飲食を控えろってドクターストップ中」濁りのない赤い唇を悔しそうに噛む元グラドル。
他の客が注文した料理に用いられるイワシの質が良さそうだったので、なめろうで注文。こういうオーダーができるのはカウンター席の醍醐味ですね。新鮮なイワシが目の前でさばかれ丹念になめろうと化していく。やはり見た目が旨そうなものは食べても旨い。
「あ!海老食べたい!」と病を押して注文した海老しんじょうのレンコン挟み揚げ。このように細かくカットして並べるプレゼンテーションは初めてですが、アリですな。見た目が可愛く、何より食べ易い。

いいねえ、僕は自分よりエビを好きな人を見たことが無いくらいエビ好きだから、この注文は嬉しいよ。「そうなんだ。あたしはエビ、普通かなあ。あ、でも今朝はエビのサンドイッチで、昼はエビのカレーで、またエビ注文しちゃった」負けました。
「ワイン飲んでいい?マリアージュとかどうでも良くて、濃いのがいい」なんと潔い注文方法。汝の意志することを行え、とはこのことである。店の中で最もどす黒いシラーをオーダー。
にぎりを注文。セットを注文したのですが、金目鯛と甘エビとウニと玉子は必ず組み込んで欲しいとリクエスト。もはやアラカルトでありセットである意義は失われました。

左はヒラメで中くらい。右の金目鯛も標準レベルではありますが、そもそも実力のあるネタであるため満足です。
甘エビ。これはいいですねえ。常温で放置すれば溶けて無くなってしまいそうな程のトロトロ感。その名の通りひたむきに甘く、濃厚な甲殻類のエキスも堪りません。

「ホントはこんなに食べちゃだめなんだけど、今日は特別だからいいよね?」いいよ、と無責任に脊髄反射で回答する。食欲はあるけれども制限しなければならない生き地獄には心から同情する。
「やった!ウニウニ!」手を打って喜ぶ彼女。「沖縄に来てからきちんとお寿司食べるの、初めてなんだよね。お寿司、すっごく好きなんだけど、基本的にウニとエビしか注文しないから嫌われちゃうの」金のかかる女である。
それならば量より質と、ウニのみをツマミで注文。彼女の目が嬉しくてたまらないというようにキラキラ光る。食事量が制限されている彼女にとっては打ってつけのツマミであろう。
ギョク。厚ぼったい生地の中に少しのシャリを詰め込むタイプで、思いのほか美味しかった。「ねえ、おかわり注文していいかな?」と活気付く連れ。欲望に飾り気が無い女の子は大好きだ。
カンピョウ巻きで〆てごちそうさまでした。

「あー、結構飲み食いしちゃったなあ、ま、楽しかったし、いいよね?」いいよ、と再び無責任にも答える。彼女は人の成功を素直に喜べるタイプであり、自らについても決して背伸びをしない。温かい空気に胸が満たされる、そんな一夜でした。

「今年は○月と○月に東京に帰るから、また会いましょ!それまでに病気治して、もう、めっちゃくちゃに飲み食いするんだから」ちなみに彼女の1飲み会あたりの平均酒量はワイン2本であり、確実に私が潰されるパティーンです。

着信で震えるスマホをチラりと見遣り、パタンと机に伏せる彼女。鳴ってるけど、いいの?と訊ねると「えへへ、今夜、旦那さん、出張でいないんだ」と片目をつぶる人妻。鼻血ブー!


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。