かんだ光壽/神田


神田で最も有名、かつ、予約が取れないお店。「ずっと行きたいと思ってて、でも予約が全然できなくて、超嬉しい!」と連れもご満悦。
日本酒のスパークリングで乾杯。「うーん、炭酸がキツくておなかいっぱいになっちゃうかも。シャンパーニュと違って気泡が大きくて粗い印象ね。酸味もなくて甘味ばかり主張しているわ」としかめっ面の彼女。

平たく言うと不味いってことだよね?と問いかけると、「せっかく極厚のオブラートに包んでたのに」と白状しました。これに限らず、日本酒の泡を美味しいと思ったことが一度も無い。誰かオススメ教えてください。
お通し。この中からどれかを選ぶのではなく、このセット全てで1人前です。お通し代は1,280円と良心的。左上から時計回りに魚のすり身の煮込み、ボラの肝、キュウリとニンジンの和え物、クリームチーズの味噌漬け、ジャコナムル、マグロ煮、ホウレンソウとキノコの酢の物、中心は鶏ナンコツ。

ボラの肝が秀逸。酒が進みます。鶏ナンコツもゼラチンでプルンプルンであり食べる楽しみに溢れています。
アオサのお椀もついてきました。何も注文していないのにここまで食べ物が出てくるのは中々に珍しいお店でしょう。
ワインラヴァーの連れが必ずや気に入るであろうと東一を注文。片口で2,800円と結構な値段。先ほどの立ち飲みとの価格差に戸惑いを隠せません。
チーズの味噌漬け盛り合わせ。12時から時計回りに八丁味噌、西京漬け、酒粕、信州味噌です。

八丁味噌がパンチのある味わいで胸を打つ。酒粕漬けは日本酒を固形にするとこのような味になるのではないかと思うほどの酒の味。酒に合う以前に酒そのものであり思わず笑みがこぼれます。
「ああん、日本酒って面倒だわ。だってグラスが小さいんだもの」とパカパカとお猪口を乾かす連れ。私も負けじと飲み続けるので手酌に何かと忙しい会である。
イカの肝煮。肝が溶かれた旨味たっぷりのエキスで大根とイカを煮込んだもの。日本酒と合わせることを前提として開発された料理であり、思わず肝臓の門戸を開放してしまう。

一通り具材を食べ終わった後に「おじやにもできますよ~」と、お店の方。夜はまだまだ長いのでここで〆るわけにはいきません。チビチビと汁を飲みつつ酒をクイっ。至福のひととき。

日本酒の品揃えが圧倒的なお店でした。一方で、食事を楽しみに行くお店ではないかもしれません。お通しであれだけの量が出てくるので、追加で料理を注文しようという意識が削がれてしまいます。あくまで酒を飲みに行くという決意のもとにどうぞ。

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