ティルプス/白金台

カンテサンスが品川に移転する際に、スタッフたちが居抜きで開業したお店。オープンから2ヶ月でミシュラン1ツ星獲得。しかし翌年は星を失いシェフも交代という、色々と慌しいお店です。2代目シェフは北欧帰りの26歳とな。
外観はカンテサンス時代と変わりません。内装は少し席数を減らした?ややゆとりがあるように感じました。写真OKに。あと、ヘンな音楽がかかってる。
柑橘が強く美味しかったです。
立体的なポテトチップにリンゴの風味。ポテトチップは美味しいもんね。
菜の花をどないかしたもの。旨味が凝縮されており、実は本日一番の皿。
グジェールはなぜか黒い。そう、ここの店員さん、そっけない。あんまし説明してくれないの。
ソラマメの素揚げ。こちらもシンプルに美味しかった。人生で一番うまいソラマメかもしれない。
馬肉ジャーキー。硬くなくしっとりたしたもの。悪くないのですが、なぜここでこれを出すのかは良くわからなかったです。
ホワイトアスパラをなんたらかんたら。色々と詰め込みすぎで味がぼやけてしまう。繊維質が残るので、ああ、そういえばアスパラだったと思い出す。
ここからはデギュスタシオンでお願い。あまりピンと来ない。
タマネギにウニのマヨネーズにタマネギスープ。タマネギのカットがコペンハーゲンのグロンベックチャーチルを彷彿とさせます。北欧では流行っているのかしらこういうプレゼンテーション。
イマイチ。というかテーブルワイン出されても困る。
ホタテの燻製にホタテの肝のソース。これは美味しい。旨味抜群。日本酒が欲しくなる。ナリサワなら迷いなく日本酒を出してくれるのに!
ヨーグルトを組み込んだパン。歯ごたえもあり中々美味しかった。
こちらもイマイチ。僕ダメだここのソムリエとは合わない。料理と合っているのかもようわからん。
お魚はまあまあ。ただ、構成要素が多すぎるんですよね。目をつぶって食べたら何を食べているのか正直わからない。色々と工夫していることはすごく伝わるのですが、客には理解しづらいのです。
白と比べれば相対的に良かったです。そう、ソムリエの説明がすごくそっけないの。ぶどうの品種ぐらいしか言ってくれない。私の味覚なんて信用ならないんだから、もっとこう情報を与えてくれて、頭から飲みたいのに。
メインはホロホロ鶏。好きな食材では無いのですが、こちらは美味しく頂けました。ただ、どうしてもカンテサンスの肉料理と比べてしまうので、そういう意味では苦しいものがありますな。
チーズは白カビ系をパウダー状にしたもの。これ、前菜で出したほうが良くない?ここで出されてもチグハグに感じちゃう。
マンゴーにオレンジ系をパウダー状にしたものを散らす。うむ、このマンゴーは旨い。
だがしかしメインデセールは全く記憶ナシ。これほんと食ったっけか?確かに4人で盛り上がりながらの食事会だったので、会話に夢中だったのかもしれません。
ミニャルディーズのバナナは美味。甘みを上品に引き出していると思います。
〆はジャガイモにリンゴパウダー。あれ?最初に戻った?あれ?と4人で顔を見合わせましたが誰1人美味しいと言わなかったのが印象的でした。
エスプレッソは問題なく楽しめました。
ここで連れから驚きのプレゼント。「いつもお世話になってますからどうぞ!タケマシュランがサダハルアオキ好きなこと知ってまっせ!」ということで、頂いちゃいました~。いやー想定外、嬉しいですな。明日から数日間にわたって素敵な朝食が続く。

というわけで、鳴り物入りで開業した割にはピンと来ませんでした。なんか暗いんですよね全般的に、料理もサービスも。北欧の悪い部分だけを引き継いでいるように見えました。

ハンロンの剃刀、つまりは陰謀論より失敗論。カンテサンス跡地でカンテサンス出身者が営業するというコンセプトが的外れなのかもしれません。客としては当然にカンテサンスと同等のレベルを期待するのですが、やっぱ全然別物なんですわ。「価格帯が異なるのに無茶言うな」というのもわかるのですが、私はそんなに理性的に割り切れる生き物ではないのです。

物理的にも精神的にももっと明るい場所に再オープンしたほうが、世の中から公正に評価してもらえるお店だと思います。今のままだと地縛霊にやられてしまう。それかもっと割り切ってセカンドラインに徹するとか。シー・バイ・カンテサンス、エンポリオ・カンテサンス、なんてね。



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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。


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