美味なる船『にっぽん丸』の現実

2017年から2018年にかけては東京で大人しく過ごし、1月4日から『新春の宝船』と銘打つ3泊4日のショートクルーズに参加して参りました。

2016年から2017年にかけては11日間の台湾・九州クルーズに参加し、日本船は性に合わないなあと結論を出した舌の根も乾かぬうちに再び日本船へ。しかしこれにて飛鳥Ⅱぱしふぃっくびいなす、にっぽん丸と、日本船籍3大客船は全て制覇したことになるぞワッハッハ。


■チェックイン
ぱしふぃっくびいなす号と異なり、ほとんどのオペレーションを日本人でこなしていました。全般的にキビキビとした動きであり、向こうも我々のことを察しの良い客と感じたのかチャカチャカとした取り扱いで好感触。


■船室
コンフォートステートという、下から2番目のクラスを予約。それでもビジネスホテル級の機能性があります。
ベッドもなかなかに広く快適。小さいながらもソファとコーヒーテーブルがあるのがいいですね。
バスルームに広さはないものの至って清潔。また、ウォシュレット付きの客船は初めてかもしれません。ちなみにこの船は大浴場がついており、毎日それを利用していたため、部屋のシャワーは一度も使用しませんでした。
日本船は外国船に比べて割高なので、部屋のクラスも控えめにしましたが、なかなかどうして居心地の良い船室じゃないですか。窓から外を望むと野生のイルカがお見送り。素敵な旅となりそうです。


■船内設備
外国船と同様、船内の至る所にラウンジがあり、ゲストは思い思いにカフェやアルコールを楽しんでいます。外国船はエスプレッソやカプチーノなどのややこしい飲み物は有料であり、無料のコーヒーは泥水のような風味のものばかりですが、にっぽん丸のコーヒーはその場でエスプレッソマシーンを操作するものであり満足のいく品質でした。
eカフェ&ライブラリー。ネットにつなぐことができるのですが、一般的な客船と同様に極めて割高です。今回は日本列島の沿岸沿いを進む旅なので、ケータイのテザリングで充分でした。
他方、図書室としての蔵書は素晴らしい。旅行やグルメ関連の雑誌や書籍が極めて多く、私の趣味嗜好に合致しています。文芸書も村上春樹の最新刊を複数セット用意するなど、良くできた本屋のようなラインナップです。
プールは長さ8メートル程度と短く、本格的に泳ぐことは難しい。屋根付きの温水なのは高評価。また、暖かい航路などでは屋根を開けることができるなど、小粒ながらも存在感のあるプールでした。
ちなみにプールサイドでは常時ハンバーガーなどが提供されています。何故かゴディバのチョコシェイク(ショコリキサー)も無料で提供されており、プールサイドにいるほとんどの客がチュウチュウと吸いまくっていました。ちなみに私もその中のひとりである。
ブティック「アンカー」。にっぽん丸のグッズや、簡単な衣服、雑貨が販売されています。当店にもなぜかゴディバコーナーが。にっぽん丸とゴディバは何か特別な提携関係にあるのかもしれません。
オアシスジム/オアシススタジオ。フォットネスルームなのですが、これまで乗った船の中では最もお粗末。有酸素系のマシンしかなく、筋トレをするにはマットを敷いて自重で臨む必要があります。飲料も用意されておらず、あまりこういうことに興味の無い船なのかもしれません。
マーメイドシアター。映画が上映されるのですが、演目が1960年代のもの中心と、やはりお年寄り向けの船であることが窺えます。私も将来どこかの海上で、セカチューなどの00年代モノを観てノスタルジアに浸ることになるのかもしれません。
茶室「吉野」。ぱしふぃっくびいなすと同様、畳敷きの部屋が必ず用意されているのはさすが日本船といったところです。
カードルーム。「麻雀仲間募集掲示板」のようなものがあり心和みます。何度覗いても、同じ位置に同じ老婆が同じパズルに取り組んでおり、その進捗状況が一向に変化しないのが気になりました。
無料のランドリーも完備。今回は短い航海だったので使用せず。
グランドバス(写真は公式ウェブサイトより)。大浴場があるのもさすがは日本船。ぱしふぃっくびいなすのそれよりも倍以上の大きさであり、2種のジャクージ機能つきでした。
カジノラウンジ「ビギナーズラック」。クルーズ船の醍醐味のひとつにカジノが挙げられることが多いのですが、当船は日本船籍であるためギャンブルはNG。したがって、その雰囲気を味わうためのゲーセン的扱いです。
ドルフィンホール。船内で最も広い空間です。乗船初日であったため、カクテルパーティが開催中。船長をはじめ、主要なスタッフについての紹介がありました。
いくつかのオリジナルカクテルが振る舞われ、食前に何杯か飲むとすっかりホロ酔い。


■客層
ぱしふぃっくびいなすの年末年始クルーズほどではないにせよ、外国船に比べると年齢層は高いです。子どもたちを除いた成人の中では、30代の我々が最も若かったかもしれません。
しかしながらドンくさい客は少なく、みな船旅に熟練している様子であり、あまり浮かれることなく鷹揚に船旅を楽しんでいるように見受けられました(写真は避難訓練の様子)。
ところどころ「飛鳥はさあ」「外国船はさあ」などのような会話が聞こえて来るので、クルーズに慣れた経験値の高いゲストが多いのかもしれません。これは船に因る客層なのか、航路に基づく客層なのかは定かではありませんが、数日間共にする仲間としては心強いことこの上ありません。
また、「いやあ、脳卒中を2回やりましてね。死に損ないですわ」「私なんてガンの手術、4回ですよ。カラダを切り刻まれっぱなしですよ」などと、笑っていいのか神妙な顔つきをすべきなのか、複雑な会話をよく耳にします。やはり死を乗り越えた老人は直感的に逞しく感じてしまう。
送迎などで彼らとバスを乗り合うことがあるのですが、車内は全て老人で満ちているため、「優先席」の価値は世界から一掃されてしまったようです。


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