中国家庭料理大連/三田

仕事仲間との飲み会。前回のニンニク攻めで謎の一体感を有してしまった我々は、今宵もニンニクを求めて夜の街を彷徨う。
参加者のひとりが昔からの常連という当店。1Fと2Fをあわせと50席以上ありますが、その全てを予約で埋めていました。金曜日の19時とはいえものすごい集客力。
まずはビールで乾杯。コレ系のお店は本当にビールかどうか疑わしい場合が多いですが、当店の生ビールはきちんと美味しい生ビールでした。
アラカルトメニューは数十種類と多彩なラインナップ。しかし今夜は餃子に徹すると決めていたので、「餃子、全部下さい」とシンプルに注文。店員が明らかにうろたえる。「餃子ニハ焼、水、スープ、蒸の4ツガアッテ、ソレゾレ豚肉、牛肉、海老ガアルカラ…」とカタコトの日本語で丁寧に説明してくれるのですが、我々はオウムのように「全部下さい」を繰り返すのみ。
「ソレカラ、新メニューモアッテ…」と火に油を注いでくるので脊髄反射で「じゃあそれも全部下さい」。

数分後、店の奥からマネージャらしき人物が登場し、「餃子ニハ焼、水、スープ、蒸の4ツガアッテ…」と同じ説明を繰り返す。「なるほど、全部下さい」とこちらも負けじとリコンファーム。マネージャは「豚肉蒸餃子ハ20個アリマスヨ!」と半ば呆れ気味に食い下がりますが、我々は鷹揚に頷くのみ。マネージャはため息と共に厨房へ戻り、食べる前から妙な満足感。
さて、ここから16種164個の餃子が供されるのですが、全種類を注文することに意義があり食べることは実質消化試合に近い雰囲気であったため、細かな味わいは失念してしまいました。

記録のために、全ての皿を掲載しておきます。
エビ好きの私にとっては当然にエビ系列のものが好きでした。
また、鮭の塩気が感じられる魚の餃子も意外性があって美味。
牛肉と豚は冷凍食品の餃子と大差なし。こういう飲み屋でワイワイ食べると、雰囲気に飲まれてきちんと判断できなくなってしまいますよね。ミートホープが暗躍できた理由がわかる気がします。

スープ餃子はビジュアル的な気分転換にちょうど良いのですが、肝心のスープに深みが無く、醤油を湯で溶いただけのような味わいでイマイチです。




また、水餃子と蒸し餃子の違いが最後までわかりませんでした。それにしても「水餃子」って変わった表現ですよね。なぜ「茹で餃子」ではないのか。
「中国の餃子は水餃子が主流。焼餃子は前日の余った水餃子を再利用している印象が強いので、レストランではあまり食べない」という話を聞いたことがあるのですが、やっぱり餃子は焼いて食べるのが味わいに濃淡がついて美味しいと思います。



参加者のひとりの常連が「早く食べて!全種類制覇は時間との勝負なんです!冷めると箸が止まってしまう」と半ば脅迫めいた煽りを受けていたので、結果的に30分足らずで食べつくしてしまいました。
30分で食べきる我々も我々ですが、テーブルの進捗状況などお構いなしに処理能力が常に全開の厨房も厨房である。
餃子を食いつくし当初の目的を達成した後はマッタリと飲みモード。
ザーサイは量は立派なのですが、臭みが残ってあまり好きじゃありません。
エビマヨは良い意味で幼稚な味付け。プリプリと大ぶりなエビにわかり易いソースを塗りたくって至福のひと時。
油淋鶏だけは妙に提供が遅かったです。火力が強すぎたのか時間が長すぎたか、焦げ付いてしまっており美味しくない。タレもパっとしない味わいでキレがなくイマイチです。

おっさん6人ではち切れるほど飲み食いし、ひとりあたり4,000円と少しでした。費用対効果が素晴らしい。しかし、純粋に味だけを追求するとどうでしょう。紅虎餃子房で同じ金額を投下したほうが満足度は高いかもしれません。

ただ、皆で円卓を囲んでワイワイと楽しむには最適です。場末の中華料理屋の雰囲気を楽しむお店。そういう意味で、気の置けない仲間とまた来たい。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。



中国家庭料理大連
夜総合点★★★☆☆ 3.5
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