アクアヴィット/外苑前

北欧料理のお店。スウェーデン人がNYで出店したら大当たりしてミシュランの星まで取っちゃって、勢いに乗って東京にまで進出しちゃった系。こういう経歴の店はハズレな場合が多いのです。
場所が良い。外苑前のレクサスを奥に進むと突然広がる贅沢な車寄せ空間ならびに美術館のようなファサード。お店に入って左手のバーが超絶カッコ良くて、右手のダイニングに進むと北欧インテリアのお手本のような内装で、極めてセンスが良い。最高にスタイリッシュ。
 泡で乾杯に合わせるのは、スモークしたタラコのカナッペ。
自分で重ね合わせます。照明が暗くて当記事の写真は全般的にブレブレでごめんなさい。タラコがとってもうまかった。魚卵で攻めてくれるので北欧気分がアガります。
ゴマのパンが秀逸。程よい甘さとゴマの風味が調和しています。
 バターは使用しませんでした。ネット上の情報を見ると評判が良かったのでちょっと後悔。
 バナナのムースとメレンゲに、液体窒素でシャリシャリにしたフォアグラ。未だに液体窒素とか使うんだフーンと思いましたが、前菜としてフォアグラを食べるにはこれぐらいの量で、コクをちょっと感じさせる程度で良いのかもしれません。上手い使い方ですね。
ちょっとなんだかわかりませんね。竹炭のシューです。中身はなんだっけ?リエットだったっけな。
ネギを散らしたチーズクリームと合わせて頂きます。この食べさせ方はブラスを想起してしまうのですが、味は良いので、ま、いっか。
 ノルウェーサーモンのマリネに山羊のチーズやら桜風味の泡泡やら。そうそう、北欧料理だった。忘れてました。サーモンは当然に美味しく、チーズに結構なクセ(良い意味で)があり、桜をみんなで食べ、ゆっくり飲み込んだら涙テイストでした。
 ホワイトアスパラにホワイトアスパラのソース。チーズの衣を身にまとい、仕上げにピスタチオのオイル。ホワイトアスパラはもっとゴツいのが好きなのでちょっと残念に思いましたが、その代わりにソースが非常に濃厚でプラマイゼロ。チーズの衣が予想外に美味しく、結果、アタリです。
 オマールのパイにアメリケーヌソース、さらにはウニ。この店、私の嗜好を完全に把握してるのではあるまいか。美味しくないわけがない。本日一番の皿。なんか掌の上で転がされているようで悔しいぜ。
 甘鯛にカダイフをまぶし、鴨節のコンソメを注ぐ。プレゼンテーションはスパニッシュで、味はジャパニーズで、なんだか不思議な気分になりました。気を抜くとすぐに北欧からズレていく。
箸休めに白人参のクレームブリュレ。アクアヴィット(命の水)という名のスピリッツと合わせるのですが、中盤でこのアルコール度数はギクっとします。
メインはラムのロースト。根セロリと黒トリュフにトランペット茸も。ラムは文句なしの火入れとポーション。トリュフはよくわからんかったけど、ソースが濃厚でワインにぴったり。特殊な皿ではありませんが、ド直球に美味しい。
 たくさんの紅茶から選べます。
 結局私はエスプレッソなのですが。
 デザート一発目はリンゴの何か。枝はチョコ、葉はミント。中身はジャムというかなんというか、かなり濃厚でヘヴィ。
 デザートのメインはマチェドニア(色んなフルーツ)にココナッツのアイス。メニューに「キャラメリゼ」とあったので、いわゆるキャラメリゼを期待していたのですが、写真下部のサクサクがそうでした。最後の最後で小技を挟んできましたね。
お茶菓子にはベビーカステラ的なもの。エスカルゴとかたこ焼きみたいな皿で可笑しかったです。

というわけで、大満足。普通、多皿のお店は少量で、結局何食べたんだかさっぱりわからなくなることが多いのですが、当店はいちいちポーションが大きく、記憶に残りやすいのです。大食いじゃないと若干厳しいものがあるかも。

ワインは皿ごとに合わせてくれるペアリングでお願いしてて、それぞれのワインがあまり馴染みのない、面白いものが多くて楽しかった。しかも全然ケチケチしてなくてかなりたっぷり注いでくれる。酔っ払う酔っ払う。4時間かけてのんびり飲み食い至福の時。

客あしらいも絶妙。空気のように軽やかだけど、必要なときに必要なものがきちんと出てくる。久々に完全無欠のサービスを見ました。これって美味しい皿を作ることよりすごいことなんです。

残る課題は「感動的な一皿」ですね。これが揃えば、東京最高のレストランへ駆け上がること間違いなし。今後が楽しみです。しばらくしたら再びお邪魔させて頂きます。



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