年末年始に11日間のクルーズで海外へ vol.2~人種分け隔て無く仲良く楽しくダサい船内~


個別の設備について述べる前に、全体的な雰囲気について。飛鳥Ⅱに比べると従業員の雰囲気がすごくいいです。
飛鳥Ⅱは少数の日本人従業員を頂点とするカースト制もかくやと思わせる超えられない人種の壁が確実に存在し、日本人以外の従業員がとても虐げられているように感じたのですが、当ぱしふぃっくびいなす号については皆のびのびと、人種も分け隔て無く仲良く仕事を楽しんでいます。モンテネグロ人のウェイトレスが通りがかった日本人従業員に対し、「ヤマダサーン!」のように声をかけ、どうかしましたか?と彼が応じると、「ナンデモナイデース!ゲンキデスカー?ワハハー!」のようなやりとりがそこかしこで見られます。

また、良い意味で空気が緩い。飛鳥Ⅱであれば、手が空いており客の相手をする必要のない場合であっても、刑務所並みの規律正しい行動が求められ、従業員は皆、心を失った機械のように存在しているのですが、今回のぱしふぃっくびいなす号においては平気で従業員同士でダベったりしています。
もちろん3時間1本勝負の超高級レストランであればこのような態度を私は認めないのですが、11日間という長丁場、ながーく付き合う仲間ですから、これぐらいのリラックスした勤務態度がむしろ心地よく感じます。
客層はお年寄りが非常に多い。平均年齢は70代半ばに達します。一方で、従業員は20代~30代前半が目に付くため、孫が祖父祖母の世話を焼いている構図に非常に近い。
芥川賞受賞作のスクラップ・アンド・ビルドを惹起させる年齢層です(ちなみにこの本はニートの若者が合法的に祖父の安楽死を幇助するという、現代社会の病巣を鋭くあらわした名著)。つまり、我々のような若い乗客は皆無であり、否が応でも目立ってしまう。この11日間は品行方正に過ごそうと心に決めました。

インテリアは死ぬほどダサいです。鬼怒川あたりの逝き遅れた温泉旅館がプロデュースしたかのような内装。
例えばクルーズ船の顔とも言える吹き抜け。この写真は我々が初めて乗船したルビープリンセスのアトリウム。
ぱしふぃっくびいなす号においてはこんな感じです。
全体感はさておき、個別設備も激しくダサい。何だこの謎のプリンタと携帯電話充電スタンドは。こういう絶対に誰も使用しない機器は断捨離すべきでしょう。
売店。ぱしふぃっくびいなす号のロゴがあしらわれたグッズが所狭しと並べられています。超いらない。
ツマミやビール、簡単な日用品も売られており、そのいずれもが日本における定価もしくはそれ以下で販売されており良心的。外洋に出てしまえば各種税金がかからないため、日本で買うよりも安くなります。
ホールは小さめの体育館ほどの広さ。椅子が常設されているわけではなく、イベントの用途において並べたり片付けたりするようです。このあたり、ベッドを置きっ放しにするのではなく、布団を押入れに出し入れする日本人のエスプリを感じました。
イベント時を除いては卓球台などを自由に使用してOK。そう、この船には「使っていない時はご自由にどうぞ」という、欧米系に準じた広い心が感じられます。飛鳥Ⅱは「基本的に立ち入り禁止」でした使用していない時であっても。
ゲームコーナー。当船舶は日本の船であるため、詳しい法律などは存じ上げませんが賭博行為はNG。ゲームセンターのようにチップを買い、それを用いてあくまでもゲームに興じるという建て付けです。
ジム。船の規模の割にしっかりとした誂えです。明日から入り浸ることにしよう。
プールならびにプールサイド。時期的に水は抜かれていますが、お隣に温水のジャクージがあり温泉風呂のようにリラックスすることができます。
展望大浴場(写真は公式ウェブサイトより)。このあたりのセンスはさすが日本人といったところ。昼間に大海原を眺めながら長湯するのが最高に気持ちよく、ほとんど毎日楽しませて頂きました。
スポーツデッキ。アメリカ船などはスペースがあればすぐにバスケットコートやパターゴルフなどを設置したがりますが、この船では単なる広場です。潔く何も置かず、うすら広い空間だけがそこにある。六本木あたりであればヨガでも始まりそうです。
茶室。社長の趣味でもあるらしく、本格的な茶器や掛け軸などを使用するとのこと。その方面の議論に私は疎いのですが、畳があるのは良いことだ。
カラオケルーム(写真は公式ウェブサイトより)。予約制の別料金。海上でも通信式のカラオケは可能なのでしょうか。レーザーディスクだったりして。
全自動式の麻雀ルーム。私は麻雀についても詳しくないのですが、仲間同士で臨めば楽しそうです。「お相手募集掲示板」なるものもあり、集合時間と人数を記載する紙が置かれていました。
図書室。船や旅行関係の書籍はもちろん、売れ筋の文芸書が多数取り揃えられており魅力的。雑誌も最新号が置かれているのですが、「老後の資産形成」「保険のカラクリ」「良い医師のいる病院」「本当に必要な介護」のように病院の待合室的ラインナップ。
さっそく私はこちらを読破。漫画はごく一部であり、台湾の成り立ちから始まり、政治や税制・法律にまで議論が及ぶ硬派な書籍でした。税務当局が商店での取引を全て補足するために、レシートの裏に宝くじを印字することを義務付けていることが印象的。客は宝くじ欲しさに必ずレシートを要求するようになり、結果としてレジを通さない取っ払いが減少したとのこと。
PCルーム。wifiは無く個人端末は使用不可。この辺は欧米系に大幅な遅れをとっています。あちらの船はお金さえ払えば部屋で無線LANを使用できるのが普通。今日び飛行機だってあたりまえなのに…と思いましたが、そうだ、乗客の平均年齢は74.6歳だった。
将棋・囲碁・オセロの部屋。こちらにも「お相手募集掲示板」がありました。
ピアノルーム。ポップな内装にひっそりとしたグランドピアノが1台。イベントに用いられることは少なく、自由な空間です。
カンファレンスルーム。大人向けの文化的なイベントが開催されており、台湾到着前はお茶の講座や水墨画教室など、ちょっとしたカルチャースクールです。いずれのイベントも大人気であり抽選式。
シアター。万人ウケする映画がエンドレスで流れています。同じ映画は船室のテレビでも観ることができるのですが、当シアターを訪れる乗客は少なく常に貸切状態。都内の仰々しい映画館に行くよりも居心地は良いかもしれません。
ランドリーは無料。洗剤や柔軟剤も無料です。乗客ひとりあたりの洗濯機および乾燥機の数がとても多く、待ち時間などは特に発生しません。もちろん有料のクリーニングサービスもありますが、終日航海のヒマな日が所々あったので、今回の旅行においては全て自分たちで洗濯しました。
ステージのあるイベントスペース。その夜ごとのメインイベントはこちらで開催されます。その内容についてはまた後日。


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