ピルエット/虎ノ門

毎度おなじみマリア様と。何かの飲み会で私が泥酔し、金を払わずに帰るという狼藉のお詫び兼お誕生日祝いです。
カッコ良いお店。クロスとかは無くカジュアルではあるものの、なんともクールな客層で、こういう空間は東京の最先端ならでは。照明があまりにもキマりすぎているので、皿の写真にどうしても影が入ってしまいますがご容赦を。
刮目せよ。当店は日曜日限定で、8,000円以上のボトルは全て半額なのである。何この空前絶後に雑な価格設定。目の色変えてワインリストにむさぼりついてしまいました。シャンパーニュだけでも数十本。体温が1度上がる。アヒャヒャじゃあとりあえずボランジェ。リストプライスで10,000円ですが、今夜は5,000円で飲める。そこらへんの酒屋と変わらん。
お通しのゴマ棒は印象なし。パンには手をつけず。
ブリのカルパッチョ。脂が薄く若干期待ハズレ。
何だっけ?稀少な豚のパテです。だがしかし味わいはそこらのビストロと変わらず稀少性は感じられず。マスタードがプチプチしてて美味しかった。
ホタテの何かにキノコのエキスを注入中。
うーん、映えない。食欲をそそらない。ホタテは別に普通。キノコのスープは面白いけれども凡庸。まあ、金額からしてこんなもんか。
すごく時間をかけて調理したタマネギ。タマネギ一枚一枚の間に薄切りのチョリソが挟んであって、なんとも酒が進む逸品でした。
カロンセギュール02。リストプライスで26,000円とレストラン価格としては安いほう?だがしかし今夜は半額の13,000円!!!勃起するわこの仕組み。ソムリエールに「ねえねえこれさ、酒屋で買うよりも安いけど大丈夫?」と尋ねると、「いえ、大丈夫じゃないです」とのこと。マリアも「ギャア嬉しい!ホラ、昨日、バレンタインだったじゃん?私のタイムラインにやたらとこれ飲みました投稿が多くてさ、あたしもハーフボトルで買ってひとりで飲もうかと企んでいたところなの」
鯛の松笠焼き。ウロコがパリパリしてて美味。ビストロでこの手間がけはすごいなと感心しました。
ホホ肉の赤ワイン煮込み。ドゴーンとヘビー級でワインともぴったり。本日一番のお皿。
ガロニは別皿で大量に。結構な種類の野菜がたっぷりあって嬉しかったです。

お手洗いから席に戻るとマリアが何やらソムリエと揉めている。「あ、いえ、今夜はもっと飲みたいから甘いのは結構です。もう1本赤かな。あとチーズ」。明らかにソムリエが動揺。なぜなら彼女の誕生日が近かったので、事前に「デセールで工夫するように」と私がお願いしていたのです。

タイミング良く彼女がお手洗いに立ったので、ソムリエが慌てて駆け寄ってくる。「どどどどどーしましょおおお!お連れ様、あんなこと言ってますよぉぉおお」私もこのような事態は全く想定しておりませんでした。シャンパーニュ1本。赤1本。姫よ、まだ前に進むおつもりですか?ともかくもうすぐお手洗いから戻って来るので「チーズのプレートに、チョコでメッセージで行きましょう」「チーズにメッセージは初めてですが、やりましょう」となんともコミカルな相談の集大成がこちら。
厨房・ソムリエ・私の努力が結集した奇跡の1皿です。

共に事を成し遂げた私とソムリエの間に遠慮という言葉は無くなり、心を開いてじっくりとワインを相談することができるようになりました。一瞬勢いでエシェゾーにしようかとも思いましたが、「いえ、お客様、そちらは高価ですし味わいも繊細ですので来週是非シラフでどうぞ」と的確なアドバイス。
結局最後の1本はこちら。「残ったらお持ち帰りくださいね」とお声がけ頂きましたが、1滴残らず飲み尽くしました。
ちゃっかりデセールも頂く我々。キャラメルのコクがストレートに伝わり美味しかった。
ミニャルディーズとコーヒーでダラダラしてご馳走さまでした!
帰りにセラーを覗かせて頂く。リストに載っていないものも結構ありました。今回は慌ててリストを読みふけってしまいましたが、次回は最初からじっくりと相談することにしよう。
こちらはソムリエおすすめのレア物。不勉強で存じ上げなかったのですが、そんなにオススメされちゃうと、ほんと次の日曜日来ようかな?

ということで、ワインを飲む人にとっては最高に素晴らしいお店です。ただ、あくまでビストロであり料理に華やかさを欠くため、下戸とは受ける印象が全く異なるかもしれません。

まあ、なんつってもこのお店は「日曜日ボトル半額」に尽きますね。ムートンの91が105,000円でここから半額、オーブリオンの04が130,000円でここから半額。こんな値付けのレストラン、地球上でここぐらいじゃないでしょうか。末永く続きますように。



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