焼きはまぐりる/大門

「はまぐり専門店がありましたよ。いやー、しばらくは旨かったけど、さすがに飽きました」との情報を得、行かないわけにはいきません。
 生ビールで喉を潤し、まずはキュウリ。夏の忘れ形見のような味わいでしみじみ。
ハマグリ≒キメリジャンじゃん?ということで、無理やりおしゃぶり。スイスイ飲んでしまいます。
ハマグリ屋のくせにメニューにハマグリが全然ないやんけ、と店員に尋ねると「は?ウチは注文とかじゃなくて、わんこ蕎麦スタイルでストップがかかるまで無限に出し続けるんだけど」とのこと。そんなルール知らんがな。コンセプトは立派ですが、一見には厳しいハマグリ屋です。
 明太子の燻製が地味に酒を呼ぶ。
 サンマの炙りは期待ハズレ。悪いわけじゃないのですが、季節のオススメと大風呂敷を広げる割にはプゲラッチョな皿でした。
 他方、トウモロコシのかき揚げは素材の甘味が前面的に主張しており、居酒屋としては素晴らしいつまみに感じました。正直よこ田の天ぷらと大差なし。
 先ほどの出汁中心の味付けにつき、海苔と胡椒で風味づけしたハマグリ。旨味が強く当然に美味しいわけですが、何よりも大量の二枚貝が目前を占領するという意味で、気分が昂揚します。
 サトイモ揚げ。ホックホクで個人的には大ヒット。サトイモって家で剥くの面倒ですもんね。
 めげずにサンマと茄子の辛味噌炒め。素材はともかく、味噌の味わいが客をその気にさせるので、大満足の一皿でした。
 3杯目は醤油味。シンプルながらも最善の策。ああ、我々は日本人なんだなあ。
 鶏肉は分厚い脂にバシっと焦げ目をきかせているため了解ウォッチ。合わせて飲み応えが必要だよねということで
 赤へ突入。安物ではあるものの、割と酔っ払いなので素直に美味しく感じました。
マグロのメンチカツ。これはオススメ。揚げ物ではあるもののマグロの軽さと総体的な旨味が丁度良いバランスで酒宴にはもってこい。街場の居酒屋も油断なりませんな。
お次はポン酢。しかし我々の味覚は醤油の濃さに飼いならされており、ポン酢ごときでは満足できないのである。
したがって、間髪入れずに醤油を追加。やはり醤油は世界最強の調味料である。
世界最強の調味料には、世界最強の日本酒で迎え撃つ。玉泉堂酒造が誇る醴泉。ハマグリの旨味と合わせる説得力といったらない。
〆はハマグリ出汁の炊き込みごはん。
サワラを合わせてくれてはいるものの、ハマグリの旨味が染み渡っておりサワラの影は薄い。すなわちハマグリが旨いのである。
モナカアイスで〆。

いやー、ハマグリなんて1年のうち、ひな祭りに2粒食べるかどうかなので、本日の食べっぷりには我ながらドン引き。良く食べた。でもやっぱ貝って美味しい。食材だけでここまで客に訴求するコンテンツは中々ない。今度は大勢でハマグリ尽くしのコースにチャレンジしたいと思います。



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