すし初/湯島


「年末だし、そろそろすし初行こうか」と大学時代の先輩よりお誘い。「年末だし」に特に意味はありません。
凍てつく寒さの夜ですが乾杯はビール。
里芋のすり流し。黄色い色味には少量のカボチャを加えているとのこと。すり流しって美味しいですよね。自宅の水道を捻ればいつもすり流しが出てくればいいのに。
くりりん、という銘柄のカボチャ。糖度が高くフルーツのよう。モノによっては1玉6,000円を超えることもあるそうな。
れんこん。照り焼きの香りが鼻腔をくすぐり、独特の食感が食欲を増幅させます。海苔のアクセントも心憎い。
早々にビールを切り上げ日本酒へ。今夜もたっぷり飲みますよ。
普段とは趣向を変えて、単純に刺身を出すのではなく、日本酒を熱し軽く茹でてお刺身を出して頂きました。寒い冬の前菜にぴったり。

まずは甘エビを3匹。エビの香りと食感のグラデーション。まったくエビは生でも火を通しても優秀な食材です。
ヒラメをミキュイ(半生)状態で食べるおは初めてかもしれません。熱を持つとコクが膨らみ、いつものヒラメとは一味違った印象に。
稀少な日本酒。バナナのような香りで芳醇な1杯。
アオヤギ。仕込みに大変時間を要するネタです。部位によって味の印象が少しづつ変わります。バター焼きなどにしても美味しそう。
ブリ。こっていりと大トロの部分に火を通し、一番美味しい上品な部分を凝縮。日本酒の盟友として最適な逸品でした。
サバと中トロ。当店の刺身はスライスが厚いのがいいですね。きちんと魚を食べている時間を楽しむことができます。マグロは鉄分と脂質のバランスが良かったです。
特大サイズのタラとその白子、マツタケ。タラは万能な食材でリーズナブルだと捉えているのですが、すし屋や和食店では思いのほか食べる機会が少ない。濃厚でクリーミーな白子と共に澄み切った身を含み、香りはマツタケで補完する。味わいと香りが複雑に折り重なった一皿でした。
味が乗った日本酒で、白子のコクを堂々と受け止めてくれます。そして意外とキレもある日本酒。
銀ダラの西京焼き。むはー、こういう普通の料理をきちんとしたお店で食べるのが一番の贅沢。品の良い西京味噌の風味がグラスを持つ手を後押しします。
ペースが速くなってきました。1品1品にあわせて手を変え品を変え日本酒を合わせてくれる。さすがは熟達した利き酒師。
牡蠣も誇らしいほどに旨味が凝縮され、酒を飲む手が止まらない。
それにしてもよく飲む男たちである。東麻布天本でも思いましたが、写真を今ふりかえり、自分で自分にひいています。
秋刀魚の照り焼き。秋の脂をたっぷりと含んだ秋刀魚をガラリと焼き、これまた濃厚に照り焼きで仕上げます。味に味を重ねる足し算の調理。これまでとは方向性の異なる皿で胃にスペースが空きました。
足し算の調理にはフランスワイン。そう、店主は実はソムリエ資格も有しており、隠れキリシタンのようにワインを隠し持っていることがごく稀にあるのです。
ようやくにぎりにたどり着きました。大きな大きなエビに黄味酢をのせた一貫。当店のにぎりではコレが一番好き。ジャクジャクとした歯ごたえのあるエビに黄味酢の複雑な風味がベスト・マッチ。
酔いも回り始め、店中にある日本酒ジャンジャン持ってこいモードに入ったので、ここからすごい飲んでます。
ホタテ。あつぼったい身に焼き目の香ばしさ。若干の苦味がクリアな味わいを引きたてます。
とろりとした飲み口にハッキリした強めの味。興が乗ってきた際の火付け役に適任です。
ホッキ貝。イントレチャートのような見栄えは大将の努力の賜物。一口で頬張り永遠に噛み続けていたい独特の風味。
4番ファースト而今。メロンのような丸みのある香り。しみじみと行き渡る温かい酸。やっぱこの酒おいしいわ。
サバ。タラとどうように、安くて抜群に美味しいネタです。表立ってサバを出してくれる鮨屋が少ない中、当店は堂々と私の心の設計図を読んでくる。うまいっ。
ヅケ。赤身の鉄分とヅケ地の旨味が融和します。サッパリとした仕上がりで、別腹を少しづつ広げてくれました。
秋刀魚を炙ってヅケ地で洗ったもの。香ばしい焼き目の香り、ヅケの香り、脂の香り。香りを食べるにぎりでした。
ブリ。たっぷりと脂がのったロールスロイス級の肥満体。シャリの甘さと渾然一体となって胃袋に雪崩れ込んできます。
ここまで来ると酩酊状態。隣の客と母校が同じことが判明し、肩を組んでの大宴会。
筋抜き。トロのトロットロの部分から筋を抜き、トロトロの極みを目指した逸品。バイブスがヤベえ。鮨好きでこの握りを好まない人はいないのではないか。にぎりの中では本日一番のものでした。
穴子はツメの甘さを楽しみながら、ほろりほろりと崩れ落ちる。酷く旨いが、この味わいは蛍の光。今夜のフィナーレも程近い。
〆の巻物はネギトロ。トロの刺身を丁寧に包丁でつぶし、優しく優しくシャリで包み込みます。キッチリ腹10分目!ごちそうさまでした!
カーテンコールに而今をもう一杯。今夜も楽しい一夜でした。
デザートに梨。ふくよかな自然の甘さに人心地つく。
デザートに合わせて面白い酒を。スペインから輸入したシェリー樽に火入れの「七本槍 純米」を入れ熟成。
お開きにオーク樽熟成貴醸酒。ハチミツの香りと濃厚な甘味。個性的な日本酒です。

いやー、食べた飲んだ、満腹じゃ。「そりゃそうですよ、タケマシュランはウチの客で一番飲み食いする。大体、普通の人の倍量ですね」道理で最近腹回りに肉がついてきたわけだ。年末年始はクルーズ旅行。毎朝ガンガンに運動しようかしらん。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。


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