高級はとバスで富岡製糸場

私はちょっとした世界遺産マニアです。国内で未だ訪れていない世界遺産は残すところ知床のみ。となった際に「富岡製糸場も認定されたよん」とのニュースが舞い込む。ぐぬぬ、キリがない。
それでも富岡製糸場は東京からは目と鼻の先であるため、はとバスの日帰りツアーで向かう。
一般的な車両ではなく、高級ラインに乗車したため極めて快適。たった3列しかありません。しかも最少催行人員ギリギリ10名での出発。
リクライニングやフットレストも備わっており抜群の居住性。東海道新幹線のグリーン車よりも快適です。
コーヒーや
小菓子なども提供されます。テレビ、ラジオ、CDを楽しめるオーディオシステムや充電機器も完備してるし、傘やブランケットの貸出、おしぼり、スリッパなど、砂糖に蜂蜜をかけたような至れり尽くせりっぷり。
バス最後部には2畳ほどの広さの化粧室。飛行機のそれよりも全然広い。
トイレもピッカピカに磨き上げられており、はとバス社の当車両への気合の入れようが感じられます。しかし、「お手洗いが完備されていると、気兼ねナシに車内で宴会できる!」と興奮したアナタはサブプライム層予備軍。当車両は品の良い落ち着いた客層で、誰も酒など飲んでいませんでした。
桐生織物記念館へ。かつては「西の西陣、東の桐生」と呼ばれるほど、織物業が盛んだったんですって桐生は。
手機織体験などがあり興味深い。ジャガード織のメカニズム(厚紙に穴を空けると機械が検知してナンタラカンタラ)はさっぱりわかりません。私は決して理解力に乏しいバカではないので、説明が悪いのでしょう。私は悪くない、潔白だ。
そうそう、この辺りはやたらと篠原涼子のポスターが貼られており、なにかゆかりがあるのかなと検索してみると、桐生市出身なのですね彼女は。

「篠原涼子は桐生市出身なんだよ。42歳で子供もいて、本名は市村って言うんだよ」と得意気にウィキペディア情報を披露すると、「そんなの誰でも知ってるわ。バカじゃないの?」と詰られる。私は決してバカではない。私は決してバカではない。
昼食は桐生ではそこそこ人気のあるフレンチレストラン「ショコラ・ノア」へ。詳細は別記事。
高山社跡。初めて知ったのですが、富岡製糸場が世界遺産認定されたわけでなく、関連施設プラス3つを加えてまとめて認定されたんですって。そのうちのひとつがコレ。
富岡製糸場はその名の通り糸を作る工場ですが、ここ高山社は絹糸の元となる蚕の繭を上手に作る方法を指導しる学校なのです。シルクって頬ずりしたくなるほど滑らかだけど、元をたどれば芋虫の排出物なんですよね。何億匹という芋虫がグネグネと飼われていたかと思うと全身が総毛立つ。
メインイベント、富岡製糸場。フランスから機械と技術者を呼び寄せ、学び、大量かつ高品質のシルクを生産し、輸出により外貨を稼ぎまくった殖産興業の立役者。
工場内は整然と線対称。
今にも動き出しそうなほどの躍動感を感じさせる機械たち。日本の近代産業がここから始まったかと思うと感動もひとしお。日帰りだけれども色々と考えさせられ、歴史への感謝が深まった旅行でした。本物の旅行とは新たな風景を見ることでなく新たな視点を持つことに他ならない。
帰りは三芳のサービスエリアに立ち寄る。地元の野菜が感動的に安い。
明日はお歳暮にお肉が届く予定となっていたので、すき焼き用にと野菜を爆買い。

あっと言う間に新宿着。高級はとバスはため息がでるほどの快適さでした。何時間でも寝ていられる。これなら大阪までバスの旅も全然アリですな。当車両をあまりに気に入ってしまったので、東京発のバスツアーをチョコチョコ試してみようかしらん。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。