蕎麦切 砥喜和(ときわ)/赤羽橋

蕎麦屋でじっくりと飲む、すなわち蕎麦前に近々チャレンジしようと指切りげんまんしていた女医とのデート。それから特に日時は決めていなかったのですが、「明日の夜、どうですか?」と唐突に連絡が入り秒でオッケー。
慶應の裏、イタリア大使館に隣接するマンションの半地下。あの暗闇坂宮下の系列の蕎麦屋。蕎麦屋としては私の知る限り世界で一番かっちょええエクステリアです。
54席とかなりの大箱。予約はしていなかったのですが楽勝で入ることができました。どの駅からも死ぬほど遠いため使い勝手が悪いのでしょう。自宅からお散歩がてらお邪魔できる我々にとってはこの空き空き加減が好都合。
プレミアムモルツが600円なのですが、コエドが800円と悪くない価格だったのでコチラを。私は瑠璃、彼女は白。

今日は誘ってくれてありがとう。でも、突然どうしたの?『明日の夜、どうですか?』だなんて。珍しいじゃないか。「えへへ、〇〇さん(私の名)ならそういう誘い方もあるかなと思って、使っちゃいました」そのような誘われ方は大歓迎。

勘違いしている方が多いのですが、基本的に私は数日前まで予定が入っておらず、ぜんぜん忙しくなんかありません。「候補日をいくつか下さい」など聞かれようものなら、『10月は8・14・23を除いて全部あいてます』のように返信しドン引きされることが多い。
お通しがわりの蕎麦味噌。これでチビチビと酒をやりストイックなひととき。

昔はパンパンに予定を入れるタイプだったのですが、その余裕のない生活に虚しくなり、余程のこと(鮨さいとうとか結婚式とか)でもない限り自分から予定を入れることは無くなりました。このようなライフスタイルの美点は、予約困難店の突然の空きに滑り込めることですね。
ざる豆腐。豆の味わいが強く弾力があります。自慢のそばつゆで食べることができるのも蕎麦屋ならでは。

「今夜の天本、なんとかなりませんか?」「明日のフロリレージュ2席、どうですか?」「明日のくろぎに2席空きが出たのですが」などのようようなお誘いに私はかなりの確率で応じることができるため、「〇〇(私の名)を誘えば何とかなる」と、グルメ仲間内ではセーフティーネットのような役割を果たしています。中途半端にスイングを振り続けるのではなく、確かな選球眼をもとにフルスイングする。これがチャンスを掴むということである。
出汁巻き玉子。丸々と太った玉子はハッキリとした出汁の香りが。プルプルとプリンのように弾力があり、口に含むとジュワジュワとジューシー。

その他、女の子は同姓との約束はしっかりと守る印象ですが、異性との予定はアドリブなことが多い(タケマシュラン調べ)。もちろん予定が埋まらずその日になって暇を持て余す女子も多く、その駆け込み寺としての役割も果たしています私は。「あと、〇〇さんは既婚者だから、深みにはまらないなっていう安心感もありますよね」彼女は本当の深みとは何かを未だ知らないようだ。
鴨のたたき5切で1,200円と割高。スライスも薄く味わいも貧相です。例えば藤沢のすい庵などではステーキ肉のような分厚さで100グラムもあろうかという迫力なのにわずか1,350円でした。
日本酒はきちんとした地酒が1合1,000円弱とリーズナブル。洌・鶴齢と、綺麗な酒を次々と逐次投入。

「この前久しぶりにご新規と食事に行ったんですけれど、死ぬほどつまらなくて、記憶から無くなっちゃったんですよね」なんでも知り合いの知り合いからナンパに近い接触をされ、半分義理で一度だけ食事をしてみたとのこと。「会計士だったんですけど、あの人種は死ぬほどつまらないですね。店選びのセンスもゼロ。だって今どき初デートで池袋なんかを指定するの、正気じゃないですよ」会計士の人ごめんなさい池袋の人ごめんなさい。
無花果の天ぷら。宮崎の一心鮨光洋で無花果を揚げたものが滅法旨かったので注文したのですが、当店のそれはまだまだです。べちゃべちゃとした仕上がりであり嫌な油の風味がいつまでも口の中に残ってしまいました。
ニシンの旨煮。脂をたっぷりと湛えたニシンが丁寧に炊かれ、その脂が溶け出して独特の深いコクを形成します。「ニシンと言えば、京都のにしんそばですよねえ。そろそろ良い季節ですよね、京都」彼女は男をそそる美しい瞳をしている。勇気を出してお誘いすれば、ワンチャン京都デートあったかもしれません。
〆に蕎麦。海老好きの私は大海老天せいろをチョイス。注文後数分でご対麺。蕎麦はやや硬めの仕上がりであり私好み。ただし香りや旨味はそれほど強くなくプレーンな印象です。天ぷらはイマイチ。前述の無花果のようにべちゃついた食感。先日てんぷら前平で絶品の数々を食したばかりなので、余計にそう感じるのかもしれません。
彼女はきのこおろしせいろ。ひとくち交換こしたのですが、こちらは悪くないですね。見た目以上に強烈な味付けのスープにきのこが山盛り入っています。パンチのある調味であり男性的な味わい。なるほど当店では揚げ物は避けて、煮る系の料理を注文したほうが良いのかもしれません。
蕎麦湯で〆てごちそうさまでした。そこそこ食べて、軽く飲んでひとりあたり5,000円強。覚悟していたよりは安くあがりましたが、それでも普段使いするにはもう少し安くあって欲しいところ。割安感のあるメニューとそうでないものの差が激しいので、経験が試されるお店なのかもしれません。


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