Wineshop & Diner FUJIMARU/浅草橋

上野公園で「ワイン展」が始まりました。一部のマニア向けの展覧会ではなく、「神の雫」や田崎真也、亜樹直など、無辜の民にも優しい思想で組み立てられており好印象。
フランス帰りのパティシエールと共に取材へGO。ところで上野公園ってお花見以外にまともにお邪魔したことはないのですが、「○○博物館」「○○会館」のような文化的な設備が山ほどあるのですね。どうして高尚な建物ばかりなのに、ファイナルファイトみたいなゲットータウンに成り下がってしまったのでしょう、上野は。
ワインの歴史や成り立ちをパネルや模型を使いながら丁寧に説明されています。普通こういう博物館って、流し見して行った事実だけを後生大事にするものですが、ワイン展の客は意識高い系の人ばかり。全ての説明書きを一言一句丁寧に読み込むため、展示物の前に行列ができ、中々に時間がかかります。
私はワインエキスパート様なのおおよそのことは存じ上げていたのですが、コルクはこうやって切り出されていることを初めて知り、衝撃を受けました。
パスツール。ワインを語る上では最重要人物のひとりなのですが、「パスツールのフランスでの尊敬のされっぷりは半端ない。『歴史上の人物で尊敬する人は?』という質問に対し、パスツールって答えるフランス人が圧倒的に多い。ナポレオンなんて答える人はまずいない」と連れ。日本での坂本龍馬なポジションなのかもしれませんね。
さて夕食は浅草橋のフジマルへ。お店の入り口がわからず建物をグルグルと回遊していたところ、洋服屋のにーちゃんが見かねて声をかけてくれました。ええ人や。
洋服屋の廊下を遠慮なく突き進み、奥の階段を登ると入り口が。2015年最も入り口がわかりづらいレストラン認定です。
ワインショップも併設されており、そこからの持ち込みもOK。
18:00の予約で17:30に到着してしまい、前の客がまだ帰っていないとのことだったので、立ち飲み席で時間をつぶす。それにしても、この時間に満席で埋めるって、どんだけ人気おますねん。

京都の丹波ワインというワイナリーのスパークリング。デラウェアです。小ビンで供され面白い。シードルのブドウ版というか、アルコール度数が低く甘めで親しみやすい味でした。
お誕生日祝いにJPHの焼き菓子を頂く。「Facebookで見たけどマカロンもらってたよね?だから焼き菓子」。なんと鋭い。外装の写真だけでマカロンと見抜くとは。
山形のデラウェアを買って、清澄白河で醸造した都市型ワイン。面白い試みですねえ。大阪の羽曳野市には自社畑も所有しているらしく、フジマル、気になる存在です。
パクチーとセルバチコのサラダ。期待通りの味。なんですが、ちょっと割高。
「ウフマヨ注文していい?」何その女子力高そうなネーミングと興味津々でいると、届いたのはコチラ。なるほど、ウッフ(卵)・マヨネーズですか。
完全無欠の茹で加減。美味しい。でも1個400円は高いなあ。2個500円にして欲しいなあ。
ほろほろ鳥のレバームース。臭みは丁寧に取り除かれており、味に申し分なし。量もたっぷり。満足です。
オマールとズワイガニのグラタン。甲殻類特有の旨味が詰め込まれた珠玉の一皿。
大阪の「たこりき」というたこ焼き屋の仕入れを用いたクロケット(?)。中にソースが注入されており、激熱ながら笑みのこぼれる食感。

この他にも江古田のパンとか北海道のモツァレラとか、メーカーズセレクションと称して全国各地のニッチな名物を取り揃え、ワインのツマミとしてそのまま出すという割り切った考え、結構好きです。
山梨産のMBAをこれまた清澄白河で醸造したもの。イチゴ感満載で微発泡。ジュースっぽいわかり易い味わいで、これはこれでアリ。
なにわ黒牛という、大阪唯一の黒毛和牛でつくられたハンバーグ。脂の融点が低くジューシーの極致。カサローエモのハンバーグを思い出しました。つけあわせの大根おろしは一転して清々しくバランスが取れています。
トリュフと卵黄とバターのパスタ。これだけシンプルなのに中毒性があるのは麺が抜きん出て美味しいから。独特のモッチリとした食感に、かみ続けるほどに溢れ出る小麦の旨味。行列のできるつけ麺屋みたいな麺だなあと考えていると、なんと驚き、仕入先は浅草開化楼でした。ラーメン好きなら知らない人はいない製麺所なのです。開化楼とサローネグループの総料理長が共同開発したんですって。
〆はくらむぼんワイン。山梨のカベルネです。適度なタンニンを含みながら清潔な味わいで結構好き。

食後はフランス談義に華が咲く。パリでのテロにつき、Facebookのアイコンをトリコロールにするだのしないだので日本は揉めていましたが、当のパリ市民たちは全く平凡な暮らしが変わりなく続いているとのこと。もちろんテロ直後はSNSでメッセージを拡散的な動きがあったらしいのですが、1週間もすれば巡航運転に戻ったですって。

そんなパリ市民の中で1週間だけ流行った、私が個人的なお気に入りは「ビストロに行こう」運動。テロで不穏な空気になりつつあった街の流れを変えようと、「まあ、色々あったけど、普段通りビストロでメシ食って、テラス席でお茶しようぜ」というムーブメントです。これはいい。テロリストたちは一世一代の大勝負に出たのに、パリジャンに「痛くも痒くもないもんね」とテロスルーされたらたまらんでしょう。ダイナミック不謹慎かもしれませんが、なんか気に入ってしまいました。



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