やきとり万亀/栄(名古屋)


先日の千亀では大変に満足できたので、その修行元である当店「やきとり万亀」へ。
名古屋イチの歓楽街の、その中でも図抜けていかがわしい通りへ。この緑のフェンスの路地を左に曲がるのはファイナルファイトのコーディでさえも躊躇うことでしょう。
路地を10メートルほど行くと、これまたいかがわしい建物に突き当たります。確かに看板には「万亀」とあるため、命までは取られることは無いだろうと意を決して突入。
18:30というのに満席でした。予約必須。千亀で生ビールがイマイチだったので、最初から瓶ビールに手を付ける。ネット上のクチコミでは「お任せ」がいいとのことだったので、「お任せ」を注文。
千亀と同じく(という表現はヘンですね、万亀が先ですから)お通しは塩キャベツ。千亀に比べて塩気がおとなしくプレーンな味わいです。半分ほど手を付けるとすぐにお姉さんが補給してくれます。
皮とレバー。皮が芳醇であり脂っぽくて最初の一口としてはどうでしょう?レバーはまあまあ美味しいけれど、焦げ目が強く鉄の風味が損なわれているのが気になりました。

また、大将は目の前に串を置いていくだけであり、料理についての説明が一切ないのが不親切。常連ならまだしも私は明らかに一見客なのに。
砂肝。ザクザクとした歯ごたえで悪くはないのですが、やはり強烈な焼き加減が気になります。

ところで串を出されるテンポがものすごく早い。1本食べ終わる頃には次の1本が待ち構えており、すきやばし次郎のようなスピード感があります。
ネギマ。もはや火入れを通り越して黒コゲです。しかしながらモモは逞しい味わい。評価に右顧左眄する一本でした。
手羽。脂の強い素材であるため、先ほどからの懸念点である強すぎる火入れはメリットとして働きました。
ギンナンもホクホクとした食感と焼き目のコントラストがグッドです。
焼き牡蠣。これは絶品。調理過程のジュワジュワ炙られているところを見るだけで萌えてしまいます。磯の香りと炭の香り。本日一番のお皿でした。
ハツ。意外と細身でノミの心臓です。食べ応えに乏しくいつものハツのほうが好きだなあ。
モモ。味は間違いないのですが、いかんせんスリム。もっとでっぷりとしたポーションで食べたいところです。
つくね。塩味でアッサリ。つくねに限っていえば、デロデロのタレとトロトロの卵黄で食べるのが好きなので、この串には心が揺さぶられることは無い。
シイタケ。旨味に乏しく焦げ目もきつい。店全体の解像度を下げる一本です。
ちょうちんもカチカチに火が通っています。ちょうちんの美点はトロトロの卵黄が口の中で爆ぜる瞬間なので、完熟したコチラではスリルに乏しい。
ササミに梅。雑味などなく非常にクリア。しかしなぜこのタイミングでこんなにも味の薄い一品を出すのでしょうか。冒頭あたりに相応しい味だと思うのだけれども。
手前はナンコツ。ササミと同様にコチラも序盤で楽しみたい味わい。奥の鴨は素晴らしい。これまでの串とは大きくベクトルが異なり野性味溢れる味わいです。
ピーマンは子供のゲンコツほどの大きさ。新鮮で瑞々しく市川由衣のように元気いっぱいです。
牛バラは脂が強すぎてあまり好きになれませんでした。うずらはまあまあ。ただしやはり火入れが強すぎてカッチンカッチンやねん。
ナガイモはサクサクのホクホクで食べる楽しみに溢れており、最後の最後で本日一番のお皿でした。
〆の炭水化物に鶏飯か鶏ソバを選択できるのですが、ここのところローカーボを目指していたので、「鶏ソバの麺抜きでスープだけ頂けますか?」とお願いすると快く応じて下さいました。味は千亀ほど鶏の味が濃いわけではなく、醤油ラーメンのスープに近い。

千亀の修行元ながら、その方向性は全く異なるお店でした。1串のポーションが小さい一方でバリエーションが多く、さらに値段がちと高めでした。

決定的な特徴は焼き加減ですね。全般的に火入れが強く焦げすぎであり、調理が素材の邪魔をしています。もちろん焼き加減は好みであり、レアが好きな人もいればウェルダンが好きな人もいるので、これはこれでアリなのかもしれません。


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やきとり 万亀
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