レストラン巴里/霧島(鹿児島)

霧島観光ホテルのメインダイニング。日本の僻地で和食を出す店なのになぜ巴里なのか。毎年フランスを訪れる身としては非常に興味深いところです。
鹿児島県内でトップクラスの料理を食べるのであればもちろん鹿児島市内の繁華街なのですが、今回は「霧島に泊まる」が前提条件。最上位のレベルについてはある程度制約があることは仕方ありませんが、その中でもせめて料理が自慢の宿に泊まりたいということで、当ホテルならびに当レストランに白羽の矢が立ちました。
指定された時間にテーブルに着いて脱力。既にほとんどの料理が並べられているのです。ああ、料理をウリにするのであれば、もう少し提供方法に挟持を持って欲しい。

それぞれの素材の質を点検すると、既に瑞々しさは失われ野菜に至っては変色が進んでいる始末。ごめんよこんな結果になってしまって、と妻に対して頭を垂れると「まだ一口も食べてないんだから諦めないで!」とE判定の受験生を励ますような優しさを感じました。
食前酒にハイビスカスの何か。これがカキ氷のシロップのように甘く、食前酒の役割を全く果たしておらず、むしろ食欲を減退させる方向へとむかわせます。
なぜか従業員の殆どが外国人。なぜこんな僻地に大勢の若い外国人が?マニュアル通りに料理の説明をしてくれるのですが、はっきりいって何を言っているのかわからない。人種差別をするつもりはありませんが、日本語が不自由であり理解に苦しむレベルなので、接客レベルは低いと判断せざるを得ません。
「フカノナンバンヅケ!」と言っていたので、鮫なのでしょうか。酢の風味が強かったため身の味わいまでは判断しかねたのですが、鮫であれば中々に珍しい料理を食べたことになる。
この皿は実に謎。ヘナヘナに甘く、今ここで食べる必要がどこにあるのか。それでも店員は「デザートジャアリマセン!イマスグタベテクダサイネ!」と熱弁をふるわれる。
刺身は決して不味いというわけではありませんが、スーパーの売れ残りを食べているような気分でありサゲです。
カンパチのしゃぶしゃぶ。ご覧の通り色が悪い。ネギに至っては茶色にまで変色が進んでいます。味はやはり不味くはありませんが、どうしてもスーパーの売れ残りを軽く湯がいただけのような味覚です。
和牛の陶板焼。なるほど和牛なのかもしれませんが、妙に脂身が多い一方で、肉そのものの味わいはスカスカです。陶板焼の火も弱く好みの火入れを実現はできず、ストレスだけが募った一皿でした。
お椀は思ったほど悪くない。しかしながら謎の餅のようなものがピンポン玉サイズで2つ入っており、無駄に腹が膨れた一品でした。「あたし、もういらない。食べたいのあったらくれてやるわよ」と、この時点で妻が脱落。
ロブスターの具足煮。殻つきのまま大まかに切り、さっと煮つけたものなのですが、なぜロブスターを用いたのかが理解不能。近くには伊勢海老の良い漁場があるというのに。。。
焼き物に至っては魚の説明すらありませんでした。この時すでに私はやわらか戦車のように脱力しており素材を問い詰める気力は無く、妻はスマホでティンティリティンティリとテトリスをしていたので、あまり記憶に残っていないシーンです。
食事と赤出汁は控えめに言って失敗作です。こんなに不味い炊き加減の白米を食べたのは久々である。赤出汁も赤味噌は用いているものの出汁の風味が皆無であり、料理人は本当に味見をしているのか甚だ疑問。
最も期待していた「なめらかプリン」はパステルには程遠く、シャトレーゼとコンビニの中間レベルの味覚でした。

一食を無駄にし余計なカロリーを摂取してしまった時間でした。やはり観光地の大箱ホテルで美食を期待した私が甘かったようです。よくよく考えれば、食事付きの宿で記憶に残った食事は殆ど無いなあ。やはり鹿児島市内に宿を取り、夜は繁華街に繰り出して鮨でもつまむべきでした。反省。


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