Les Queues(レクゥ )/福井

福井市郊外の、町工場やラブホテル、GUや住宅などが入り混じる独特の土地に居を構える「Les Queues(レクゥ )」。ミシュラン1ツ星です。
熾火がパチパチと爆ぜる音が心地よい、カッコイイ誂えのオープンキッチン。ダイニングとシームレスに繋がっており、窓も大きく、福井で最もスタイリッシュな空間かもしれません。

阪下幸二シェフは中目黒のフレンチレストランを経て地元に戻り、タイミング良く居抜きで開業。オープンは2000年と、意外に歴史のあるレストランです。
ワインの品ぞろえはイマイチですね。日本酒のラインナップはフレンチレストランとしては中々のものですが、肝心のワインの選択肢が狭い。ワインに係る説明も微妙だったので、あまりワインに興味のないお店なのかもしれません。せっかくなので地元のワイナリーの白を1本注文。
アミューズはトウモロコシのタルトレット。トウモロコシの甘味が活き、心地よい幕開けです。
続いてキツネガツオ。表面はパっと炙られており香ばしいかおりが食欲をそそります。厚切りでムシャムシャとした食感も食べるに楽しく、併せてズバっと焼かれたナスの風味などは和のニュアンスも感じさせる美味しさです。
タマネギのヴィシソワーズ。冒頭のトウモロコシと同様に、素材の滋味がしっかりと活きています。ホタテも気前の良いサイズであり、熱を入れてキュっと引き締まった味覚が美味しい。
お魚料理はスズキ。石窯の熾火でシンプルに焼き上げたものですが、これがべらぼうに旨い。表面はカリっと、身はぷっくりと膨らみ、フワフワと実に優しい歯ざわり。フランス料理で食べるスズキは殆ど印象に残らずグズグズの身を濃いめのソースでギリ食べる、みたいな地味なものが多いですが、当店のスズキは「俺は鈴木だ」とその存在をハッキリと主張する、目の覚めるのようなひと皿でした。
お肉料理は若狭牛のイチボ。こちらもやはりシンプルに焼いただけですが、ほとばしる熱いパトスを感じる逸品です。サクっと入るナイフの手触りが快感。表面から内部にかけての食感グラデーション、素朴ながら真実味のある味覚。どれをとっても一級品の味わいです。
デザートはブドウに甘酒のアイス。独特の香りがふんわりと鼻腔に広がり、レトロネーザルが楽しい大人の甘味です。
小菓子はカヌレと手が込んでおり、そのまま専門店をオープンできそうなクオリティでした。
1万円ほどのお食事のコースにお酒をいくらか飲んで、お会計はひとりあたり1.5万円弱。福井県のランチ相場からすると高めに感じるかもしれませんが、フランス料理としては実に尊い費用対効果です。このクオリティの焼き物は、フレンチに留まらず和洋中どのジャンルを加えてもトップクラスと言えるでしょう。

食材だけでなく、器やナイフなどの食器類も福井県産のものに拘っているのも好印象。旅行者としてはアクセスの難しい土地ですが、福井駅からタクシーで乗り付ける価値のある素晴らしいローカル・ガストロノミーでした。

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日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

そば亭 油や(あぶらや)/長野駅

名古屋駅の善光寺口を出てすぐの場所にある「そば亭 油や(あぶらや)」。ドンキの看板の下で、どう見たってビジネスライクなお店なのに、これがなかなか旨い蕎麦屋なのです。
店内は思いのほか広く、70~80席近くあるのではなろうか。カウンター席にテーブル席、ボックス席に小上がりと使い勝手は無限大。酒抜きで食事だけでもいいし、豊富なツマミを片手に飲むのも良い。蕎麦を主軸に置いたファミリー居酒屋といった風情です。
スペシャリテの「戸隠おろしそば」。ピンピンの蕎麦にたっぷりの大根おろしにキノコなどなど。冷水でギャギャっと締めているのか歯ごたえが抜群。量も東京の気取った蕎麦屋の1.5倍ほどはあり、この質および量で千円を切るのは素晴らしい。
こちらは天ざる。先のおろしに比べると直接的に蕎麦の風味を楽しむことができます。白くもなく、黒くもなく、中道的な味わいでありつつ、ビシっとした食感。そしてやはり量が多め。おつゆはちょっと甘めかな。
天ぷらそのものはスーパーの総菜と大差ありませんが、この量の蕎麦と天ぷらを食べて1,500円かそこらというのは魅力的。長野旅行の〆、新幹線へ乗り込む前のフィニッシュに是非どうぞ。

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間宮堂(まみやどう)/宗谷岬(稚内)

日本最北端のラーメン屋「間宮堂(まみやどう)」。宗谷岬にある日本最北端のモニュメント(?)に面した丘の上に建ち、「ラーメンは北に来るほどうまくなる」と気炎を吐いています。11月中旬~4月中旬までは休業というレア感。店名は恐らくこのあたりで活躍した探検家の間宮林蔵からでしょう。
店内はカウンター席にテーブル席、小上がりと結構広い。それでも営業時間中は常時満席という人気っぷり。記帳台に名前と車のナンバーを書いてから車で待機。順番が来れば店員さんが車まで呼びに来てくれます。
ラーメン屋としては珍しく「さしみ」というメニューがあります。物は試しと注文すると、これが結構、いやかなり美味しく、このクオリティのウニとホタテが千円で食べることができるのはまさに地の利と言えるでしょう。都心のスーパーで買うよりも断然お買い得。
勢いづいて「帆立バター焼き」も注文。こちらは600円。やはり高品質なホタテを使用しており、シンプルにバターでソテーしただけですが実に旨い。運転があるためお酒を楽しめないのが少し悲しい。
スペシャリテの「塩帆立ラーメン」は800円。スープに帆立の出汁がきいており、名古屋のスガキヤの魚介の部分を凝縮して洗練させたような味わいです。他方、麺はイマイチですね。粉っぽい食感でありつつグダグダのグデグデであり、これならライスをぶち込んで雑炊として食べたいほどです。
いずれにせよ、ド観光地においてこのクオリティの食事をこの価格で提供してくれるのは大変ありがたい。宗谷岬を訪れる際は必ずセットでお邪魔しましょう。

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ビクターズ(Victor's)/恵比寿

ウェスティンホテル東京のメインダイニング「ビクターズ(Victor's)」。コロナのせいで早じまいしなければならないそうで、急ぎ17時台に入店したのですが、夕方から夜にかけてのマジックアワーの景色を堪能することができ、これはこれでありよりのありです。
しかしながら店内は見捨てられた町のようにがらんとしており、営業日も木・金・土・日のみと珠理奈のように辞め時を失っています。私としてはきちんとしたホテルのメインダイニングなので、ハラハラドキドキめくるめくスリルを期待していただけに残念。
ホールスタッフにも覇気がなく、本日の鮮魚料理の内容を尋ねても「スズキです」とぶっきらぼうに答えるのみであり、いやあんたの名前じゃなくて料理について詳しく教えてよ、と危うくツッコミそうになるほどのテンションの低さでした。
アミューズはサーモン。これはまあ、良くも悪くも一般的なサーモンであり無難に美味しかった。
プリフィクスコースだったので、前菜にニース風サラダを取ったのですが、なんか、こう、美食の瑞々しい気配がなく、盛り付けにも迫力がありません。ニースの人にこの料理を食べさせたとしても、まさか自分たちの郷土料理をテーマにしたものだとは気づかないことでしょう。
パンも色んな種類を用意してくれるのですが、どうにも覇気が感じられません。1種類でいいのでガチなものにチャレンジして欲しい。
アジのマリネ。魚は汚染された三角州のような色合いであり、味もポーションも予算をケチった披露宴のようです。
追加料金を支払って選択した「ブイヤベース マルセイユ風」。こちらも冷凍の魚介にタレをチョロリとかけただけのひと皿であり、大きな忘れ物をしたような違和感を覚えます。マルセイユの人にこの料理を食べさせたとしても、まさか自分たちの郷土料理をテーマにしたものだとは気づかないことでしょう。
肉料理は追加料金を支払って選択したラムのグリル。お、これは普通に美味しいですね。とは言えそのへんの手の込んだビストロと大差ないクオリティであり、きちんとしたホテルのメインダイニングのメインディッシュとしては煢然たる存在感でした。
デザートにはトマトのコンポートとフレッシュチーズのカクテル仕立て。おお、これはめちゃんこ旨いぞ。これまでの料理が視力0.01だとすると、レーシックを受けたくらいの印象の違いがあります。
お茶菓子も見逃せない美味しさです。きっと菓子職人たちはコロナだろうが何だろうが活躍の機会は山ほどあり、今でもフル稼働しているという所作でしょう。それほどテンションの高さというか何というか、現役感を感じました。そういえばロビー階のビュッフェのスイーツも、ビュッフェなのにきちんと美味しかったなあ。
ということで、デザートを除いては徹頭徹尾、砂を噛むような食事であり、厨房やサービスの情熱が全く伝わってきませんでした。コロナを理不尽な出来事として処理したい気持ちはわからないでもないですが、やはりホテルのメインダイニングはどのような条件下にあっても輝いていて欲しい。恵比寿の街の揺籃期から全盛期まで見守ってきた身としては、うら寂しい思いをしたディナーでした。

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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindle Unlimitedだと無料で読める。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

L’ISOLETTA(リゾレッタ)/淡路島

淡路島最大の街「洲本」近くにあるイタリアン「L’ISOLETTA(リゾレッタ)」。テラスからは大浜海水浴場が見えて雰囲気がとても良い。ちなみに関西人に「ホテル?」と問えば「にゅーうーあーわーじー」と音階付きで返ってくる「ホテルニューアワジ」の通りです。
一棟丸ごとのレストラン。1階は厨房とウェイティング(?)、2階はダイニングに個室と贅沢な空間使いです。内装が独特で、どこか異国のレストランにお邪魔した気分。

井壺幸徳シェフは淡路島生まれ。1992年にイタリアに渡り経験を積んだ後、2000年に故郷淡路島で独立。
税サ込3,850円の「季節のランチ」を注文。アミューズはトマトとチーズを用いたフワッフワのひと品。炭酸とすら感じるビっとした酸味が印象的。
わ、わ、わ!びっくりするほど手の込んだアミューズが続きます。客単価数万円のレストランに匹敵するクオリティであり、のっけからやられました。ああ、泡と共に楽しみたかった。車で来たことが悔やまれる。車でしか来ようがないけど。
サラダも雄弁な味わい。極上の野菜にトロリと温かいソースが流し込まれており、税サ込3,850円のコースに付くサラダとしては考えられないクオリティの高さです。
パンはローズマリーとクルミの2種。いずれも外皮が硬く水分を飛ばしたスタイル。個人的にはもっとジューシーなパンがタイプなのですが、まあ好みは人それぞれ。
マダイのしゃぶしゃぶ風。身が締まりつつも脂を感じる肉厚のタイを半生テイストで頂きます。出汁とも言うべき仄かな旨味を感じ、理屈ぬきに美味しい。
特産品である「淡路島ぬーどる」をパスタに転用したひと皿。ソースはジェノベーゼ。コシのある素麺といった食感であり、ツルっとした喉越しが面白い。
淡路島の牛乳を用いたジェラート。見た目はシンプルなひと皿ですが、味わいは複雑で奥行きがある。
アイスティーで〆てごちそうさまでした。

前述の通り、以上を食べて税サ込3,850円です。ちょっと信じがたい費用対効果。金額の大小はさておき、味わいも絶品。シェフは正直いかついおっちゃんなのですが、料理は繊細にして緻密。これはディナーで訪れて、ワインと共にマックスのコースを試したいなあ。次回はこの辺りに宿を取ろうっと。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。

食堂 ファイダマ(faidama)/牧志(那覇)

「CREA Due」の沖縄特集で掲載されていた「ファイダマ(faidama)」。牧志は浮島通り近くと不健康な地域に似つかわしくないヘルシーなお店です。店名は八重山の言葉で「くいしいぼう」という意味。
コンクリートが打ちっぱなしの今風の内装。大きな窓から差し込む光が心地よい、。カウンター数席にテーブルが数卓の、トータルでは20席前後でしょうか。当店で用いるお野菜は親族(?)のものであるらしく、レジ横で野菜そのものの販売もしています。
ランチセットには全て前菜が付きます。お野菜の煮びたし。野菜そのものの味が濃く、しみじみと美味しい。
私は「お野菜とスープの定食」を注文。こちらはカリフラワーのスープ。独特の土臭さは控えめで、濃厚ながらスイスイ食べちゃいます。
サラダボウルには10種類以上の島野菜が。シンプルな調味であり、それぞれの野菜の濃厚な風味を楽しむ仕様です。自家製のツナ的なマグロ肉も素朴な味わい。
連れは「faidama定食」を注文。お魚とお野菜のみぞれ煮です。ひと口いただきましたが、実に優しい味わいであり身体が浄化されるようです。
お会計はふたりで3千円弱と、思ったより高い。充分に表参道価格です。良い野菜は高価であることは存じ上げていますが、それでも沖縄の物価を考えればちょっと割高だなあと感じました。それでも沖縄で上質な野菜をたっぷり食べることができるお店は貴重なので、エステやサプリのつもりで訪れると良いかもしれません。

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1年で10回沖縄を訪れることもあります。1泊15万円の宿から民宿まで幅広く手がけています。
TACが世に出した一風変わった沖縄本。もはやガイドブックではなく参考書の域です。非常に情報量が多く、かつ、うまく整理されており読みやすい。大判ではないので持ち歩きやすいのも素晴らしいです。オールカラーの割に高くない。数多ある沖縄ガイドブックの中では突出した存在です。