創作居酒屋てんてん/敦賀(福井)

北陸新幹線の延伸に沸く敦賀でトップクラスの人気を誇る居酒屋「てんてん」。気比神宮すぐ近くという好立地であり、ランチタイムは定食を、ディナータイムは地元の魚介類を中心とした創作料理を提供しています。
店内はカウンター席が十数席に奥にお座敷もあります。当然のように予約で満席で、遅い時間でタイミングが良ければフリーでも入れる可能性はありますが、旅行者は必ず予約をして訪れましょう。ゲストの殆どは地元の常連客ではありますが、大将は一見の旅行者に対しても分け隔てなく接して下さいます。
プレミアムモルツは480円と、世のインフレ騒ぎなどどこ吹く風。写真には映っていませんが、カウンターには旬のおばんざいがズラリと並んでおり、お通しとしてバババと盛り付けてくれます。私は若竹煮のようなブツを頂いたのですが、山椒の風味がきいて美味しかった。
大根サラダ。カリカリとした食感のおじゃこがぶちまけられており、その軽快な口当たりと独特の旨味が酒を呼ぶ。サラダなのに飲めてしまうひと皿です。
しただみの塩茹で。このあたりで獲れる巻貝だそうで、中身をクルクルと巻き取りながらと食べ方に技術を要します。程よく苦味を感じるので、ビールのそれと調和します。
お造りの盛り合わせ、というか、大将に全てをお任せすると、ポンポンポンとテンポ良く置いて行ってくれ、なんやかんやで15種類近く食べたような気がします。中でもこのあたりで獲れる珍しい「モサエビ」や筋肉質の「カンパチ」、味の濃い「福井サーモン」が心に残りました。
ほたるいかの酢味噌。こちらもイカ特有の深みのある旨味に酢味噌の柔らかな酸味が溶け合い、日本酒にピッタリのひと品です。
まるごとかに身のコロッケ。いわゆるカニクリームコロッケみたいなものかなと期待しながらくぱぁすると、、、
見て下さい、このカニの身の量を。これはもはやコロッケというよりもカニである。その旨味に負けないコッテリ加減のタルタルソース(?)も滅法旨く、心に残るひと品です。
今夜は焼き鯖の用意があるとのことだったので、迷わずお願いしました。表面はバリっと香ばしく身は厚くふっくらとしており、白ごはんでバクバクいきたくなるような旨味の強さです。
きゃらぶきを炊いたん。いわゆる山菜のフキで作る佃煮のような料理であり、その奥行きのある味わいに日本酒が進む進む。何も言わずに置いていってくれたけど、これはサービスなのかしら。
げんげの唐揚げ。深海魚の一種であり、そのブヨブヨとしたゼラチン質が特長的。口腔内がぬらぬらと滑る独特のタッチを楽しみます。
メバルの煮付け。臭みは丁寧に取り除かれており、ホクホクとしたその身にプルルンとした皮目、どっしりとした調味と、やはりゴハンをお供に定食にしてしまいたい魅力があります。
我々が気持ちよく食べていたからか、再びサービスでお出し頂けた白身魚の唐揚げ。お魚は何だろう。先のげんげの唐揚げとは異なり身にムッチリとした食感があり、重めの白ワインなどが合いそうです。
〆の食事に「ミニてんてんバーグ丼」。ハンバーグに衣を付けて揚げたメンチカツようなものにソースをかけ、丼に仕立てます。福井名物の「ソースカツ丼」もしくは敦賀のソウルフード「フジバーグ」へのオマージュと言うべき作品であり、日本人であれば誰もが愛する味覚です。
連れは「鯛釜飯」を注文。身の美味しさはもちろんのこと、お魚のお出汁を吸ったゴハンがバリ旨い。想像以上の大盛りサイズであり、私も手伝いましたが二人とも気絶するほど満腹になりました。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり9千円ほど。これはさんざん食べた結果であり、普通の飲食量であれば5-6千円に落ち着くことでしょう。このクオリティの魚介類を山ほど食べてこの支払金額は大変お値打ちです。

大将をはじめとして店員の皆さんも感じが良く、居酒屋のお手本とも言うべき居心地の良さです。敦賀への訪問が決まれば、いの一番の予約したお店です。オススメ!

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東京最高のレストラン2024
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

カフェ沖縄式/久米(那覇)

那覇市久米、福州園の近くにある「カフェ沖縄式」。自家焙煎珈のコーヒー専門店ですが、カレーも提供しています。ちょっと不便な立地で、最寄りの県庁前駅からは15分近く歩きます。
店内はコーヒーに関連するグッズが盛りだくさんで、やちむん(沖縄の焼物)も豊富にディスプレイされています。カレーの提供につき、注文から30分近くを要しており、趣味の店感に溢れています。
「海人カレー」は1,400円。魚介の旨味たっぷりで、カレーというよりはカレー風味のクリーム感の強いブイヤベースのような印象を受けました。魚介類は泊(とまり)の漁港で調達ているそうです。めちゃんこ量が少ないので、成人男子であれば大盛必須なのですが、それだと1,700円もするんだよなあ。
こちらは「あぐーカレー」。こちらもカレーというよりはカレー風味のシチューといった味わいであり、どこまでもマイルド。肉はあぐー豚の赤身を用いているそうです。
平日ランチタイムはサービスでコーヒーも付くのですが、お、このコーヒーは相当にレベルが高い。カレーに係る物足りなさを一気に挽回してくれました。
カレーそのものの味は普通に美味しいのですが、いかんせん量が少なく価格も高い。加えてものすごく待たされるので、あくまでゆったりと喫茶を楽しむ目的で、ついでにカレーも出てくる、という心持ちでお邪魔すべきお店なのかもしれません。お疲れさまでした。

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寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。

すし初/湯島

春のすし初。すっかり人気者の鮨屋であり、ここのところ間隔が空いてしまうようになってしまいました。
この日のラインナップはこんな感じ。デフォでひとりあたり4合という激しいお店なので、超重量級の二日酔いを覚悟して訪れましょう。
軽い口当たりの日本酒で乾杯。清涼飲料水な勢いで飲めてしまう逸材であり、シャクシャクとした食感のスナップエンドウと合わせて実に軽やか。カッテージチーズの軽い酸味ともよく合う。
レンコンは上手く水分を飛ばしており、ザクザクとした食感が特長的。シェリーをワンポイントリリーフにおき、バルサミコ酢での調味にベクトルを合わせます。
この日のお造りは3皿構成で、まずはホタテに甘海老・赤海老。海のサラダとばかりにドッシリ盛られたワカメが殊のほか美味で、身体がキレイになる気がします。
続いて春の味覚を告げるアオヤギにブリ、タチウオ、ヒラメ。手前からグラデーションを感じさせる味わいであり、日本酒との組み合わせも刻一刻と変化します。
カツオとシメサバはザックリと厚切りで。ムッシャムッシャとした食感にマスタードをきかせたソースが突き刺さり、まるでフランス料理の冷前菜を食べているかのようです。
定番の問題作、当店流のジャパニーズリゾットです。この日の組み合わせはイチゴにブッラータにカニに赤酢のシャリであり、ベリーベリーストロベリーな調和を感じさせてくれます。おかわりしたい。
カリフラワーにウニを塗布します。カリフラワーの土っぽいニュアンスにウニ独特の甘味が加わり酒のツマミとしてバリ旨い。
ブリカマ。コッテリとしつつもスープ(?)を含めて実にキレイな味わい。たっぷりの日本酒を用いて調味しており、ある意味ではヨーロッパにおける白ワイン煮込みに方向性は似ているかもしれません。
〆のお食事(?)の鮨。ご覧の通り車海老が抜群に美味しいですねえ。ムッシャムッシャと口いっぱいに頬張るサイズ感で、やはり僕はタネがデカい鮨が好きだ。

今夜も楽しかった。初めてお連れしたゲストも楽しんでくれたようで、幹事冥利に尽きるディナーでした。とにかくタネ質で押し切る鮨も良いですが、やはり食事は楽しいことが一番だ。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

ザ・テラスクラブ アット ブセナ(The Terrace Club at Busena)/名護(沖縄)

毎年恒例、春先に滞在する「ザ・テラスクラブ アット ブセナ(The Terrace Club at Busena)」。沖縄本島北部、許田ICから南下し喜瀬ビーチ近くにあるブセナリゾートの敷地の外れにひっそりと佇む「スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(Small Luxury Hotels of the World、SLH)」に加盟するホテルです。
何度訪れても惚れ惚れとするエントランス。当リゾートにつき、旗艦ホテルは沖縄サミットが開催された「ザ・ブセナテラス」なのですが、あちらは子連れの家族向けホテルであり全盛期のお台場状態。当館は子供は出入り禁止のアダルト・リゾートであるため客層が安定しています。加えて数年前よりも20-30%ほど値上げしているため、よりゲストのレベルが限定されたような気がします。
お部屋は「クラブデラックス サンセット」にご案内頂けました。54平米で、2人で滞在するには充分すぎる広さです。今回は連日サンセットの時間帯に部屋に居なかったので、サンセットの無駄遣いをしてしまいました。心から反省しています。
館内の設備もそうですが、部屋の仕様も何ひとつ変わっていません。何も変わっていないのに再び訪れて来てしまう魔力が当館にはあります。そうだ、ネットの速度はいくらかマシになったかな。これは当館だけではなく、ザ・ブセナテラスやナハテラスにも同じことが言えることですが。
ウェットエリアにつき、壁という壁を全てスライドで開け放つことができるので、どこからどこまでかウェットエリアなのかわからないほどです。全開するとバスタブから部屋を突き抜けてお外まで望むことができます。
こちらはミニバー(?)エリア。バスルームだけでなく、このスペースにも蛇口が通っているので、火口のないキッチン的な位置づけでしょうか。ネスプレッソやお茶、水は無料。「ジ・ウザテラス」と異なりミニバーの酒やスナックは有料です。
部屋からの眺望。広々としたテラスにはテーブルのほかデイベッドも備え付けられています。さりげなく風が通り抜け、鳥のさえずりが聞こえてくる。ちなみに前述の通りお部屋のタイプは「クラブデラックス サンセット」なのですが、今回は連日サンセットの時間帯に部屋に居なかったので、サンセットの無駄遣いをしてしまいました。心から反省しています。
お楽しみの「タラソプール」。ブセナ岬で汲み上げられた海水を温めたタラソテラピー向けの屋外プールであり、多様なジェット刺激を楽しみつつ水中歩行に励みます(写真は公式ウェブサイトより)。日除けが設置されているものの、屋外であることには違いないので、濡れても良い帽子を持参すると良いでしょう。オススメは朝イチと日没後です。
スマホを含め電子機器の持ち込みは一切禁止されており、また女子はラッシュガード着用(もしくはそれに準じるダサい水着)と硬派な施設なので、インスタ女子に花柄の水着と豊胸を披露する機会はありません。結果としてアクティブな高齢者か生活に余裕のあるパワーカップルが集まることとなり、客層は非常に安定しています。
こちらはアウトドアプール。沖縄のリゾートホテルのプールは家族連れが幅をきかせていることが多いですが、当館はそもそも大人しか泊まれず、またいい大人はプールで本気で泳いだりすることも無いため、主に鑑賞用に近い風情があります。奥にあるガラス張りの建屋はフィットネスセンターで、こちらもガチで筋トレするというよりは観賞用に近い趣きです。
ラウンジにつき、14-16時はティータイム、17-19時はカクテルタイム。当館は全体がクラブフロアという位置付けであり、宿泊者全員がグラブラウンジを利用することができます。差別や分断の無い世界。
酒のラインナップは中々のもので、ワインはシャンパーニュを含んで4-5種類、ビールは自前のクラフトビール、カクテル類もスタッフが作ってくれます。最近はどのホテルのラウンジにもシャンパーニュを置かなくなり、ホテル業界全体が貧乏臭くなっているように感じるのですが、当館は意地でも泡をキープしてくれています。
ちなみに以前はちょっとしたツマミがテーブルに置かれ自由に取って食べて良いという仕組みだったのですが、スタッフがそれらを盛り付け1人前ワンプレートを用意するという運用に変わっていました。これでいい。ヘンにアペリティフタイムの料理を豪華にするとラウンジコジキフエールの法則があるから。
翌朝はブセナリゾート内をお散歩。ちなみに当館宿泊者はブセナリゾート内の施設を殆ど自由に利用することができるので、本気で泳ぎたい場合は「ザ・ブセナテラス」の屋内プールを利用すると良いでしょう。なお、「ザ・ブセナテラス」宿泊者は「ザ・テラスクラブ アット ブセナ」の施設は利用できません。これが不可逆的な格差社会です。
ある日の朝食は「ザ・ブセナテラス」の和風レストラン「真南風(まはえ)」にお邪魔しました。が、これが大失敗。いくらホテルのダイニングだからと言っても、全く酷い朝食でした。大人しく「ザ・テラスクラブ アット ブセナ」で摂れば良かったと大変後悔した朝食でした。
朝食は宿泊者限定のレストラン「ファインダイニング(Fine Dining)」にて。地元の上質な野菜を多用する健康至上主義な朝食であり、以前に比べるといくらか肉類も増えて私得。詳細は別記事にて。
それにしても「ザ・テラスホテルズ」系列の食事のレベルの低さは何とかならんもんか。ある日の軽食で訪れた「マロード(Maroad)」というカフェにつき、サンドイッチは貧困の極みとも言える構成であり、人生ワーストに迫る勢いの味覚でした。もう二度と「ザ・テラスホテルズ」系列で食事は摂らないを決意しました。1年ぶり計18回目ぐらいの決意です。
もちろんこれだけの巨大リゾートの胃袋を賄うには色々と難儀することが多いことは承知しており、そんなに旨いもん食べたければ山を越えて「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 宜野座」へ行けば宜しいというご意見はごもっとも。あくまで当リゾートのストロングポイントはランドスケープデザインなので(写真は公式ウェブサイトより)、食事というよりも景観・建物・景観を楽しむつもりで訪れましょう。
話がリゾート全体へと飛躍してしまいましたが、「ザ・テラスクラブ アット ブセナ(The Terrace Club at Busena)」の美点は客層の良さであり、パパ活カップルや半グレっぽい輩を上手く排除できています(写真は公式ウェブサイトより)。その雰囲気の良さに心惹かれてしまい、ここ暫くは「ザ・ブセナテラス」への宿泊は控えていましたが、ヴィラタイプの部屋であれば当館と同様に子連れNGのようなので、次回はそちらも試してみようかしら。

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沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。