ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化し◎〇△×と記した

年間を通じて外泊が多いので、ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化しました。

◎〇△×と記していますが、これは私が滞在した時点における感想であり、価格や為替の変動、混雑度合い、当時のスタッフの対応など偶然に因る部分も多いので、話半分に捉えてください。また、ハイアットやヒルトンは最上級会員であり、ひらまつは株主なので、素で予約する場合とは対応が異なるかもしれません。

費用対効果も重要視しています。お金に糸目をつけないお金持ちの方々とは観点が異なることをご承知おきください。

ところで、私は子連れ客とそれをコントロールできない宿泊施設を憎んでおり、そういった客層が支配的なホテルは自然と△や×が多くなります。しかしながら、これは見方を変えれば家族旅行に向いたホテルを選ぶ指標となり得るかもしれません。


【ハイアット】
<北海道>

<関東>
△:ハイアットリージェンシー東京ベイ

个園竹語(Gold Garden Shanghai Cuisine)/尖沙咀(香港)

今年も上海蟹(大閘蟹)の季節がやってきました。10月末から11月初旬にかけては旬がメスからオスへとバトンタッチされる時期であり、そのタイミングで中国を訪れると両方楽しむことができるという神回です。
お店は尖沙咀(Tsim Sha Tsui)のハーバーシティ内にある上海料理専門のファインダイニング「个園竹語(Gold Garden Shanghai Cuisine)」に予約を入れました。軒先には上海蟹(大閘蟹)をこれでもかというほど並べています。
ラグジュアリーホテルのダイニングの超高級店というわけではないのですが、店内はシックでエレガントな雰囲気。ショッピングモール内にあるとは思えない静かでプライベートな雰囲気を醸し出しています。なお、私が見た限りは全ての座席が個室もしくはボックスシートでした。
香港では食事中にそれほど酒を飲まないので、ポットのジャスミン茶をお願いしました。我々だけでなく、他のゲストも殆どがそうしています。スレッズ上で「お酒を注文しない客はゴミだ!」と発狂している日本の飲食店経営者たちは香港に来たら何を感じるのだろう。
まずは当店のシグネチャーである冷前菜4種を盛り合わせ。上海ガニのコースなのに普通にアワビの紹興酒漬けが出てくるのが恐ろしい子。前言撤回して酒を注文する勢いです。スモークした半熟卵は日本の味玉文化とはまた違った魅力があります。  
上海蟹の蟹味噌入りフカヒレ煮込み。濃厚な蟹味噌と身をこれでもかというほどぶちこんで、フカヒレと共にとろみがつくまで煮込んでいます。フカヒレの滑らかな食感と上海蟹の濃厚な旨味と香りが一体となり、実にけしからん味覚です。旨い、旨すぎる。
おや、エビも出てきました。プリプリとした食感の大きな海老を翡翠に見立てた緑鮮やかな野菜を炒め合わせ、濃厚な上海蟹の蟹味噌と身をソースと共に頂きます。ひと口食べれば、海老の甘みと蟹味噌のコクが舌の上で溶け合い、脳天を突き抜けるような幸福感に包まれます。
主役の上海蟹(大閘蟹)。重さが六両(約225グラム)のブツを丸ごと姿のまま蒸し上げました。セルフで専用のハサミを手に取り熱い甲羅と格闘。硬い脚を切り離し、関節を割り、細い道具で慎重に身を掻き出す。その作業はまるで宝探しのように夢中になれる楽しさがあります。クライマックスは甲羅を剥がす瞬間で、内側に潜む黄金色に輝く濃厚な蟹味噌に、わたし絶頂に達しました。
スモークした魚とお芋のお餅を共に頂きます。日本人には表現できない何とも複雑な味覚。ただ、先の蒸した上海蟹のカニ味噌の旨さが衝撃的すぎて、控えめな印象です。順序って大事やな。
続いて上海蟹の蟹味噌入り小籠包。薄い皮をそっと破るとオレンジ色に輝くスープがレンゲ一杯に溢れ出します。
中には上海蟹の身と味噌がこれでもかというほど詰まっており、凝縮された蟹の旨味が津波のように押し寄せ、その芳醇な香りに陶然となる。まさに上海蟹そのものを味わう至福のひと粒です。
こちらは魚の浮袋と大根の煮込み。魚の浮袋はプルプルトロリとした口当たりで、豚足のようなコラーゲンを感じます。ただ、主役は実は大根で、天下一品の「こってり」を限界まで煮詰めたような風味が沁みており、記憶に残る味覚です。
デザートは黒ゴマ団子と生姜のスープ。もち米で作った団子に甘い黒ゴマの餡が入っており、この団子を甘く煮出した生姜のスープに浮かべています。思いのほか生姜の風味が強く喉が良くなりそう。キンモクセイの花を散らしているのもオシャレです。
以上の上海ガニコースが598香港ドルで、2025年10月のレートだと約12,000円といったところであり、安い、安すぎる。東京で食べれば3-4万円は請求される質および量であり、やはり名物というものは、それを得意とする土地で食べるべきだと再認識した食事でした。もちろん香港できちんとした鮨を食べれば4-5万円は当たり前なので、このあたりはおあいこです。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。

本場志向で日本人の味覚に忖度しない中華料理が食べたい方へ捧ぐ書。東京の、中国人が中国人を相手にしている飲食店ばかりが取り上げられています。ある意味では中国旅行と同じ体験ができる裏技が盛りだくさん。

ラ メゾン コンフォターブル(La Maison Confortable)/麻布十番

現代フランス料理界の巨星、ピエール・ガニェールの右腕として長年活躍してきた赤坂洋介シェフが、2025年4月に満を持して自身の城「ラ メゾン コンフォターブル(La Maison Confortable)」を構えました。場所は麻布十番の雑居ビル4階で、店名はフランス語で「心地よい家」を意味します。ちなみにピエール・ガニェールは「ポトフ 美食家と料理人」という映画で、チョイ役ですが俳優デビューを果たしていますこれ豆な。
白を基調としたミニマルな内装で空白のキャンバスを想起させます(写真は公式ウェブサイトより)。窓が無いため人によっては圧迫感を覚えるかも。全体で15席ぐらいで、入口近くで小さな個室もあるようでした。

赤坂洋介シェフはフランスで経験を積み、2003年からピエール・ガニェールのもとで研鑚を重ね、2011年から2025年1月まで東京店のエグゼクティブシェフを務めました。ソムリエもピエール・ガニェール時代の同僚のようで、チームワークはバッチリです。
ワインの値付けはインターコンチの感覚を引き継いでおり、市中のフランス料理店としてはやや高め。コース料理に合わせたペアリングだと2万円程度だったのでお願いすると、これが大当たり。シェフの料理に寄り添うクラシックなチョイスであり、変なカクテルとか日本酒とかが出てこないのがとても良い。
アミューズからバリバリに凝っており最初から絶頂に達します。カリフラワー、サツマイモなど素材は素朴なものが多いのですが、正しく理を料っており、実に豊かな酒のツマミです。この少ない席数でこんな凝った仕事しちゃって身体は大丈夫かと余計な心配をしてしまうくらいです。
ひと口のホタテもゲストが入店しタイミングを見計らって調理に取り掛かっており、サクサクのホカホカ。アミューズが旨い店は何をしても旨いのだ。
ボタンエビ。海老の美味しさは当然として、彩り豊かな紅芯大根の千切りにはミミガーが組み込まれており。なるほどビストロで豚の耳を食べる機会はそれなりにありますが、このようにガストロノミックに楽しむのは初めての経験かもしれません。
牡蠣は牛肉で巻いてきます。主張の強い食材同士で大丈夫かしらと心配するのですが、これが予期せぬ調和を発揮しており抜群に美味。付け合わせにホウレンソウ、ソースはビーツといずれもクセの強いものばかりですが、不思議と一体感が感じられます。これはソムリエのワイン選びが大変だ。
全体を通してソースがしっかりとした料理が続くからか、パンはソースに寄り添う素朴な味わい。とは言え穀物の豊かな風味を感じられる地頭の良い味覚です。
フォアグラ。数年前に比べて段違いに値上がりした食材のひとつですが、これがまた実に丁寧に調理されており、プリンのような舌触りと後味の良さを楽しむことができます。季節のキノコの風味も良くエスカルゴとの調和も素晴らしい。フォアグラは惰性で出す店が多いので、当店のようにきちんと美味しいフォアグラ料理を出すのはかなり珍しいと言えるでしょう。
お魚料理は甘鯛。緻密な火入れにより、ウロコのクリスピーな食感と鯛の身のふっくらとした瑞々しさを実現。甘鯛の上品な味わいを最大限に引き出しています。付け合わせ(?)に梅を練り込んだカボチャのペーストが用意されるのですが、これがまた不思議と旨く、今度家でやってみよう。
メインは鹿肉。鉄分豊かな赤身の力強い旨味と上品な野性味に対し、ソースは甘さを抑えたチョコレートが基調としています。深いコクとほのかな苦味、複雑な香り。平成の攻めを感じさせる味覚です。面白いのはイカをトッピングしている点で、独創性を通り越して前代未聞の組み合わせではなかろうか。
〆にリゾット。1年間熟成させたカルナローリ米を用いており、ナッツのような豊かな風味と粘りを持ち、芯を感じる絶妙な食感を楽しみます。そこに辛うじて形を保っている牛タンが乗り、濃厚な肉の旨味と深いコクを加えます。仕上げに新鮮なウニをトッピングするのも挑戦的で、リゾットの熱でわずかに温められ、磯の香りとクリーミーな甘みを添えて全体をまとめ上げます。
お口直しにクレモンティーヌのシャーベット。柑橘の甘味と鮮烈な酸味が心地よく、ハイビスカスを用いたジュレの華やかな香りが洒落てます。
デザートに栗のペースト(?)にメレンゲ、柿。アクセントにマッシュルームも潜んでおり、その土を思わせる豊かな香りとほのかな旨味が、栗の風味と共鳴する。秋の味覚を巧みに組み合わせた驚きのあるひと皿です。
お茶菓子。最後の最後まで手抜き無しに凝っており、気の遠くなる仕事量でしょう。席数に対して妙に料理人が多いという印象を持ちましたが、なるほどこれだけ凝っていれば必要な配員なのかもしれません。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上の料理が3万円、ワインのペアリングが2万円、水やらなんやらでお会計はひとりあたり5万円強といったところ。ピエール・ガニェール時代よりも解き放たれている感があり、独創性みを強くした印象を受けました。奇抜な組み合わせが多いものの、いずれもきちんと美味しいのが素晴らしい。これは星の獲得間違いなし。かけてもいい。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

魚彩工房 一鮮満(いっせんまん)/おもろまち(那覇)

沖縄フィッシング・マリンレジャーのトータルショップ「YOSEMIYA」が運営する海鮮居酒屋「魚彩工房 一鮮満(いっせんまん)」。海人(漁師)から直送される獲れたての新鮮な魚介類を専門に扱い、ランチタイムの定食メニューから夜の居酒屋メニューまで幅広く楽しむことができます。場所はおもろまちDFSの裏手です。
店内はこれぞ海鮮居酒屋といったインテリアで、魚拓や大漁旗が飾られ、海人な雰囲気を演出します。カウンター席から大人数に対応可能な個室まで、多様なニーズに応える柔軟な空間設計がなされており、お一人様から家族連れ、会社の宴会まで、幅広いシーンで利用されています。
私は「魚汁定食」を注文。沖縄のローカルフードである「魚汁」に刺身とフライ、白ゴハンが付いて1,500円です。
「魚汁」は魚を骨ごとぶつ切りにして煮込んでおり、骨やアラから出る濃厚な出汁を楽しむことができます。味付けは赤味噌を軸としており、骨周りのゼラチン質や皮の食感がアクセントとなります。ただ、骨が多く非常に食べづらいので、誰かと一緒というよりは、独りで黙々と食べるべき料理です。
刺身も付きます。と言ってもほんのオマケ程度の量しかなく、やはり「川かみ鮮魚 魚坊 (イユボウ)」のせんべろセットは偉大である。
魚のフライ。これもまあ、オマケですね。油が傷んでいるのか胃に深く沈む感覚がありました。
ライスは大盛で、お代わりもOKと気前が良い。味そのものは一般的な定食屋のそれといったところですが、量も味のうちだと言わんばかりの潔さを感じました。
定食そのものの味わいは悪くないのですが、同種の定食屋に比べると幾分割高で、これは新都心という土地柄にも因るものなのかもしれません。やはり魚汁は「鮮魚ふくむら」のようなロケーションで楽しむべきものなのでしょう。おつかれさまでした。

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寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。

ラ メゾン クレール 1853(La Maison Claire 1853)/久米(那覇)

那覇市久米の「ラ メゾン クレール 1853(La Maison Claire 1853)」。フランスの三ツ星店で経験を積んだシェフが「フランス料理よりもフランスらしく、琉球料理よりも琉球らしく」という野心的なスローガンを掲げるフランス料理店です。
シェフの経歴やコンセプトはさておき、当店はサービスが壊滅的ですね。おたく飲食経験は初めてですかぐらいの段取り悪さであり、細やかな配慮というものとは縁遠い世界に生きているようです。もしかするとタイミーだったのかもしれません。
閉口したのはワインの取り扱いで、ボトルでスパークリングワインを注文すると10分以上は捜索の旅に出て帰って来ず、抜栓前にエチケットの確認もしないで勝手に開け、乾杯後はあろうことかバキュバン(真空ポンプ)で栓を閉じてきます。素人でも少し考えれば根本的に間違っていることがわかるだろうが。ケーキ切れそう?

グラスのワインが無くなりつつあるのに注ぎ足す気配は無く、空っぽにしてようやく注ぎに来る有様。当店のサービスは恐らくフランス料理店に客として出入りした経験はなく、価値観がグラス交換制の居酒屋です。この夜わたしはじっと我慢の子であった。
シェフもシェフで、料理を説明する際「えーと、何だっけな?」と、自分が作った料理の名前を思い出せない。サービスは隣に突っ立ってニコニコしているだけで、ワインを注ぐなど他の仕事に取り掛かろうともしない。なにこれ世界滅びるの?
あぐー豚と地鶏を用いたシャルキュトリにペラペラのフォアグラをトッピング。そのへんの西洋居酒屋で出てくるようなクオリティであり、不味くはありませんが、美味しくもありません。歯茎がげっそりする。
アバサー(ハリセンボン)のスープ。お、これはなかなか美味しいですね。魚介の旨味が凝縮されておりコクがある。本日一番のお皿です。先のシャルキュトリからインターバルが20分もあったことを除いては。
エビとミーバイ(白身魚)の調理にも長時間を要し、これは「民芸酒場 おもろ」などと同様に精神と時の部屋を想起させます。フィルムをハサミでチョキチョキ切るスタイルも激ダサく、連れも「何十年前のプレゼンテーションなんだよ」とゲラゲラ笑ってました。とは言え味は悪くなく、いや、けっこう美味しい。
メインは本部牛の内モモとリ・ド・ヴォー。先ほどの料理から30分近く経っており、スーパーボウルのハーフタイムショーに匹敵するインターバルです。味についても全然ダメで、皿がキンキンに冷たく肉から温度をガンガンに奪っていました。加えてシェフから「リ・ド・ヴォーと言いまして、ミルクを消化する部位です」との謎解説があり、医師である連れは眉間に深い縦皺を刻み、口をへの字に結ぶ。
デザートは悪くないのですが豪華さに欠け、プリンにチョコと、なんだか3時のオヤツのようです。「フランス料理よりもフランスらしく、琉球料理よりも琉球らしく」というコンセプトとは一体なんだったんだろう。
極めて遺憾なディナーでした(画像は食べログ公式ページより)。客単価の割にサービスは訓練を受けているとは到底思えないレベルであり、とりわけワインの取り扱いは目に余り、基本的な作法すら欠如しています。

厨房には躍動感が無く、料理ごとの提供間隔には果てしない空白が横たわり、その体験は時代遅れの遺物と言わざるを得ません。

提供される価値と価格は著しく乖離しており、その対価を支払う意義を見出すことは全くできませんでした。

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